債務整理の記事に頻出する法律用語について解説!!

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弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
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債権、債務、保証、免責、住宅ローン特則、信用情報、官報・・・。借金問題でお困りの方がその解決方法を調べようとした際に直面する問題の一つに、法律系の用語の知識が不足していることが挙げられます。

法律系の学問を専攻しない限り法律用語を学ぶ場面は少ないことから知識が不足してしまうのは仕方のないことです。

今回の記事では、こと債務整理の分野において頻出する法律系の用語について債務整理事案の経験豊富な弁護士が解説します。

債権と債務

債権と債務、似たような名称であることもあって、なじみのない人にはややこしく感じてしまいます。まずはこれらの違いについて見ていきましょう。

01.債権

債権とは、特定の人に、特定の行為や給付を請求することができる権利のことです。

お金の貸し借りの関係においては、お金を貸している側は、借りている側に対し「お金を返して」「お金を払って」と請求できる権利を有しており、この権利のことを債権といいます。

なお、債権は「特定の行為や給付を請求することができる権利」ですので、「お金を返して」と請求できる権利以外のものを内容とすることも多々あります。たとえば「絵を描いて」「食事を提供して」というような請求権も債権にあたりますが、こと債務整理や借金問題における「債権」については、「お金を返して」「お金を払って」という権利と考えていただいて結構です。

02.債権者

債権者とは、債権を有する人のことをいいます。

お金を貸している人は、お金を借りている人に対して「お金を返して」という債権を持っているので、借りている人との関係では債権者となります。

なお、債権者は「債権を有する人」のことですが、ここでいう人は人間(自然人)だけではありません。会社のような法人も人として扱います。そのため、消費者金融を営む株式会社も債権者にあたります。

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03.債務

債務とは、特定の人に特定の行為や給付をする義務のことです。お金の貸し借りの関係においては、お金を借りている側は、貸している側に対し「お金を返す義務」を負っており、この義務のことを債務といいます。

なお、債務は「特定の行為や給付をする義務」ですので、「お金を返す義務」以外のものを内容とすることも多々あります。たとえば「絵を描く」「食事を提供する」というような義務も債務にあたりますが、こと債務整理や借金問題における「債務」については、「お金を返す義務」「お金を払う義務」と考えていただいて結構です。

04.債務者

債務者とは、債務を負う人のことをいいます。

お金を借りている人は、お金を貸してくれている人に対して「お金を返す義務」を負っているので、貸してくれている人との関係では「債務者」となります。

なお、債務者は「債務を負う人」のことですが、この「人」は人間(自然人)だけではなく会社のような「法人」も含みます。

債務の履行、債務の不履行

01.債務の履行

債務の履行とは、債務者が債権者に対し、債務の本旨に従った履行を行なうことを言います。簡潔に説明すれば、債務の履行とは債務の内容をちゃんと行なうこと(実現すること)です。

お金の貸し借りの関係においては、お金を借りている側が、お金を貸している側に対し、約束通りの返済を行なわなければなりませんが、このお金を返済することが債務の履行です。「毎月25日までに1万円を返済する」という債務を負っている場合は、「25日に1万円を返済する」ことで債務を履行したことになります。

02.債務不履行

債務不履行とは、債務者が債権者に対し、債務の本旨に従った履行を行なうことができなかったことを言います。簡潔に説明すれば債務の内容を実現できなかったということです。

例えば「毎月25日までに1万円を返済する」という債務を負っているケースにおいて、以下のような対応をした場合、約束とおりの対応ができていないので債務不履行となります。

  • 27日に1万円を返済した場合
  • 25日に5千円を返済した場合
  • 一切返済しなかった場合

保証債務

01.保証(保証債務)

保証(保証債務)とは、主たる債務者が債務を履行しない事態に備えて、債務者以外の者(保証人)との間で取り交わす債務のことです。主となる債務者に債務不履行があった場合、債権者は保証人に対し請求することができます。

02.保証人

保証人とは、保証債務を負う人のことをいいます。主債務者が債務を履行しなかった場合、保証人は債権者から請求を受けることとなります。

03.連帯保証・連帯保証人

連帯保証は、単なる保証よりも重い責任を課せられる保証とお考え下さい。また、連帯保証人は連帯保証債務を負う人のことをいいます。

今回の記事では、重い責任の具体的な説明については割愛します。詳細については下記のリンクを参照してください。

連帯保証人から外れるにはどうすればいい!? 知人が金融機関から借入を行なうにあたり連帯保証人になった 経営する会社の借入について経営者が連帯保証人になった 住宅ローンを組むにあたり配偶者の連帯保証人となった 父が亡くな...

04.保証人がつくケース

  • 賃貸マンションの賃貸
  • 奨学金
  • 高額なローン
  • 住宅ローン
  • 法人に対する事業融資

上記の契約においては、保証人、連帯保証人が付けられていることがほとんどです。上記のような負債について破産や個人再生に臨む場合、保証人や連帯保証人に請求がいってしまうこととなりますので注意しましょう。

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破産

破産に関連する用語について確認しておきましょう。

01.破産

破産とは、破産者(債務者)が有している財産を換価処分し、債権者に対し平等に分配する一連の手続きのことをいいます。破産者が所有する財産をお金に変えて債権者で平等に分けるという手続きなので債権者のために設けられた手続きといえます。

なお、破産者は、個人であるか法人(会社)であるかを問いません。破産者が個人である場合は自己破産、破産者が法人である場合は法人破産です。

02.免責

自己破産の場合は破産の申立とセットで免責許可申立を行ないます。

破産手続きは破産者の有する財産を換価処分し債権者に平等に分配する手続きであることから、破産によって破産者は財産を失ってしまうこととなります。財産を失っても債務(借金)がなお残るようだと、破産者にとっては踏んだり蹴ったりです。この不都合を回避するため、破産手続きを終えた個人の破産者に対して免責という「負債を返済する任をれさせる効果」を与えます。すなわち、個人の破産者は、免責を得ることで借金をゼロにすることができるのです。

法人には免責という考えはない

法人が破産する場合には、免責という概念はありません。法人破産の場合、破産手続き終結後に法人そのもの(法人格)が消滅します。法人そのものが消滅してしまえば債権者は債務を請求する先を失いますので、免責という概念はなくとも当然に負債は消滅する(請求できなくなる)こととなります。

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03.免責不許可事由

免責の効果は、破産申立を行なった個人の破産者全員に対し必ず与えられるものではありません。

破産法第252条第1項各号に定められている事項に該当する行為を行なっていた場合、免責不許可となり免責はを得ることができません。この破産法第252条第1項各号で定められている事項を免責不許可事由といいます。

破産法第252条第1項の第4号においては、免責不許可事由の一つとして「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」と規定されており、以下の行為がこれに該当するものとされています。

  • 収入に見合わない買い物といった浪費
  • 風俗やキャバクラなどへの費消
  • パチンコや競馬などの賭博行為(ギャンブル)
  • 株取引やFX等の投機行為
  • その他の射幸行為

免責不許可事由に該当する行為は上記の行為以外にも多々ありますが、ここでは説明を割愛します。

04.裁量免責

免責不許可事由に該当するような行為、例えば競馬で作ってしまった借金については絶対に免責を得ることはできないのでしょうか?

実はそのようなことはありません。破産法第252条第2項には以下のように規定されています。

破産法第252条第2項

前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

この条項の内容としては、ギャンブルへの費消のような免責不許可事由に該当する行為で借金を作ったとしても、免責許可とするのが相当と判断しうる事情・理由がある場合には特別に免責の効果を与えます、というものです。この「裁判所の裁量によって特別に与えられる免責」のことを専門用語で裁量免責といいます。ギャンブルや浪費で借金を作ってしまった方はこの規定を適用してもらうことで免責を獲得することを目標とします。

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05.非免責債権

非免責債権とは、免責の効果が及ばない債権、すなわち破産手続を終えて免責を得られたとしてもなお負債として残ってしまう債権のことです。

非免責債権にあたるものとしては、住民税や自動車税等の租税や破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権などがあります。詳細は下記リンクを参照ください。

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破産手続

01.少額管財と同時廃止

個人の破産手続には下記の2種類があります(東京地裁の運用)。

  • 少額管財
  • 同時廃止

破産事件は原則として少額管財事件として処理されます。少額管財事件では、破産管財人が選任され、破産者の夫妻や財産の状況、破産に至った経緯、免責不許可事由の有無などが調査されます。なお、一定以上の財産がない、免責不許可事由がない等の所定の要件を満たす場合は、同時廃止事件として処理されます。

破産事件が、少額管財事件と同時廃止事件のどちらの事件で受理されるのかの終局的な判断は裁判所によって行われます。また、少額管財と同時廃止の違いは、手続きの進行過程や管財予納金の有無に影響しますが、申立書の内容や必要書類、手続き終結による効果(免責)については、両者に違いはありません。

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なお、少額管財は東京地方裁判所の運用です。東京地方裁判所以外の地方裁判所は、東京地裁の運用に準じているところもあれば、「通常管財」と「同時廃止」という形で運用しているところもあります。

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弁護士 奥野

02.破産管財人

破産管財人とは、破産申立が少額管財事件で受理された場合に選任される人です。通常は弁護士の中から選任され、下記の役割を担います。

  • 破産者が有していた財産の換価・処分・回収
  • 破産債権の認否
  • 債権者に対する配当
  • 裁判所は破産債権者に対する報告
  • 免責調査等

03.管財予納金(管財費用)

管財予納金(管財費用)とは、管財事件において破産手続きを行なうために管財人に引き継ぐことになる費用のことです。

東京地裁の少額管財事件の場合の管財予納金は原則20万円です。なお、破産者が持っている財産やその他の事情によっては20万円より増額されることもあります。また、東京地方裁判所以外の地方裁判所では最低金額が30万円とされていることもあります。

04.債権者集会

債権者集会とは、管財事件において、破産管財人から債権者に対し手続きの調査結果や配当等について債権者に報告し、債権者からの意見を聴取する集会のことです。裁判所に設けられた集会場で開催されます。

なお、自己破産のケースでは貸金業者といった債権者が債権者集会に出向いてくることは稀です。貸金業者等はある程度貸し倒れリスクを見込んで金銭を貸し付けたりしているので、わざわざ集会に出向いてこないのです。他方で個人債権者や法人破産のケースでの取引先といった一般債権者は、債権者集会に参加することが多い傾向にあります。

個人再生

個人再生に関連する用語について確認しておきましょう。

01.個人再生

個人再生とは、法律の規定に基づき負債(債務)を減額する手続です。民事再生法に基づいて債務を圧縮することができ、月々の支払負担の軽減効果が高いといえます。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。両者は、手続き要件、手続きの進行(書面決議or債権者の意見を聴く手続き)や再生計画による返済額を決定する際の基準(可処分所得の基準の採用)に違いが出てきますが、基本的には小規模個人再生を利用することがほとんどです。

個人再生手続きの流れについて
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02.住宅ローン特則

住宅ローン特則とは、端的に説明すれば、住宅ローン支払中の住宅を維持しながら個人再生を申し立てするための特則です。住宅資金特別条項ともいいます。
なお、住宅ローンについては再生計画案による減額の対象とはなりません。

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弁護士 浜島

任意整理

任意整理とは、債務者が抱える負債について弁護士が債務者の代理人として債権者と交渉する手続きです。現在の負債をどのように弁済するのかを取り決め和解を締結します。

任意整理は当事者間の任意の交渉により成立するものであり、交渉方法等について法律に定めがあるものではありません。従って、裁判所を介して手続きを行なう自己破産や個人再生とはその性質を異とします。

任意整理のメリット・デメリット個人の債務整理は、自己破産、個人再生、任意整理の3つに大別されます。 自己破産と個人再生については裁判所を介して行う法的手続きであるため、その手続きは厳格でありかなりの制約が課されます。資料を集...

信用情報

01.信用情報

信用情報とは、信用情報機関に登録される各個人の情報です。登録される情報は信用情報機関によって若干の差異はありますが、大まかに下記の3種に分類されます。

  1. 個人に関する情報
  2. 契約内容に関する情報
  3. 支払い状況に関する情報

①は、名前、住所、電話番号、家族構成、勤務先、免許証番号といった情報です。②は、契約会社、契約日、契約額といった情報です。また、③は、残債、入金履歴、事故情報(異動情報)といった情報です(いわゆるクレジットヒストリー)。

02.信用情報機関

信用情報機関とは、個人の信用情報を収集・保有している機関です。すべての貸金業者(消費者金融業者)やクレジット会社、銀行などの金融機関は信用情報機関に加盟しており、各個人の情報を登録し、新規契約時の与信審査の場面においてこれらの情報を参照します。

各業者がそれぞれ有している情報(取引情報等)を信用情報機関にアップロードし(登録 ・共有)、他の業者がアップロードされた情報をもとに自社での与信審査等を行なうといったシステムをイメージしていただければ結構です。

信用情報機関は、以下の機関です

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC 一般社団法人全国銀行協会)

03.事故情報(異動情報)

支払の遅延(滞納)や破産等、貸付を行なっている会社側から見てネガティブな情報については、事故情報(異動情報)として信用情報に登録されます。事故情報・異動情報として登録されるものとしては主に下記のものが挙げられます(信用情報機関によって差異あり)。

  • 延滞・遅延:約定の返済日を過ぎても入金がなされていない
  • 債務整理:任意整理や破産、特定調停等を行なった場合
  • 強制解約:返済能力が喪失したと判断し、強制解約に至った場合
  • 官報掲載:官報に掲載された事件情報(全国銀行個人信用情報センターのみ)
ブラックリストは存在するの?信用情報って何?クレジットカードの返済を滞納するとブラックリストに載ってしまう、とお考えになっている方が多数いらっしゃるようですが、実はブラックリストなるものは存在しません。 これに代わるものとして信用情報機関...

その他

01.官報

官報とは、国(政府や各省庁といった行政機関)が諸事項を一般国民に周知させることを目的として刊行される公告文書(広報紙)です。国が発行する新聞と考えていただければ理解が容易かと思われます。

政策や行政等に関する諸事項を国民に周知させるという目的から、掲載される内容は、法律・政令・条約などの公布、国や特殊法人等の諸報告、会社の決算公告等が掲載されます。
官報は、国立印刷局が、行政機関の休日を除き、毎日発行しています。

破産手続や個人再生の手続きにおいては、進捗状況に応じて適宜官報に情報が掲載されます。詳細は下記リンクを参照ください。

官報とは?何が掲載される?いつ掲載される?破産や個人再生を申し立てた際のリスク・デメリットの一つとして、手続きのことが官報に掲載されてしまうという点があります。 そもそも官報とはなんなのか? どのタイミングで官報に情報が掲載さ...

さいごに

債務整理に関し疑問点があるのであれば、債務整理に力を入れて取り組んでいる専門家に相談しましょう。

東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、債務整理について注力しております。自己破産、個人再生、任意整理いずれも広く受け付けておりますので、借金問題でお困りの方は是非一度ご相談ください。

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