弁護士会照会とは?どんな情報を取得できるの?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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弁護士は、事件を解決するにあたり、必要に応じて弁護士会照会を利用することがあります。

弁護士会照会とは、弁護士による情報収集手段の1つであり、電話番号から契約者の氏名や住所を調べたり、特定の金融機関に対し口座の有無やその残高を調べることができます。対象者の情報や資産状況等を確認することができますので、債権回収や遺産分割等の事案で利用されることが多いです。

今回の記事では、弁護士会照会について弁護士が解説します。

目次
  1. 1.弁護士会照会とは
  2. 2.弁護士会照会によって入手できる情報
  3. 3.弁護士会照会を利用すべき場面
  4. 4.弁護士会照会を行う手順
  5. 5.弁護士会照会の費用
  6. 6.弁護士会照会の留意点
  7. 7.さいごに

1.弁護士会照会とは

弁護士会照会とは、弁護士が、法律の規定(弁護士法23条の2)にもとづいて、事件の解決に必要な情報を取得できる手続きです。「弁護士照会」「弁護士法23条照会」「23条照会」等と呼ばれることもあります。

弁護士会照会制度の目的

弁護士会照会制度の目的は、事件の解決に資することです。

弁護士として職務を遂行する上で、事件の解決を図るためには相手方についての情報が必要となることがほとんどです。

相手の居場所がわからなければ示談交渉の申し入れや訴訟提起もできません。また、債権回収事件において支払い命令の判決を得ても、差し押さえ対象の財産が不明のままであれば債権回収を達成することはできません。

弁護士会照会制度は、この点に資するために設けられた制度であり、事件解決に必要な限度で弁護士が相手方の情報を入手できるようになっております。

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2.弁護士会照会によって入手できる情報

弁護士会照会により照会できる情報としては、下記のものが挙げられます。

2-1.電話番号やメールアドレスから、氏名・住所等を取得

相手方の電話番号が判明している場合、携帯電話会社に対し弁護士会照会を行うことで、氏名や住所などの情報を取得できる可能性があります。

電話番号が不明であってもメールアドレスが判明しているのであれば、相手方の情報を取得できる可能性があります。

また、契約年月日や支払方法(引き落とし口座、クレジット会社)についても取得することができるケースもあります。

なお、携帯電話会社によって対応は異なり、必ずしも上記の回答を得られるとは限りません。

2-2.勤務先から、住所や給与情報を取得

相手方の勤務先が判明している場合は、勤務先に対し弁護士会照会を行うことで、相手方の住所や給与額、所属している部署や役職などの情報を得られる可能性があります。

2-3.銀行から、口座の有無や支店名の確認

金融機関に照会を行なうことで、口座の有無、口座がある場合は口座情報、残高、取引履歴等の情報を得られる可能性があります。

ただし、金融機関は第三者による照会を拒否するケースが多く、弁護士会照会を利用しても開示してもらえないことが結構あります。

そのため、債権回収事案においては開示してもらえないケースが多く、実際に活用するのは主に相続人が遺産調査をする場合となります。

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2-4.証券会社から、株や投資信託の情報を取得

証券会社に照会を行うことで、その証券会社で取引している株や投資信託の有無や残高、種類などの情報を入手できる可能性があります。

2-5.保険会社から、生命保険契約の情報を取得

保険会社に対し弁護士会照会を行うことで、保険契約の有無や内容、解約返戻金の金額や受取人などの情報を得られる可能性があります。

2-6.医療機関から、医療や介護に関する情報

病院などの医療機関に対し弁護士会照会を行うことで、対象者の傷病名や入院・通院期間、後遺症の情報を得られる可能性があります。

2-7.警察から、交通事故の実況見分調書

警察に対し弁護士会照会を行うことで、事故直後に行われた実況見分にもとづく実況見分調書や相手方の供述調書を取得できる可能性があります。

2-8.刑務所から、相手の服役状況に関する情報

相手方や関係者が懲役刑や禁固刑によって服役している、あるいは過去に服役していた場合、弁護士会照会を行うことで、入所している(していた)刑務所名や収容年月日を確認することができます。

2-9.法務省入国管理局から、出入国記録

法務省入国管理局に対し弁護士会照会を行うことで、相手方の出入国記録等の情報を取得できる可能性があります。

2-10.入国管理局から、外国人の住所

相手方が外国人で詳細な情報が不明な場合、入国管理局に対し弁護士会照会を行うことで、氏名や生年月日、国籍などを確認できる可能性があります。

2-11.監督官庁から、事業に関する情報

相手方が事業者で各種の許可や届出をしている場合、監督官庁に対して弁護士会照会を行うことで、許可や届出に関する番号、屋号、認定された日にちや代表者名などの情報を取得できる可能性があります。

3.弁護士会照会を利用すべき場面

3-1.差し押さえに向けて相手方の資産状況を調査

貸付金や売掛金を払ってくれない場合や借主が賃料を払わない場合、支払督促や訴訟を起こして「仮執行宣言」や「判決」を取得する方が多いでしょう。しかし、相手方の資産状況が不明のままでは差し押さえができません。

このような場合、弁護士会照会を利用することで、相手の株式や投資信託、保険の解約返戻金、給与額などの情報を把握できる可能性があります。

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3-2.居場所が不明な相手の氏名や住所を調査

お金を貸した相手に逃げられてしまい、請求ができないというケースも多々あります。

このような場合、電話番号やメールアドレスが判明していれば、弁護士会照会を利用することで、相手の住所等の情報を取得できる可能性があります。

3-3.男女問題における慰謝料請求に関する調査

不貞や貞操権侵害の場面でも、弁護士会照会が役立つケースが多々あります。電話番号やメールアドレスから、相手の住所等の情報を取得できる可能性があるからです。

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3-4.遺産相続案件への活用

遺産相続に関する事件でも弁護士会照会を利用するケースが多いです。

たとえば、特定の相続人が故人の預金通帳を隠して開示しない場合、相続人であれば金融機関へ照会して取引履歴を確認できます。銀行によっても対応が異なりますが、おおむね10年分までであれば開示を受けられるケースが多数です。

相続財産の使い込みが疑われる場合にも取引履歴の照会は有効となるでしょう。

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4.弁護士会照会を行う手順

弁護士会照会が実行される手順は、以下のとおりです。

STEP1.弁護士が弁護士会へ照会を申請する

弁護士が、受任した事件について「弁護士会照会を利用しての調査が必要」と判断した場合には、弁護士会照会の照会申出書を作成して所属する弁護士会へ提出します。

この際、入手したい情報や情報が必要な理由、情報の使用目的を明らかにしなければなりません。正当な理由なく照会申出を行なうことはできません。

STEP2.弁護士会による審査

弁護士から照会申出書の提出を受けた弁護士会は、その内容を「審査」を行います。
この審査にとおらなければ、弁護士会照会は行われません。

STEP3.弁護士会が照会先(対象機関)へ照会書を送る

審査の結果、弁護士会が「適切」と認めた場合は、弁護士会から対象機関に対しと照会書が発送されます。

弁護士会照会は、非常に強い検索権限を与えられており、個々の弁護士が申請可能とすると、照会を濫用される可能性があります。そこで、このように弁護士会が審査し、弁護士会が照会するというワンクッション置いた流れになっています。

STEP4.照会先から弁護士会へ回答が送られる

法律上、弁護士会照会を受けた対象者には回答義務があります。多くの場合、対象者は回答書を作成して弁護士会へと送付します。

なお、回答書に個人情報保護法などの理由で伏せるべき情報が載っていた場合には、一部黒塗りされる可能性もあります。また、相応の理由に基づき、請求した情報を開示しないこともあります。

STEP5.弁護士会が弁護士へ報告する

照会先から弁護士会へ回答書が到着すると、弁護士会は弁護士に対しその旨報告します。
報告を受けた弁護士は、弁護士会へ回答書を受け取りに行きます。

STEP6.弁護士が回答内容にもとづいて事件を進める

回答内容を利用して、弁護士が事件を進めます。

情報の内容は事件に必要な限度で利用するので、依頼者に開示されるとは限りません。

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5.弁護士会照会の費用

弁護士会照会には費用がかかります。各都道府県の弁護士会にもよりますが、1件について8,000円~9,000円程度です。

回答が得られなかった場合でも費用は返ってこないので注意が必要です。

なお、法テラスの案件や刑事事件の国選弁護事件では、弁護士会への手数料を免除してもらえます。その場合でも郵送費用はかかるので、0円になるわけではありません。

6.弁護士会照会の留意点

6-1.事件を依頼しないと利用できない

弁護士会照会が行われるのは、弁護士に債権回収や男女問題等の事件を依頼し、弁護士がその事件の中で弁護士会照会をする必要があると判断したときのみです。

何の事件も依頼せずに、単純に「情報照会だけしてほしい」としても弁護士が対応することはありません。

6-2.審査にとおらないと照会はできない

弁護士が弁護士会照会の申請をしても、弁護士会が審査で認めなければ実際には情報照会されません。

6-3.情報が依頼者に開示されるとは限らない

弁護士会照会の目的は、弁護士による事件の解決に資することです。依頼者へ情報を知らせる目的ではありません。また、個人情報保護の要請もあるため、回答を得られたとしてもその内容を依頼者が確認できるとは限りません。

回答内容を見せてほしい伝えても、担当弁護士から開示はできないと断られることがあります。

6-4.目的外利用は禁止される

弁護士会照会で得た情報の利用目的は制限されており、照会申出の際に明らかにした目的以外には使用してはなりません。

他の目的に情報を流用すると「弁護士にあるまじき非行」と評価され、弁護士が懲戒処分を受ける可能性もあります。

6-5.回答を拒否される可能性もある

弁護士会照会は法律にもとづいた制度であり、照会を受けた機関や人には回答義務があります。

しかし、回答をせずとも罰則はありません。相手方によっては情報提供を拒否するケースもあります。

弁護士会照会をしたからといって100%確実に情報を入手できるわけではない点にご注意ください。

6-6.失敗しても費用がかかる

弁護士会照会を行っても必ずしも審査にとおるとは限りませんし、機関側に回答を拒否される可能性もあります。

申請をしたけど情報が開示されなかった場合であっても費用(5段落目参照)はかかるので注意しましょう。

7.さいごに

恵比寿の鈴木総合法律事務所では、債権回収をはじめとした企業法務、不倫の慰謝料請求や交通事故案件、遺産相続案件など幅広く対応しております。

複数弁護士が所属しているので、依頼者さまを協力にバックアップできるものとの自負があります。相手方の所在がわからない、差し押さえの手続きを進めたい、相手の隠し財産を明らかにしたいなどのお悩みをお持ちの方は、ぜひとも1度ご相談ください。

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