家族がひき逃げ事故や死亡事故の加害者になったときの対処方法

監修者
弁護士 鈴木 翔太
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家族がひき逃げ事故、死亡事故の加害者になったときの対処方法を解説

自身のご家族(夫や妻、子)が、ひき逃げ事故や死亡事故といった重大な交通事故を起こしてしまったら。

  • 家族としてどう対処したらよいのか?
  • 事故を起こした本人は刑務所に行くことになるのか?
  • 賠償金は誰が払うことになるのか?
  • 事故を起こした本人や自分の今後の生活はどうなってしまうのか?
  • 事故を起こした本人は勤務先を解雇されたり退学となってしまうのか?

上記のような疑問にどう対処すればよいかわからず動転してしまうかもしれません。

今回は家族が交通事故を起こした場合の法律的な責任や適切な対処方法を解説します。

1.交通事故の加害者家族に賠償責任が及ぶケース

交通事故を起こしてしまったら、事故を起こした本人は加害者として被害者に対し損害賠償をしなければなりません。

相手が怪我していたら治療費や慰謝料、休業損害などを支払わなければなりません。死亡事故にまで至った場合には、慰謝料や賠償金が数千万円以上になってしまうこともあります。

加害者の家族が被害者に対し損害賠償金を支払わなければならないケースはあるのでしょうか?

交通事故で賠償義務が発生するのは「不法行為」が成立しているからであり、不法行為責任は原則として「行為者」のみに発生するものです。
従って、加害者と同居している家族に不法行為責任が及ぶものではないので、支払義務も及びません。

ただし、以下のような事情がある場合、家族が賠償義務を負う可能性があります。

1-1.家族の所有する車で事故を起こされた

家族の所有する車で交通事故を起こされた場合には、車の所有者が「運行供用者責任」という賠償責任を負う可能性があります。

運行供用者責任とは、車の運行を支配し利益を得ている人に発生する自動車損害賠償保障法にもとづく責任です。

たとえば父が所有する車を子どもが運転して事故を起こした場合、所有者である父が運行供用者責任にもとづいて被害者へ賠償金を払わねばならない可能性があります。

1-2.12歳以下の子どもが事故を起こした

子どもが小さい場合、その判断能力は未成熟であり、不法行為責任を負う能力もありません。親が適切に監督しなければならない状況です。子の親には「監督者責任」が発生しております。
そのため、12歳以下の子供が起こした交通事故については、監督者責任に基づき親が責任を負うケースもあります。

小学生の子どもが自転車を運転して高齢者と衝突し、老人に大けがを負わせたら親が賠償金を払わねばならない可能性があると考えてください。

なお、子どもが13歳以上くらいの年齢になってくると、基本的に子どもが自身で不法行為責任を負うので親の監督者責任は発生しません。
その場合でも、親の監督不行届が直接的な事故原因となっている場合には、親に責任が発生する可能性はあります。

1-3.認知症の家族が事故を起こした

認知症が進行した人が交通事故を起こした場合も、家族に責任が及ぶ可能性があります。

症状の程度にもよりますが、認知症が相当悪くなっていると家族に監督義務が発生するためです。

たとえば家族が車のカギをきちんと管理せず放置していたがために、認知症の親が自動車を運転して死亡事故などを起こすといったケースでは、家族に損害賠償請求がなされる可能性があります。

1-4.飲酒運転の車に同乗した

近年では、飲酒運転に対する罰則が非常に強化されています。家族がアルコールを摂取していると知りながら同乗すると、同乗者にも罰則が適用されるので注意しましょう。

運転していた家族本人が「酒気帯び運転」だった場合、同乗者に適用される刑罰は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑」です。

運転していた家族本人が「酒酔い運転」だった場合、同乗者に適用される刑罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」となります。

飲酒運転の同乗者には、民事賠償責任も及ぶ可能性があります。

家族がお酒を飲んでいるなら、絶対に同乗してはなりません。本人を説得して運転をやめさせましょう。

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2.家族が交通事故を起こしたら、その後の生活はどうなる?

家族が交通事故を起こすと、その後の生活はどうなるのでしょうか?

2-1.民事賠償について

交通事故を起こしたら、交通事故を起こした本人(加害者)は被害者に対し賠償金を払わなければなりません。

任意保険に加入しているのであれば、任意保険から賠償金を払ってもらえます。この場合、示談交渉も保険会社に委ねることになります。

ただし後述のように、こと重大事故の加害者となっている場合は、保険会社に任せきりにせず、被害者のお見舞いに行くなどの一定の誠意はみせるべきといえるでしょう。

保険に入っていない場合、本人が自分で賠償金を払わねばなりません。重大事故の賠償金は数千万円単位となり、個人が用意するにはかなりの高額となりますので任意保険への加入は必須といえるでしょう。

2-2.刑事事件になる可能性がある

交通事故が人身事故になると、刑事事件になる可能性があります。

「道路交通法違反」や「自動車運転処罰法違反」で有罪判決が出ると、刑罰を科されて前科がつきます。

以下のような事情があると、特に重い刑罰が適用される可能性が高くなるので、注意しましょう。

  • ひき逃げをした
  • 飲酒運転していた
  • 死亡事故を起こした
  • 異常なスピード違反など、極めて危険な運転をしていた

刑事責任は事故を起こした当事者に及ぶものであり家族に及ぶことはありませんが、事故を起こした本人が逮捕されたり刑務所に行かねばならなくなったりしたら、家族には大きな影響が及ぶでしょう。

家族が死亡事故などの重大事故を起こしたら、刑事手続きへの対処も重要となってきます。

2-3.免許停止、取消になるリスク

家族が交通事故を起こすと、本人の免許が停止されたり取り消されたりするリスクが発生します。たとえば死亡事故を起こすと、一回で免許取消になります。

本人がタクシーや宅配、運送などのドライバー業をしている場合には仕事ができなくなって多大な影響が及ぶでしょう。職を失ってしまったら、家族の生活も危ぶまれます。

2-4.マスコミ報道されるリスク

重大事故やセンセーショナルな事故を起こすと、交通事故がマスコミ報道されるケースが少なくありません。

高齢者が危険な交通事故を起こした場合、社会的地位の高い人、有名人、著名人が不注意で事故を起こした場合は、報道されないことの方が珍しいです。

実名報道されれば、交通事故の事実が世間に知れ渡り、事故を起こした本人だけではなく家族にもさまざまな影響が及びます。

無言電話や脅迫電話、郵便などの嫌がらせが行われたり、子どもが学校でいじめられたりする可能性もあるでしょう。賠償責任が及ばないとしても家族には多大な精神的負担が発生してしまいます。

死亡事故、重大事故のご家族の方へ
死亡事故、重大事故のご家族の方へ交通事故では、不幸にもご本人が死亡してしまう可能性があります。死亡に至らなくても遷延性意識障害(植物状態)や全身麻痺など、重大な後遺障害が残って本人には何もできなくなってしまうケースもあります。 ...

3.交通事故を起こしたことを理由に離婚できる?

重大な交通事故を起こしたことを理由に離婚に至るケースは少なくありません。

そもそも「配偶者が交通事故を起こしたという事実」は離婚原因になり得るのでるのでしょうか?

法律上、単に交通事故を起こしただけでは「法定離婚事由」になりません。法定離婚事由とは、民法の定める裁判上の離婚原因です。法定離婚事由がある場合、相手が拒絶しても裁判所に離婚判決を出してもらって離婚できます。

交通事故を起こしただけでは離婚が認められにくいことから、配偶者が重大な事故を起こしたとしても本人が離婚を拒絶する限り、離婚は困難といえるでしょう。

ただし、これまでに不倫されたりDV被害を受けたりしていた経緯があったら離婚できる可能性があります。

また、協議離婚であれば、法定離婚事由の有無は関係ありません。

世間で交通事故後に離婚しているご夫婦は、多くが協議離婚しているものと考えられます。

交通事故がマスコミ報道されて家族に多大な悪影響が出ている場合には、あえて離婚して別居する方がよいという考え方もあるでしょう。ご家族で話し合って最善の選択をしてください。

4.交通事故を理由に解雇される可能性は?

「交通事故を起こしたら会社をクビになってしまうのでは?」と心配される方も多数おられます。

基本的には、交通事故を起こしただけで解雇される可能性は低いと考えられます。なぜならば、法律上、解雇には厳しい制限が課されているからです。

ただし、タクシーやバス、トラック運転手などの職業ドライバーが飲酒運転で重大事故を起こしてしまった場合には注意が必要です。

ニュースになり会社の信用を大きく失墜させて損害を与えた、免停により業務を遂行することが不可能になった、となれば解雇される可能性が高いので注意しましょう。

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5.家族が交通事故を起こしたときの対処方法

もしも家族が交通事故を起こしたら、どのように対応するのがベストなのでしょうか?

5-1.一緒に謝罪に行く

被害者にケガをさせてしまったり死亡事故を起こしてしまったりしたら、必ず謝罪やお見舞いに行きましょう。

時折、「保険に入っているので、保険会社に任せておけばよい」と考える方がいらっしゃいますが、そういった考えは適切とはいいにくいです。

確かに賠償金は保険会社が払ってくれますが、きちんと謝りに行かないと誠意が伝わりません。当初に被害者の心証を悪くすると、その後の示談もこじれる可能性がありますし、刑事事件でも「厳重に処罰してください」などと厳しい意見を述べられる可能性が高くなります。

できるだけ穏便かつスムーズに解決できるように、事故発生後の早い段階で被害者に連絡を入れて謝罪に行くようお勧めします。

相手が入院していればお見舞いに、相手が死亡してしまった場合にはお葬式に参列させて頂けるようお願いしてみてください。

5-2.利用できる保険を確認する

交通事故を起こしたら、保険の適用が必須です。

まずは以下の自動車保険を適用しましょう。

  • 対物賠償責任保険

相手に対する物損を賠償します。

  • 対人賠償責任保険

相手のケガや死亡、後遺傷害についての賠償を行う保険です。

また、加害者本人がケガをした場合に受け取れる保険もあります。

  • 人身傷害補償保険
  • 搭乗者傷害保険

さらに、交通事故対応を弁護士に依頼するときに弁護士費用を保険会社に負担してもらえる保険もあります(ただし刑事事件には適用できない保険会社が多数です)。

  • 弁護士費用特約

本人以外の家族が加入している保険を使えるケースもあるので、まずは保険の加入状況を確認して適用できるものがあれば保険会社へ申請しましょう。

5-3.すぐに弁護士に相談する

交通事故を起こしてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。

被害者への賠償問題でも刑事事件でも、弁護士のサポートを受けられます。

家族自身に監督者責任や運行供用者責任が及ぶ場合には、放っておくと賠償金を請求される可能性もあるので特に対応を急いでください。

家族に法的責任が及ばないケースでも、運命共同体である加害者本人になるべく不利益が及ばないよう、当初から適切な対応をしておくことが望ましいといえます。

加害者本人は動転してどうすればよいかわからなくなっているケースも多いので、周りの家族がしっかりしなければなりません。

弁護士に相談するときには、交通事故に積極的に取り組んでいる専門家を選定することが大切です。弁護士にもいろいろな取り扱い分野があり、交通事故に不慣れな方もおられます。
これまで多数の案件を解決してきて知識や経験を蓄積している人を探しましょう。

当事務所では交通事故に非常に力を入れて取り組んでいます。ご家族が交通事故を起こして困惑されている方がおられましたら、まずは一度ご相談ください。

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