債務整理

任意整理手続きのメリット、デメリット

1 任意整理とはどういう手続きなの?

「任意整理」とは、弁護士がお客様の代理人となって債権者と交渉し、現在の負債を将来的にどのように返済するのかを交渉し、和解を締結する一連の手続きのことを言います。

分割返済額、分割返済期間(通常は3~5年)、将来利息(和解締結後に発生する利息)のカット(免除)等について交渉したうえで、債権者と和解契約を締結します。

この「将来利息のカット」ですが、経済的メリットは非常に大きいです。

例えばですが、100万円の負債について、5年60回払い返済する和解を締結したとします(毎月の返済額は1.67万円)。

仮に毎月1.67万円を支払うことで100万円を返済しようとした場合、111ヶ月後、延べ183.7万円を支払って完済に至ります(利息15%で設定)。和解を取り交わさない場合と比較して、返済期間は51カ月、返済額は83.7万円も増えてしまいます。和解を取り交わした方が、時間的にも返済額的にもメリットが大きいことが分かるかと思います。

2 メリットは?

任意整理と、他の債務整理方法である「破産」や「個人再生」を比較した場合、大きく違うのは「裁判所を介さない私的手続き」であるという点です。

弁護士と債権者が任意に交渉を行なうという手続きの性質上、破産や個人再生のような裁判所を介して行なう公的手続きと比較して下記の点がメリットとなります。

  • 依頼者が裁判所に出向くことはない

破産や個人再生においてはその進行過程において裁判所や管財人、再生委員との面談を要請されますが、任意整理においては弁護士と債権者の交渉で手続きが完結するので依頼者が裁判所に行くことはありません

  • 官報に名前が掲載されない

破産や個人再生においてはその進行過程において官報に名前と現住所が記載されることになりますが、任意整理の場合は官報に名前が掲載されることはありません。

  • 資料を集める必要がない

破産や個人再生を行なうためには、住民票や通帳、収入証明や保険証券等の資料の提出、負債が増えてしまった事情等の説明書を申立書に添付する必要がありますが、任意整理の場合は必要となる書類はありません。

  • 財産を調整する必要がない、持ち続けることができる

こと破産を行なう場合、所定の財産を持っているとその財産の換価処分を要請されますが、任意整理ではそのようなことを要請されることはありません。

  • 特定の債権者をはじくことができる

破産や個人再生ではすべての債権者を平等に扱う必要があるため、全債権者に介入する必要がありますが、任意整理の場合はそのような決まりはありません。従って、「保証人に迷惑をかけたくないから奨学金債権については介入しない」「自動車を残したいから自動車クレジットの会社は介入しない」といったように介入する債権者を任意に選択することができます。

3 任意整理手続きができる人はどんな人?

任意整理手続きは、少なくとも現在の元本を「減らすこと」を目的とした手続きではありません。昔から取引をしていた場合は、負債が減ったり、過払金が発生するということはありますが、ここ10年内に取引を開始した場合は難しいです。

また、債権者側も「和解を締結したとして本当に払ってもらえるのか?」を非常に重視します。継続した返済が見込めないということであれば和解を締結することができません。

すなわち、少なくとも現在の負債額を60で割った金額を向こう5年間安定して支払うだけの資力がある人でないと任意整理手続きを取ることはできません。「収入が少なく毎月の返済が見込めない方」や「負債額が高額すぎて継続した返済が見込めない方」は任意整理以外の方法を選択することとなります。

あくまで目安となりますが、自身の収入額から生活費等を差し引いた金額に0.8掛けした金額が、現在の負債額を60で割った金額(毎月の返済見込み額)に達しないのであれば任意整理での解決が妥当ではないとお考え下さい。

4 任意整理のデメリットは?

 

もちろん任意整理にもデメリットはあります。

  • 3~5年間は返済する必要がある

3でも説明しましたが、向こう3~5年返済を継続する必要があります。収入に余裕がある方でないと難しいです

  • 必ずしも交渉が成立するわけではない

任意整理が、弁護士と債権者間での交渉である以上、お互いの合意がないと返済条件が決まるものではなく、弁護士側の提案に強制力があるわけではないので、必ずしも希望に沿った和解を取り交わすことができるとは限りません。すなわち、弁護士から「3~5年の分割交渉」「将来利息のカット」を提案したとしても債権者がこれを拒否すれば和解が成立しないということです。

例えば、大抵の債権者は取引期間があまりに短い場合には5年の分割交渉には応じてくれません。また、今までに長期の滞納があるとか、督促連絡を無視し続けたという不誠実な対応をしていた場合には、将来利息のカットに応じてもらえないこともあります。

また、一部の債権者(保証会社や地方の貸金業者)は、上記の要件を満たしてなくても長期分割や将来利息カットに応じない場合があります。

交渉次第で何とかなることもあるのですが、必ずしもこちらの要望とおりに和解が取り交わされるというものではないということは承知しておく必要があります。

  • 信用情報上に事故情報が10年近く記載される

信用情報機関に事故情報が掲載される期間は、「任意整理による返済を終えてから5年間」です(参考:https://naruhodoroppo.com/debt/1916/)。5年の分割返済を終えてから5年間登録されるので、事故情報が抹消されるまで10年近く係ることとなります。

  • 強制執行されている場合何もできない

すでに債務名義を取られて給与差押え等の強制執行をされている場合などは、対応することができません。債権者側からすれば、債務名義に従い将来利息込みで強制回収できる状況にある以上、これを反故にする和解交渉に応じる道理がないからです。

5 さいごに

この記事を読まれている方の多くは、債務や返済について何かしらのトラブルや心配事を抱えているかと思われます。

債務や返済に関するトラブルをお抱えになっている方はお早めにご相談下さい。