言葉の暴力は犯罪になる!?成立する犯罪について解説!!

監修者
弁護士 鈴木 翔太
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インターネット、SNS全盛の昨今では、匿名性が保たれていることをよいことに、芸能人や著名人、特定の個人に対する行き過ぎた批判的なコメント、誹謗中傷が多くみられます。
被害を受けた側は、物理的・直接的な暴力ではなく、精神的・間接的な「言葉の暴力」にさらされることになります。

ネット上だけではありません。会社内でのパワハラや家庭内でのモラハラなどのケースにおいても、被害者は精神的な暴力にさらされます。

身体へ直接暴力を振るう行為のみならず、有形力を行使せずに人を精神的に追い詰める暴力もまた違法行為であり処罰対象です。

この記事では、言葉の暴力によって精神的に追い詰めたときに成立する犯罪の種類、その成立要件等について解説します。

1.言葉の暴力の典型例

言葉や文章、ネット上での書き込みなどによって人を追い詰める場面、すなわち「言葉の暴力」が問題となる場面にはどのようなものがあるのでしょうか?

典型的なものとしては、以下のようなものがあります。

1-1.ネット上の誹謗中傷

SNSやブログ、ニュース記事のコメント欄などで誹謗中傷が行われるケースが多々見受けられます。
一度火がつくとどんどん拡散されて攻撃が激化する傾向にあります(炎上)。誹謗中傷を受けた本人は多大な精神的苦痛を受けます。被害者が自殺に至るケースもあり、昨今では問題視されております。

1-2.悪評の書き込み

嫌いな相手、憎い相手について、ネット上で悪く書いたり、あることないことを大げさに書き込むことで名誉を落とすような行為も言葉による暴力の一つといえます。

1-3.パワハラ

職場において上司が部下に対し暴言を投げかけるパワハラも典型例として挙げられます。
精神的に追い詰められた側はうつ病になって仕事を辞めてしまう、自傷行為や自殺に至るケースも少なくありません。

1-4.家庭内のモラハラ

職場でのパワハラと同様、家庭内でモラハラが行われるケースも典型的な一例です。

1-5.店舗や事業所への嫌がらせ、営業妨害

店に行って嫌がらせで大声を出す、悪評をネットに書き込む、脅迫電話を掛ける、などの営業妨害も言葉による暴力に該当します。

上記の類型以外にも、言葉による暴力が問題となるケースは多々あります。
法律トラブルを起こさないよう、くれぐれも注意しなければなりません。

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2.言葉の暴力で成立する可能性のある罪一覧

言葉の暴力の行使があった場合、以下の犯罪が成立する可能性があります。まずは一覧表でみてみましょう。

犯罪の名称刑罰の内容
傷害罪15年以下の懲役または50万円以下の罰金刑
名誉棄損罪3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑
侮辱罪勾留または科料
脅迫罪2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑
強要罪3年以下の懲役刑
恐喝罪10年以下の懲役刑
軽犯罪法違反勾留または科料
威力業務妨害3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑

このようにさまざまな犯罪に該当する可能性があります。

3.言葉の暴力で犯罪が成立する要件や具体例

つぎに、それぞれの犯罪の成立要件や具体例をみていきましょう。

3-1.傷害罪

傷害罪は「人の身体を傷害したとき」に成立する犯罪です。傷害とは、「人の生理的機能を害すること」と理解されています。

つまり、直接暴力を振るわなくても言葉を投げかけたり大きな音でプレッシャーを与え続けたりして相手が病気になると傷害罪が成立する可能性があります。

たとえばパワハラ行為によって部下にひどい言葉をかけ続け、部下がうつ病や自律神経失調症にかかった場合などには上司に傷害罪が成立します。

傷害罪の罰金刑は、15年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑です。

3-2.名誉毀損罪

名誉毀損罪は、公然と、事実の摘示によって相手の社会的評価を低下させたときに成立する犯罪です。

「公然と」とは広く情報が伝わっていく可能性のある状態をいいます。たとえばネット上での投稿は「公然と」の要件を満たします。

「事実の摘示」とは、何らかの事実を示すことです。事実の内容は真実であってもなくてもかまいません。虚偽でも本当でも名誉毀損が成立する可能性があります。

相手の「社会的評価を低下させる」かどうかは客観的に判断されます。たとえば「前科がある」「不倫した」などの情報は通常、社会的評価を低下させるといえるでしょう。ネット上で誹謗中傷すると、名誉毀損罪が問題になるケースが多々あります。

なお、上記の要件を満たす場合でも、公共の利害に関する事実であり、公益目的をもって摘示を行い、内容が真実であると証明できた場合には名誉毀損が成立しません。

名誉毀損罪の刑罰は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑です。

3-3.侮辱罪

侮辱罪は、事実の摘示以外の方法で相手の社会的評価を貶めた場合に成立する犯罪です。

たとえば、単に「馬鹿野郎」「ブス」などと述べたら侮辱罪が成立する可能性があります。
ネット誹謗中傷事件では、特に侮辱罪が成立するケースが多くなっています。

侮辱罪の法定刑は「拘留」または「科料」です。

拘留とは29日以下の期間、身体拘束される刑罰をいいます。
科料とは9,999円以下の金銭支払を求められる刑罰です。

なお、「侮辱罪の刑罰は軽すぎる」との批判があり、現在、法改正によって重くされようとしています。改正案では「1年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金刑」が加わる予定となっております。

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3-4.脅迫罪

脅迫罪は、相手を脅したときに成立する犯罪です。脅迫の対象は、相手やその親族です。

脅迫内容は以下のようなものとなります。

生命

「殺すぞ」「命はないものを思え」など命を脅かす脅迫をした場合です。

身体

「殴るぞ」「刺すぞ」「痛い目に遭わせるぞ」など体を傷つける内容を告げた場合です。

自由

「拘束してやる」「逮捕するぞ」「子どもを誘拐する」など自由を拘束する内容を告げた場合です。

財産

相手の所持する財産を毀損したり価値を失わせたりする内容です。
たとえば「お前の大切にしている○○を壊すぞ」「ペットを殺すぞ」などと告げた場合に脅迫罪が成立します。

名誉

「相手の名誉を傷つける」と脅した場合です。たとえば「不倫をばらす」などと告げると、実際に不倫を広めなくても脅迫罪になる可能性があります。

脅迫罪は、ネット誹謗中傷だけではなくリアルにおけるモラハラ、パワハラなどのさまざまな状況で成立し、相手に脅迫的な言動を行った時点で既遂になります。

脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

3-5.強要罪

強要罪は、相手を脅迫して義務のないことを強制的にさせる犯罪です。脅迫にプラスして何らかの義務のないことを強要した場合に強要罪となると考えましょう。

たとえば「『自分が悪かった』と謝罪の文言をネットで投稿しないと殺すぞ、お前の子どもを誘拐するぞ」などと脅したら、強要罪が成立します。

強要罪の刑罰は3年以下の懲役刑であり、罰金刑はありません。

3-6.恐喝罪

恐喝罪は、相手に暴行や脅迫を加えて金銭の支払いや財物の交付を要求する犯罪です。

相手に言葉の暴力を投げかけるだけではなく、お金や財産を渡すよう要求すると恐喝罪が成立します。相手がお金を渡さなくても、恐喝行為をすれば未遂罪となります。

たとえば相手に対し「慰謝料500万円を払わないと殺すぞ」「慰謝料500万円を払うと約束するまでここから帰さない」などと言って脅した場合などです。男女トラブル絡みで恐喝罪が成立するケースがよくあります。

恐喝罪の刑罰は10年以下の懲役刑です。

3-7.軽犯罪法違反

公共の場で大声を出して周りの人を威圧すると、軽犯罪法違反が成立する可能性があります。

軽犯罪法では、公共施設や公共の乗り物で、他の入場者や乗客などに著しく粗野、乱暴な言動によって迷惑をかける行為が禁止されています。

刑罰は拘留または科料です。

3-8.威力業務妨害罪

言葉の暴力によって相手の業務を妨害すると「威力業務妨害罪」が成立する可能性もあります。

威力業務妨害罪とは、強い威勢を示して相手の業務を妨害したときに成立する犯罪です。
相手の業務内容は営利目的であってもなくてもかまいません。会社組織や店舗、各種の団体や個人の何らかの業務へ嫌がらせをすると、威力業務妨害が成立する可能性があります。

たとえば以下のようなケースが典型的な威力業務妨害行為です。

  • 嫌がらせの電話をかけ続ける
  • 店舗で大騒ぎをする
  • イベントが行われる際「爆破するぞ」と予告する

ネット上の投稿が威力業務妨害とされるケースもあります。

刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です。

4.言葉の暴力を投げかけると逮捕される?

リアルであれネットであれ軽い気持ちで相手に言葉の暴力を投げかけてしまう方もいるでしょう。

実際に逮捕される可能性はあるのでしょうか?

4-1.逮捕され起訴もされる

言葉の暴力により、実際に逮捕される事例はあります。ネット上において匿名投稿したケースでも、調べれば誰が投稿したのか判明するので「ばれない」と考えてはなりません。

ネット誹謗中傷した投稿者が逮捕され、実際に起訴されて有罪判決を受けるケースもよくありますし、悪質な場合、初犯でも懲役刑が科される可能性もあります。

4-2.起訴されないこともある

誹謗中傷などが原因で逮捕されても、起訴されるとは限りません。
以下のような場合、不起訴になる可能性も高くなります。

  • 犯罪の内容が軽い
  • 本人がしっかり反省している
  • 初犯である
  • 再犯可能性が低いと考えられる
  • 被害者も許している(示談が成立している)

不起訴になれば、有罪判決を受ける可能性もなく前科がつきません。
万一逮捕された場合には、できるだけ不起訴を目指すべきといえるでしょう。

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5.精神的暴力事件の刑事裁判の種類

起訴された場合の刑事裁判の手続きには2種類があります。

5-1.略式手続き

略式手続きとは、科料や100万円以下の罰金刑となる事件で、かつ本人が認めている場合に適用できる書面上の裁判です。

公開法廷は開かれず、裁判官が書面上のみで審理をして判決を下します。

本人が認めて略式手続きを受け入れている場合にしか適用されません。争いがある場合には通常起訴となります。適用できるのは科料または100万円以下の罰金刑となるケースだけであり、懲役刑や禁固刑が適用される場合には略式手続きにはなりません。

たとえば侮辱罪や軽犯罪法違反の場合、略式起訴されるケースも多々あります。
一方、強要罪や恐喝罪には懲役刑しかないので、略式起訴される可能性はありません。

略式手続きでも前科がつく

略式起訴の場合、裁判所に出頭する必要がありません。在宅事件であれば自宅に届いた郵便を受け取って罰金や科料を払えば、刑事手続きが終わります。

ただしその場合でも一生消えない前科はつくので、軽く考えるべきではありません。

5-2.通常の刑事裁判(公判請求)

通常の刑事裁判(公判請求)は、公開法廷で被告人を裁く原則的な裁判です。月1回程度、法廷で公判が開催され被告人は裁判官の門前で検察官から責任を追求されます。

弁護人に依頼して主張や証拠提出をしたり、証人尋問や被告人質問に対応したりしなければなりません。

公開法廷なので、一般人による傍聴も自由です。

通常起訴されるのは以下のような事案です。

  • 懲役刑や禁固刑が適用されるケース
  • 100万円を超える罰金刑が適用されるケース
  • 本人が否認しているケース
  • 本人が略式裁判を受け入れないケース

6.言葉の暴力を投げかけてしまった場合の対処方法

リアルやネット上でトラブルになり、ついつい過ぎた表現をしてしまうケースがあるものです。

相手が「刑事事件にする」と言い出したり告訴されたりしたら、以下のように対応しましょう。

6-1.違法性があるかどうか検討する

相手が怒っていても、こちらに違法性があるとは限りません。

名誉毀損や侮辱ともいえないのに、相手が勝手に気分を害している場合もよくあります。
まずはこちらの行為が違法といえるのか、法的な観点から検討しましょう。

違法性がないなら相手にその旨伝えるか、あるいは放置した方が良い状況も考えられます。

一方、こちらに非があるなら真摯な態度をとるべきです。

6-2.謝罪する

こちらの言動に違法性があるなら、相手へ謝罪しましょう。

言い過ぎたことを認めて真摯な気持ちを伝えれば、相手も刑事事件にせずに矛を収める可能性があります。

6-3.示談する

相手が被害届を出したり刑事告訴したりして刑事事件になってしまったら、早期に示談すべきです。示談が成立してきちんと示談金を支払えば、通常警察はトラブルに介入しないので、逮捕を避けられます。

逮捕後であっても示談が成立すれば、不起訴にしてもらえる可能性が高くなるものです。

6-4.弁護士に相談する

法律知識のない方が自分の行為に違法性があるのか、判断するのは困難でしょう。相手と示談するとしても、直接交渉するとトラブルが激化する可能性があります。

精神的な暴力が原因でトラブルが起きそうな状況になったら、早めに弁護士へ相談するようおすすめします。

弁護士であれば法的な観点から違法性があるかどうかを判定できます。

代理人として相手と示談を進めたり、刑事弁護人として被疑者被告人の利益を守ったりもできます。

恵比寿の鈴木総合法律事務所は刑事弁護に力を入れています。言葉による精神的暴力が原因でトラブルになっている方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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