「離婚したい」と言われたらどうすればいい?

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弁護士 鈴木 翔太
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ある日突然、配偶者から「離婚したい」と告げられたら?混乱してしまい何をどうしたらよいのかわからなくなってしまうことでしょう。

まずは心を落ち着け冷静になりましょう。そのうえで今後どうしたいのかをしっかりと検討し、検討結果に応じて的確な対応を取りましょう。

今回の記事では、パートナーから離婚を切り出されたときの対処方法について解説します。離婚を告げられてお困りの方は参考にしてみてください。

離婚を切り出されたときに検討すべきこと

配偶者(パートナー)から離婚したいと切り出された場合、まずは冷静になって『離婚しない(離婚を受け入れない)』のか『離婚を受け入れる』のかを明確にしましょう。

また、相手が離婚を希望する理由・背景をしっかりと確認しておきましょう。

感情的になって判断してしまうとあとで後悔する可能性が非常に高くなります。一時の感情で判断はせずに、まずは上記の事項を検討しましょう。

離婚したくない場合

離婚したくない、離婚が受け入れられないのであれば、相手の要求をのんではいけません。「離婚には応じられない」ときっぱりと断りましょう。

日本では、夫婦で協議(話し合い)を行ない、双方が離婚に合意して離婚届出をすることで離婚が成立します。この一連の流れを協議離婚と言います。夫婦の合意があって初めて離婚が成立するので、一方が離婚拒否の意思を有している場合は協議離婚は成立しません。

したがって、離婚をしたくないのであれば離婚には応じられないということをしっかりと伝えましょう。相手が強硬な態度で離婚届にサインするように迫ってきても絶対に署名押印してはなりません。

なお、離婚を拒否していればずっと離婚せずに済むというものではありません。訴訟で離婚が認められた場合には離婚は成立します。

離婚したくない場合にやっておくべきこと

01.離婚届不受理申出をする

こちらが離婚拒否の意思を表明していたとしても、相手が勝手に離婚届を作成し提出してしまうことがあります。

いったん離婚届が受理されてしまえば、これを取り消すためには調停や訴訟が必要になってしまい手間と時間がかかってしまいます。

このようなパートナーによる離婚届の提出を予防する方法として、役所に対し離婚届不受理申出を提出するというものがあります。離婚届不受理申出をしておけば相手が離婚届を役所に持参したとしても申出人の意思確認がなされない限り離婚届けは受理されません。

離婚届け不受理申出は役所で簡単にできる手続きなので、必要であれば事前に行なっておきましょう。

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弁護士 松岡

02.離婚したい理由を確認する

相手が離婚を望む理由をしっかりと確認しましょう。

性格の不一致や考え方が合わないなどの事情だけであれば、これらは法律上の離婚原因(後述)ではないので、仮に裁判をされても離婚が認められることはありません。

03.不倫していないか確認する

急に離婚を切り出された場合、配偶者が不倫していることが多いです。別の人と再婚したいという思惑があったりもします。

不倫の事実があれば不倫相手に慰謝料を請求することができますし、場合によっては再構築不可として離婚を検討する余地も出てくるでしょう。

04.婚姻費用を請求する

離婚を拒否していると、相手が家を出て行ったり生活費を支払わなくなることがあります。そのようなときは、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てましょう。

婚姻費用とは別居中の生活費です。詳細は下記のリンクを参照ください。

別居中の生活費(婚姻費用)の相場、請求方法をパターン別に解説
別居中は生活費を請求できるって本当!?婚姻費用について解説!!離婚する前段階で別居を試みる夫婦は多くいらっしゃいますが、女性側が専業主婦(家事労働者)やパート勤務である場合、収入がない(低額)ことから別居後の生活費を用意することが困難となることがほとんどです。特...
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婚姻費用分担調停を申し立てると、調停委員を介して相手に婚姻費用(生活費)を請求することができます。

婚姻費用について調停で合意できなかった場合には、審判となって裁判官が強制的に婚姻費用の金額を定め、相手へ支払命令を下してくれます。相手方が命令に従わない場合には給料の差押え等ができます。

05.離婚調停でも拒否することは可能

どうしても離婚したい相手方から離婚調停を申し立てられることがありますが、離婚したくないのであれば調停の場においても離婚を拒絶しましょう。

離婚調停においても離婚が成立するためには夫婦双方の合意が必要となります。無理に離婚させられる心配はありません。相手が強硬に離婚を望んでいても拒絶し続けていれば調停は不成立になります。調停委員から離婚するよう説得されても離婚することに納得できないなら拒絶しましょう。

06.こちらに原因がある場合は注意が必要

民法770条1項各号には、以下の5つの法定離婚事由が定められております。

  1. 配偶者による不貞
  2. 配偶者による悪意の遺棄
  3. 配偶者の3年以上の生死不明
  4. 配偶者が回復しがたい精神病を患っている
  5. その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

こちら側に法定離婚事由がある場合には注意が必要です。法定離婚事由がある場合、相手が離婚訴訟を起こせば強制的に離婚が認められてしまう可能性があるためです。

たとえば、こちらが不倫している(いた)ことを理由として離婚訴訟を申し立てられた場合には、①の事情が認められるため離婚が認められてしまう可能性が高いといえます。

法定離婚事由とは!?裁判離婚に必要な5つの条件を解説!!離婚するためには、夫婦の双方が離婚に対し合意することが必要です。 当事者間での話し合い(協議)や調停委員を間にいれての話し合いで離婚の合意ができない場合には訴訟で解決するほかないのですが、訴訟(...

離婚を受け入れる場合

検討の結果、離婚に応じてもよいと判断するのであれば、どのような離婚条件を交わすのかが重要です。可能な限り有利な条件で離婚できるように手配しましょう。

01.財産分与

まずは、財産分与です。

夫婦に婚姻中に積み立てた資産(夫婦共有財産)がある場合、離婚時に財産分与として夫婦共有財産を分けることとなります。婚姻中に形成した預金、株式投資で増やした資産、購入した不動産等は、夫婦共有財産となるので離婚時に清算することとなります。

財産分与の割合は、基本的に夫婦で2分の1ずつです。話し合いによって双方が納得した場合は、2分の1以外の割合にしてもかまいません。そのため、相手が強く離婚を望んでいる場合には、こちらが離婚を受諾する代わりに財産分与を多めにしてもらうといった交渉が可能です。

また、子どもを引き取る場合には、子ども名義の預金や学資保険をそのまま譲ってもらうなどの要求をするのもよいでしょう。

対象となる財産をしっかりと把握する

財産分与を行なう上でのポイントは、相手の財産をしっかりと把握することです。

パートナー名義の預金口座や国債、証券口座、保険などをしっかりと把握して、漏れの無いように財産分与の計算に含めましょう。

相手が財産を隠しているかもしれない、自分では調査が困難、ということであれば、弁護士にしましょう。弁護士であれば、弁護士法23条照会という制度を使って財産を調査することができます。

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02.慰謝料

相手が不倫していたり、婚姻中に暴力をふるわれていた等、相手が不法行為を行なっていた場合(相手が有責配偶者である場合)は、慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料を請求できる事情があるのであれば、請求しましょう。

なお、慰謝料が請求できるのは、相手が不法行為を行なっていた場合に限られます。離婚するからといって必ず慰謝料が発生するわけではないので注意しましょう。

また、慰謝料の金額は事情によって変動します。たとえば相手が不倫していた場合、婚姻期間の長さや子どもの有無、人数、不倫の態様などによって100~300万円の幅で変動します。慰謝料を請求できるのか、できるとしたらどれくらいの慰謝料を請求できるのかを知りたい方は、弁護士に相談してみましょう。

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03.親権

子どもがいる夫婦が離婚する場合は、子どもの親権者をどちらにするかを決めなければなりません。

父母ともに親権を希望する場合、協議や調停では離婚できないので訴訟によって裁判所に親権者を決定してもらう必要があります。訴訟においては、これまでの養育実績や子どもとの関係、子どもの年齢や現状の生活状況、今後の養育方針などをもとに裁判官が親権者を決定します。

親権争いが発生すると離婚トラブルが長引くうえ子どもも巻き込んでしまうので、できれば夫婦で話し合って親権者を決めるのがよいでしょう。

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04.養育費

未成年の子どもがいる場合には、離婚後の養育費も決めておく必要があります。金額については、裁判所の定める算定表があるので、こちらを参考にして話し合って決定しましょう。

05.面会交流

離婚後の面会交流についてもきちんと取り決めておきましょう。標準的には月1回といわれますが、子どもの年齢や親子関係、居住場所の距離感などの事情によって適切な方法は異なります。

何が子どもにとってもっともよいのかを考えながら最善の面会方法を設定しましょう。

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相手が不倫している場合の対応

パートナーが離婚を切りだしてきた理由に不倫(男女関係)がある場合のポイントを見てみましょう。

01.離婚したくなければ拒否

離婚したくない場合は、離婚を拒絶しましょう。前述の通り、こちらが拒否している限りは協議離婚は成立しません。調停を申し立てられても拒否していれば調停は不成立になります。

また、相手が離婚訴訟を起こしたとしても離婚は成立しません。自分が離婚原因を作っておきながら離婚を求めるなんて虫のいい話は許されないという考えから法律は有責配偶者からの離婚請求を認めていません。

証拠は集めておく

なお、訴訟において離婚請求を棄却させるためには、相手が不倫している証拠が必要となります。

動画や写真、LINEやメールのメッセージ、クレジットカードの明細書、通話明細書、場合によっては探偵の調査報告書など、いろいろな資料を集めておきましょう。

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02.配偶者に慰謝料を請求する

離婚を受け入れるとしても再構築するとしても配偶者に対し慰謝料を請求することは可能です。

特に離婚を受け入れる場合においては、なるべく高額な慰謝料や財産分与を請求しましょう。配偶者が不倫をしている場合(有責配偶者である場合)は、こちらが離婚を了承しない限り離婚は成立しません。こちらに離婚の決定権があるのでこちらの立場が圧倒的に強くなります。

こちらに有利な財産分与や高額な慰謝料を提示し、これを払ってもらえない限りは離婚には応じませんと主張して交渉するとよいでしょう。相手からしてみれば要求された金額を払わないと離婚できないので、提示金額を受け入れる可能性が高くなります。

交渉のコツ

離婚する気持ちがあったとしても、安易に離婚に応じますと答えない方が良いでしょう。これは、財産分与や慰謝料交渉の場面で有利に交渉を進めることができなくなってしまう可能性があるためです。「離婚はしたくないけれど〇〇円払ってもらえるなら仕方がないので応じます。」といった主張をしたほうが交渉を優位に進めることができます。

なお、こういった交渉を自身で行なうことに自信がない方は弁護士に一任するのも一案です。

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弁護士 奥野

03.不倫相手に慰謝料を請求する

離婚する場合であっても再構築する場合であっても、不倫相手に慰謝料を請求することができます。不倫の事実が発覚した段階で、不倫相手への慰謝料請求を検討しましょう。

また、慰謝料を請求する際には、「別れさせる約束」や「復縁したときの違約金の取り決め」といったことも取り決めることが可能です。

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さいごに

今回の記事では、パートナーから離婚を切り出された際の対処方法について解説しました。

離婚を受け入れるにせよ受け入れないにせよ自身で全てを対応しようとするのはなかなか大変です。配偶者が不倫していた場合などは不倫相手への慰謝料請求も行なうこととなるので、時間と労力がかかってしまいます。また、法律の知識や慰謝料の相場等を把握していないと上手く交渉を進めることは難しいといえるでしょう。

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弁護士 浜島
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弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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