任意保険には加入しておいた方がいいの!?弁護士費用特約はつけておいた方がいいの!?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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自動車保険には、自賠責保険と任意保険の2種類があり、両社は補償内容や補償範囲等が大きく異なります。

自賠責保険は加入が義務付けられておりますが、任意保険については加入は任意です。任意保険には加入しておいた方が良いのでしょうか?

また、任意保険では、弁護士に損害賠償の請求を委任した際に発生する費用の補償を受けられる「弁護士費用特約」を付けることができますが、これはつけておいた方が良いのでしょうか?

今回の記事では、自賠責保険と任意保険の違い、任意保険の基本的な補償項目、弁護士費用特約等について解説します。

自動車保険の種類

自動車保険は、下記の2つに大別されます。

  • 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
  • 任意保険

自賠責保険と任意保険の違いは、下記の4点です。

  1. 加入義務の違い
  2. 補償内容の違い
  3. サービスの違い
  4. 保険料の仕組みの違い

以下、具体的に見ていきましょう。

加入義務の違い

自賠責保険は自動車損害賠償保障法によって加入が義務付けられている保険です。個人の意思とは関係なく、すべての自動車が加入しなければならないため、強制保険と呼ばれることもあります。

他方で任意保険は個人の意思で加入する保険、すなわち自動車の所有者の判断で加入する保険です。自賠責保険ではカバーしきれない損害に対しても補償が欲しい場合に加入するものであるとお考え下さい。

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補償内容の違い

自賠責保険と任意保険では、補償内容(どのような場合にいくらの保険金が支払われるか)にも大きな違いがあります。

総じて任意保険のほうが補償の対象とする損害の範囲が広く補償内容も手厚いものとなっております。

以下、自賠責保険と任意保険にどのような補償が用意されているか、損害の種類ごとに見ていきましょう。

01.相手の身体が受けた損害の補償(対人賠償保険)

まず、事故によって相手の身体に損害を与えた場合について確認してみましょう。

相手の身体が受けた損害については、自賠責保険、任意保険の両方で補償されます。任意保険では「対人賠償保険」と呼ばれています。

なお、自賠責保険から支払われる保険金には限度額が存在しており、たとえば怪我をした場合は120万円が限度額となっています。

他方で任意保険(対人賠償保険)の保険金額は、自賠責保険で支払われる保険金額を超えた場合の超過額部分です。個別の契約内容によるものの、多くの場合で保険金は無制限で支払われます。先の怪我の例でいえば120万円を超えた部分を任意保険がカバーしてくれることとなります。

02.相手の財物や自動車が受けた損害の補償(対物賠償保険)

事故によって相手の財物(家の外壁やガードレールなど)や自動車に損害を与えた場合について確認しましょう。

実は相手の財物が受けた損害に対する補償は自賠責保険にはありません。この点には注意が必要です。

他方で任意保険では「対物賠償保険」によって補償されます。対物賠償保険によって支払われる保険金額は、被保険者(保険の補償を受ける人または保険の対象になる人)が負担する損害賠償責任の金額です。

03.自分(同乗者を含む)の身体が受けた損害の補償(人身傷害保険など)

事故によって自分や同乗者の身体が損害が受けた場合の補償についてみてみましょう。

実は自賠責保険では、自動車事故で自分や同乗者が怪我や死亡をしてしまい人身損害が発生したとしても保険金は支払われません。

他方で任意保険には自分や同乗者の身体が受けた損害に対しては以下の4つの補償が用意されています。

  1. 人身傷害保険
  2. 搭乗者傷害保険
  3. 無保険車傷害保険
  4. 自損事故傷害保険

①の人身傷害保険とは、自動車事故によって自分と同乗者が死亡・怪我・後遺障害になったときの人身損害を補償する保険です。

②の搭乗者傷害保険とは、自動車に搭乗中の人が自動車事故により死傷した場合に搭乗者の人身損害の補償を行う保険です。

③の無保険車傷害保険とは、任意保険に加入していない自動車との事故によって人身損害を被った場合に、自分が被った損害を填補することを目的とする保険です。

④自損事故傷害保険とは、相手がいない事故や相手に過失が発生しない事故によって人身損害を被った場合に、自分が被った損害を填補することを目的とする保険です。

04.自分の自動車が受けた損害の補償(車両保険)

自分の自動車が受けた損害についての補償を見ておきましょう。

実は自分の自動車が受けた損害は自賠責保険では補償されません。任意保険では「車両保険」に加入しておくことで補償されます。

なお、自分の自動車以外の財物が受けた損害は自賠責保険でも任意保険でも基本的には補償されませんが、任意保険の場合に用意されている「身の回り品補償特約」に加入しておくことで自分の財物に発生した損害に対しても保険金を受け取れることがあります。

05.まとめ

上記の内容をまとめたものが下記の表となります。

自賠責保険任意保険
相手の身体が受けた損害補償される(上限あり)補償される
相手の財物や自動車が受けた損害補償されない補償される
自分の身体が受けた損害補償されない補償される
自分の自動車がうけた損害補償されない補償される

自賠責保険では、相手の身体が受けた損害以外はカバーしていないことが見て取れます。

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弁護士 鈴木 翔太

サービスの違い

自賠責保険と任意保険では、利用できるサービスにも違いがあります。

自賠責保険が提供するサービスは、基本的には損害賠償に対しての補償のみです。

他方で、任意保険では保険会社が独自に提供するサービスが設けられております。サービスは大きく「事故対応サービス」と「ロードサービス」の2つに分けられます。

事故対応サービスとしては以下のものが挙げられます。

  1. 事故発生時の連絡受付:事故が発生したときに連絡を受け付け、現場ですべきことや事故の解決までの流れを説明してくれます。
  2. 相手との連絡・示談交渉:相手と連絡を取り、状況確認をしてくれます。相手の身体や財物に損害を与えてしまった場合は、示談交渉を代行してくれます。
  3. 修理工場の紹介・手配:提携修理工場の紹介や修理の手配をしてくれます。
  4. 治療費の支払手続き:治療費の支払について、保険会社が医療機関に対して直接支払ってくれます。
  5. 損害・事故状況の確認:交通事故の専門家を手配して、損害額や事故状況を確認してくれます。

また、ロードサービスとは、自動車の走行中に事故や故障などのトラブルが発生した際に、修理やレッカーなどの支援を受けられるサービスです。

保険料の違い

自賠責保険と任意保険では、保険料の仕組みも大きく異なります。

自賠責保険の保険料については、どこの保険会社で加入しても、どの代理店で加入したとしても金額は同じです。

他方で、任意保険の保険料は保険会社が独自に設定することができるため、保険会社や補償内容によって保険料が異なります。

一括払い

自賠責保険と任意保険は、性質を異にする別の保険です。しかし、任意保険は自賠責保険の不足部分を補う保険であり、両者には密接な関係があります。そこで、被害者の便宜を図るため、任意保険には「一括払い」という制度が用意されています。

一括払いとは、自賠責保険の分も含めて損害全額を任意保険会社に対して請求することができるという制度です。

一括払いで申請することで、被害者や加害者は自賠責保険会社と任意保険会社それぞれ請求をしなくて済むというメリットがあります。なお、一括払いをした任意保険会社は、自賠責保険会社に対して、一括払いによって支払った自賠責保険の分を請求します(「求償」といいます。)。

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任意保険には加入しておくべきか

交通事故を起こしてしまった場合、自賠責保険の補償だけでは充分ではありません。高額な賠償金や自身のケガを、自身の貯蓄でまかなうのは現実的とは言えず経済的な負担が重くのしかかります。他方で任意保険に加入しておけば十分な補償を受けることができます。

また、任意保険は自分が加害者になってしまった場合だけでなく被害者になった場合にもメリットがあります。相手から十分な補償を受けることができず泣き寝入りとなってしまうリスクを避けるためにもやはり任意保険には加入しておくべきといえます。

また、事故に遭った際には弁護士を利用することが間違いのない対処方法であることをを考慮すると、費用負担を抑えるためにも弁護士特約を付けておいた方が無難と言えるでしょう。

弁護士費用特約

「弁護士費用特約」とは、自動車保険の契約にオプションで追加することで、損害賠償の請求を弁護士に委任したり、弁護士に法律相談をした際に発生する費用の補償を受けられる特約です。

多くの保険会社では弁護士費用として300万円程度まで補償されるので、その範囲内であれば弁護士費用の自己負担がありません。

また、弁護士特約を使用しても保険の等級や保険料は変わりません。弁護士費用特約を使った場合はノーカウント事故(事故としてカウントしない)となるので、翌年の等級や保険料に影響しないのです。

弁護士に依頼することが望ましいケース

任意保険に加入していれば示談交渉は保険会社が対応してくれるから弁護士への依頼は不要とお考えになられている方が多くいらっしゃいますが、実際には弁護士に依頼することが望ましいケースがあります。典型的なのは次の2つのパターンです。

01.自分が無過失の事故の場合

追突事故のように加害者の過失が100%の事故(もらい事故)では、被害者の加害者に対する賠償責任が発生しない(保険会社が支払うことにならない)ため、被害者側の保険会社が示談交渉を代行することができません。

追突事故の過失割合、後遺症が残った場合の対処方法
追突事故の被害者が押さえておくべきポイントについて解説!!追突事故においては、基本的に被害者側の過失割合は0となるため、被害者自身が加入する保険会社は示談交渉を代行してくれません。そのため、被害者が1人で示談交渉に臨むこととなり、相手方の保険会社から不利な条...

この場合、被害者は自分で相手の保険会社と交渉することになりますが、素人である本人が交渉すると時間や手間がかかるだけでなく、不利な条件を提示されても上手く反論ができないリスクがあります。

弁護士費用特約に加入しておけば、弁護士に交渉の依頼や相談を行うことができるので、示談交渉を行う上での負担を大きく軽減することができます。

02.相手方の窓口が相手方本人の場合

加害者が100%責任を負う事故で相手が任意保険に加入していない場合、(相手方)保険会社の担当ではなく相手本人と話し合いをしなければなりません。

実は、当事者同士の示談交渉は非常を難航します。相手が過失を認めず、請求に応じないことも珍しくありません。自力で交渉することは手間がかかりますし、ストレスも募るばかりです。

弁護士費用特約に加入しておけば、弁護士に交渉を任せることができるので相手方本人との直接のやり取りから解放されることとなります。また、法的に正しい請求を行なうことができますので不利な条件を呑まされることもありません。

交通事故トラブルを弁護士に依頼するメリット

01.相手方との示談交渉を任せることができる

相手方保険会社(相手方本人)との交渉を進めるのには労力を要します。時間も取られますしストレスもかかるでしょう。

手続を弁護士に依頼すれば、相手方との示談交渉を一任することができますので、これらの問題を解決できます。。

02.慰謝料等を増額できる可能性がある

交通事故の慰謝料を計算する際には自賠責保険基準、保険会社の計算基準、弁護士基準(裁判基準)の基準があり、もっとも高額になる可能性があるのが弁護士基準(裁判基準)です。

弁護士に依頼すれば、弁護士基準(裁判基準)で計算した慰謝料を請求できますので、正当な金額を受け取ることができます。

03.後遺障害等級認定を適切に進められる

弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定の申請や後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益の請求を任せることもできます。後遺障害の申請手続きは準備すべき書類が多く、内容も専門的ですので後遺障害に精通した弁護士に依頼をすると安心です。

東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では交通事故事件について注力しております。どのような事案についても積極的に取り組んでおりますので、是非一度お気軽にご相談ください。

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