代襲相続する場合の注意点

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

孫が祖父母の代襲相続人になったら、どのくらいの遺産を相続できるのでしょうか?
代襲相続とは、相続人が被相続人よりも先に亡くなっているときに相続人の子どもが相続することです。たとえば父親が死亡したケースで父親より先に息子が死亡していたとき、息子に子どもがいたらその子(孫)が代襲相続人となって祖父の遺産を相続します。甥や姪が代襲相続するケースもあります。

相続人に代襲相続人が含まれると、法定相続分や相続税の計算が複雑になりやすく、間違ってしまう方も少なくありません。正しい知識をもって遺産分割を進めましょう。

今回は代襲相続の範囲や代襲相続する場合の注意点を弁護士が解説します。

 

1.代襲相続の具体例

代襲相続は「一定範囲の相続人が被相続人より先に亡くなっていて、相続人に子どもがいる場合」に発生します。
代襲相続する相続人を「代襲相続人」、代襲相続される人を「被代襲者」といいます。

代襲相続の典型例は、「孫が父親や母親の代わりに相続人になるケース」です。
たとえば父親に3人の息子(長男、次男、三男)があり、長男には2人の子ども(父親の孫)がいるとしましょう。長男が父親より先に死亡して、その後に父親が死亡したときに代襲相続が発生します。

この場合、長男の2人の子ども(父親の孫)が長男の代わりに代襲相続します。長男が「被代襲者」で2人の孫が「代襲相続人」です。
共同相続人は「長男の2人の子ども(代襲相続人)」と「次男」「三男」の4名となり、2人の孫は次男や三男(おじ)と一緒に遺産分割協議を行う必要があります。

一般には「遺産相続するのは中高年」といったイメージがありますが、父親や母親が若くして亡くなった場合、孫が親に代わって祖父や祖母の相続人になるケースも多々あります。未成年や若年の方でも祖父や祖母の相続問題に巻き込まれる可能性があるので、相続問題は他人事ではありません。

2.代襲相続が発生する範囲

相続人が被相続人より先に亡くなっても、すべてのケースで代襲相続が発生するわけではありません。

代襲相続が発生する範囲は以下のとおりです。

2-1.子どもや孫などの直系卑属は代襲相続人になる

子どもが親より先に死亡したときには孫が代襲相続人になります。
子どもも孫も親(祖父母)より先に死亡していて孫に子どもがいる場合(ひ孫)、ひ孫が「再代襲相続人」になります。
このように、子どもや孫、ひ孫などの直系卑属については、無制限に延々と代襲相続が続いていきます。

相談無料
そのお悩み、弁護士に相談してみませんか?
・ご相談者の満足度99.02%
・知り合いにも紹介したい方98.53%

2-2.兄弟姉妹の子どもの代襲相続は一代限り

兄弟姉妹は第三順位の相続人です。相続権の認められる兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合には代襲相続が起こり、兄弟姉妹の子どもである「甥姪」が代襲相続人になります。
ただし甥姪も先に死亡した場合、甥姪の子どもは代襲相続人になりません。
兄弟姉妹などの「傍系」親族において、代襲相続は「一代限り」となります。本人との関係が遠く、甥姪の子どもや孫に遺産相続させるのは不合理と考えられるためです。

ここも親族相続関係を示すイラストがあると良いと思います2-1のイラストとまとめてもかまいません。

傍系の場合、子どもや孫などの直系血族とは扱いが異なるので混同しないようにしましょう。

2-3.親や配偶者は代襲相続しない

親は第2順位の相続人ですが、親に関しては代襲相続が発生しません。
配偶者に関しても代襲相続は起こりません。

3.代襲相続人の法定相続分

代襲相続が発生すると、代襲相続人の法定相続分はどのくらいになるのでしょうか?
代襲相続人は「被代襲者」の地位をそのまま引き継ぐので、法定相続分についても「被代襲者」と同じになります。

具体例
たとえば3人の息子のいる父親が亡くなって長男が先に死亡していたために、長男の子ども(孫)が代襲相続するとしましょう。
この場合、長男の法定相続分は3分の1ですので、孫の相続分も3分の1になります。

 

代襲相続人が複数いる場合
代襲相続人が複数になる場合、被代襲者の相続分を代襲相続人の人数で「均等割」にします。

具体例
たとえば上記の例で孫が2人いたとしましょう。
被代襲者である長男の相続分は3分の1で代襲相続人となる孫が2人なので、それぞれの代襲相続人の相続分は6分の1(3分の1×2分の1)ずつになります。

よって相続人全員の相続分は、次男と三男が3分の1ずつ、孫(代襲相続人)がそれぞれ6分の1ずつとなります。

4.代襲相続人の遺留分

代襲相続人には遺留分が認められる可能性があります。
遺留分とは一定範囲の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。不公平な遺言や贈与が行われても、遺留分権利者には最低限の遺留分を取り戻す権利が認められます。

遺留分についても、代襲相続人は被代襲者の権利を引き継ぎます。たとえば父親が死亡したとき、先に次男が死亡していたので次男の子どもである孫が代襲相続人になったとしましょう。
父親が「すべての遺産を長男へ相続させる」という遺言を残していたら、孫は長男へ「遺留分侵害額請求」ができます。孫の遺留分割合は次男のものと同じになります。孫が複数いたら、遺留分は孫の人数で均等割とします。

4-1.代襲相続人の遺留分計算の具体例

たとえば妻と2人の息子のいる父親が死亡したとき、次男が先に死亡して孫が2人いるとしましょう。
このとき父親が「長男へすべての遺産を相続させる」と遺言していたら、母親には4分の1の遺留分、次男にも4分の1の遺留分が認められます。
ただし孫が2人いるので、孫それぞれの遺留分割合は8分の1ずつとなります。

4-2.遺留分が認められない代襲相続人

遺留分はすべての代襲相続人に認められるわけではありません。

遺留分を取得する人は「兄弟姉妹以外の相続人」です。兄弟姉妹の子どもである「甥姪」が代襲相続人となった場合、甥姪は被代襲者である兄弟姉妹の地位を引き継ぐので遺留分は認められません。

また配偶者や親には遺留分が認められますが、そもそも代襲相続が起こりません。親や配偶者が被相続人より先に亡くなっても代襲相続や遺留分の問題は発生しないので、誤解のないように覚えておきましょう。

結局、遺留分が認められる代襲相続人は「孫」や「ひ孫」などの直系卑属のみとなります。

5.孫が代襲相続する場合の相続税に関する注意点

孫が代襲相続する場合、相続税の計算にも注意が必要です。

5-1.基礎控除が増える可能性がある

相続税には「基礎控除」があるので、税額の計算時に「3000万円+相続人の数×600万円」を遺産額から差し引けます。
相続人の人数が増えると基礎控除が高くなり、相続税を払わなくてよくなったり低額になったりします。

代襲相続が起こって複数の代襲相続人が相続すると、代襲相続人全員を「法定相続人」としてカウントできます。代襲相続人が被代襲者と同じ人数であれば基礎控除の金額は変わりませんが、孫などの代襲相続人が複数いる場合には被代襲者の人数より増え、基礎控除額が上がります。

 

基礎控除計算の具体例
たとえば父親に2人の息子がいて先に長男が死亡していたために長男の子ども3人が代襲相続する場合、父親の相続人は「4人」になります。
もともとの予定とおり長男と次男が相続すると基礎控除額は4200万円ですが、代襲相続が発生すると基礎控除額は5400万円に上がります。この場合、遺産が5400万円までであれば相続税の申告や納税の必要はありません。

以上のように代襲相続が発生すると、もともとの被代襲者が相続するよりも相続税が低額になる可能性があります。

5-2.2割加算は適用されない

相続税のルールでは、相続人以外の人が遺産を受け継ぐと相続税が「2割加算」されます。
通常時に孫へ遺贈すると相続税が2割増しになりますし、孫を養子にした場合でも2割加算の対象とされています。
ただし孫が代襲相続人になった場合には「相続人である被代襲者の地位を引き継ぐ」ので2割加算の対象になりません。

孫が代襲相続したからといって相続税が高額になる心配は不要といえます。

6.代襲相続が起こるケースについての注意点

代襲相続が起こるかどうか間違いやすいケースがあるので、以下でみてみましょう。

6-1.相続放棄しても代襲相続は起こらない

法定相続人の立場になっても、相続したくなければ相続放棄できます。相続放棄をすると、資産も負債も権利義務も含めて一切の遺産を相続しません。
相続放棄者は「はじめから相続人ではなかった」扱いになるので、代襲相続も起こりません。
たとえば父親が借金を抱えたまま亡くなって、息子が「借金を相続したくない」ので相続放棄したとしましょう。この場合、孫が代襲相続人によって借金を相続する可能性はありません。

6-2.相続欠格や相続廃除の場合には代襲相続が起こる

相続人に一定の非行があると「相続欠格」や「相続廃除」に該当する可能性があります。
相続欠格とは
相続欠格とは、一定の行動をとったときに当然に相続資格を失うことです。
たとえば以下のような場合に相続欠格者となります。
・ 被相続人を殺害した
・ 被相続人が殺されたのに告訴しなかった場合(ただし一定の親族が殺害者である場合は除く)
・ 被相続人に対し、遺言書を無理やり作成させたり書き直させたりした
・ 遺言書を勝手に作成したり書き換えたり破棄したりした

相続欠格に該当する行為をした人は「当然に相続資格を失い」ます。戸籍にも記載されません。

7.相続廃除とは

相続廃除とは、相続人が著しい非行を行った場合に被相続人の申立によって相続権を奪うことです。
以下のような場合に相続廃除が認められます。
・ 被相続人を虐待した
・ 被相続人に重大な侮辱を加えた
・ その他の著しい非行があった

相続廃除するには相続人が家庭裁判所へ申立をして裁判所に廃除を認めてもらわねばなりません。廃除が認められると戸籍にも記載されて相続廃除者である事実が明らかになります。

被代襲者が相続欠格者や相続廃除者であっても、被相続人により先に死亡していたらその子どもは代襲相続できます。
相続欠格や相続廃除は「被代襲者固有の事情」であり、代襲相続人が非行を行ったわけではないからです。

相続欠格者や相続廃除者が被相続人より先に死亡しているときにその子どもがいたら、遺産分割協議に加えなければなりません。省いてしまうと有効な遺産分割協議ができないので注意しましょう。

8.代襲相続人が含まれる場合の遺産分割の注意点

代襲相続人が含まれる場合、遺産分割時にもいくつか注意点があります。

8-1.孫養子が代襲相続する場合の相続分

相続税対策などのため、孫と祖父母が「養子縁組」するケースがあります。養子となった孫を「孫養子」ともいいます。

子ども(孫の親)が先に死亡して孫養子が代襲相続人になったら、相続分はどのように計算すればよいのでしょうか?
孫には「養子」としての立場と「代襲相続人」としての2つの立場があります。孫の相続分を「1人分」と数えるのか、「養子」と「代襲相続人である孫」の合計「2人分」として数えるのか、検討しなければなりません。

このように、1人の相続人に2つ以上の相続資格が併存する状態になった人を「二重相続資格者」といいます。

法律上、二重相続資格者がいる場合には「2人分」の相続割合が認められると考えられています。よって孫には「養子」としての相続分と「代襲相続人」としての相続分の両方が認められます。

相続分計算の具体例
2人の息子のいる父親がおり、父親は長男の子ども(孫)と養子縁組していました。
先に長男が亡くなり、その後父親が死亡したとしましょう。
この場合、相続人は「長男の代襲相続人である孫」「次男」「孫養子」の「3人」とカウントします。相続分はそれぞれが3分の1ずつとなります。
長男の代襲相続人である孫と孫養子は同一人物なので、孫は3分の2の遺産を相続できます。次男の相続分は従来と変わらず3分の1です。

8-2.遺産分割でもめやすい傾向がある

代襲相続が発生すると、本来の相続人よりも遠い親族が共同相続人になり、相続人同士の関係も疎遠なケースも多数あります。それにもかかわらず遺産分割協議は全員参加して全員が合意しなければならないので、トラブルに発展しやすく注意が必要です。

たとえば父親が死亡して子どもと代襲相続人となった孫が遺産分割協議を行う場合、叔父叔母と甥姪が遺産分けの話し合いを進まなければなりません。普段からつきあいがないとスムーズに協議を進めるのも難しくなるでしょう。相手に連絡を入れても応答してもらえないケースもよくあります。

9.代襲相続人が含まれる遺産分割は弁護士へ相談を

代襲相続人が含まれていて遺産分割の交渉がうまくいかないなら、弁護士を代理人に立てましょう。自分で連絡しても無視されるケースでも、弁護士から連絡を入れれば応答するケースが多数です。

弁護士に交渉を任せれば、話しにくい相手に自分で対応する必要もなくなり、ストレスも軽減されるメリットがあります。複雑な相続分の計算も正確にできるので、自分で対応するより適正な遺産分割を実現できるでしょう。

恵比寿の鈴木総合法律事務所は、遺産相続トラブル解決に力を入れて取り組んでいます。
突然祖父や祖母の代襲相続人となって困惑している方、遺産分割協議が滞って進められなくなった方、相続分や遺産分割方法がわからない方などは、お気軽にご相談ください。

相談無料
そのお悩み、弁護士に相談してみませんか?
・ご相談者の満足度99.02%
・知り合いにも紹介したい方98.53%
監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。