相続トラブルのパターンと対処方法について

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
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遺産相続の場面では数多くのトラブルが発生します。

親の生前は仲の良かった子ども達が親の死亡後に心底憎み合ってしまい、骨肉の争い、争続(俗語)に発展することも珍しくありません。

今回の記事では、遺産相続の場面でトラブルが生じやすいパターンと、発生リスクを抑えるための対処方法について解説します。

トラブルが生じやすいパターン

相続の場面でトラブルが発生しやすい典型的なパターンとしては以下のものが挙げられます。

  1. 遺産に不動産が含まれている
  2. 相続人に前妻の子どもがいる
  3. 相続人に認知した子どもがいる
  4. 被相続人と同居していた相続人がいる
  5. 生前贈与を受けた相続人がいる
  6. 遺言書をめぐるトラブル
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弁護士 浜島

遺産に不動産が含まれている

遺産に不動産が含まれている場合は、トラブルが生じやすいといえます。その理由は不動産の性質によるものです。

  • 換価が容易ではない
  • 分割して処分することが困難
  • 評価額が高額となることがほとんど
  • 査定者や査定方法により評価額が変わる
  • 処分するかしないかで意見が割れることが多い(特に実家)

不動産は現金や預貯金のように一円単位で分割することができません。一筆の不動産に対し持ち分という形で共有することはできますが、持ち分は容易に換価できるものではありません。

また、得てして不動産の評価額は高額となることがほとんどです。遺産が一筆の不動産しかないケースにおいてその不動産を特定の相続人に単独で相続させようとする場合には、他の相続人に対し代償金を支払わないと不公平となりますが、代償金が高額であることから支払いができないということも往々にしてあります。

また、不動産の評価方法は一律ではありません。代償金を支払うケースでは評価額の算出方法でトラブルが生じることも多々あります。

さらには、相続対象の不動産が実家である場合、実家は残すべきだと主張する相続人と、実家を売却し売却代金を均等に割るべきだと主張する相続人(実家の処分を要望する相続人)とで意見が対立することも多く見受けられます。

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相続人に前婚の子どもがいる

被相続人が再婚しているような場合は、前妻や前夫との間に子どもがいることがあります。

前婚の子どもについても今の家族の子どもと同様に相続人となりますので、相続が発生したらその子どもも一緒になって遺産分割協議を行なう必要があります。

今の家族からすれば「前婚の子どもに遺産を渡したくない」と考えますし、前婚の子どもは「もらうことができて当然」と考えます。この点でお互いの思惑が対立しトラブルに発展してしまうことが多数見受けられます。

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弁護士 鈴木 翔太

相続人に認知した子どもがいる

被相続人に認知済みの婚外子がいる場合があります。

認知されている子どもは、婚姻中に生まれた子どもと同じだけの相続権を有しますので、相続が発生した場合は、その婚外子にも遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。

また、認知をしていない場合でも子どもの方から認知請求することができます。DNA鑑定結果等がある場合には裁判所が強制認知しますので、認知を避けることは難しいでしょう。

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被相続人と同居していた相続人がいる

被相続人と同居していた相続人がいる場合、相続トラブルが発生する可能性が高いです。

被相続人と同居していた相続人は、被相続人と家計が混じってしまいがちです。そのため、相続の際に他の相続人から「アイツは被相続人からいろいろな物を買ってもらっていた」「被相続人から生活費を出してもらっていた」「被相続人のお金を勝手に使い込んだ」などと主張されてしまうことがあります。また、同居していた相続人はこれを否定し、反対に「こちらは献身的に介護していた」「家を継ぐのだから遺産を多くもらって当然」と主張することでしょう。

両者の意見が対立することとなるのでトラブルが発生しやすいといえます。

生前贈与を受けた相続人がいる

親が子どもに生前贈与をすることがありますが、これが要因となって遺産相続トラブルに発展することがあります。

生前贈与を受けた相続人がいる場合、遺産分割協議の際にその相続人の遺産取得分を減らすことができます。この計算を「特別受益の持ち戻し計算」といいます。

生前贈与が行なわれていた場合、生前贈与を受けていない相続人は特別受益持ち戻し計算をすべきと主張しますし、生前贈与を受けた相続人はこれを否定します。また、その計算方法で意見が合わなかったりすることも往々にしてあるので争いが発生しやすいといえます。

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遺言書をめぐるトラブル

遺言書を残したことでトラブルに発展するケースも想定されます。

たとえば自筆証書遺言を書き残した場合において、不利な内容となっている相続人が「この遺言書は偽物ではないか」と言い出すケースがあります。遺言書が隠されたり書き換えられたりすることもあります。

また、そもそも遺言書が発見されないということもあります。

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トラブルの発生リスクを抑える方法

上記のようなトラブルの発生リスクを抑えるためには、どのようにすればよいのでしょうか?

以下、確認してみましょう。

01.遺言書を作成する

「遺言書を作成する」ことがトラブル発生リスクを抑える最も有効な方法といえます。

遺言書によって遺産の相続方法を指定しておけば、相続人が遺産分割協議にて遺産の分割方法を定める必要がなくなりますので遺産分割協議の際に生じるであろうトラブルを避けることができます。

  • 遺産に不動産が含まれている
  • 前婚の際の子どもがいる
  • 認知した子どもがいる
  • 生前贈与した相続人がいる

上記のいずれのケースにおいても遺言書を作成しておくことでトラブル発生リスクを抑えることが可能となります。

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なお、遺言書を作成するときには必ず公正証書遺言で作成しましょう。

自筆証書遺言は自分一人で簡単に作成できて便利ではありますが、要式違背で無効になる可能性もはらんでおります。無効となってしまってはトラブル発生の予防策とはなりません。

また自筆証書遺言は相続トラブルの元になるケースもありえます。

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他方で公正証書遺言であれば、公証人が業務として作成するので無効になる可能性は低くなります。公証役場で保管されるので破棄や隠匿、変造などの危険もありません。

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02.生命保険や生前贈与を併用する

遺言書作成以外のトラブル発生を予防方法としては、生命保険への加入や生前贈与が挙げられます。

たとえば生命保険を利用することで相続人以外の親族に死亡保険金を残すことができます。

死亡保険金は基本的には遺産には該当しないので、特定の親族に高額な死亡保険金を残したとしても遺産相続トラブルにつながりにくいというメリットがあります。また、死亡保険金は相続税の納税資金にもなりますし相続税の控除枠も認められているので相続税対策としても有効です。

生前贈与も有効です。生前贈与には特定の財産を確実に対象者に受け継がせられるというメリットがあります。生前贈与で贈与された財産が特別受益の対象となる可能性はありますが、遺言書で特別受益の持ち戻し免除の意思表示をしておけばこれを回避することも可能です。

さいごに

相続の場面では、相続人間での主張が対立しトラブルが発生するケースが多々あります。

東京・恵比寿にある弁護士法人鈴木総合法律事務所では、相続におけるトラブルの解決に注力しており多数の解決実績も有しております。

相続についてお困りごと、心配ごとをお抱えの方、相続におけるトラブルに直面してしまった方は、ぜひご相談ください。

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弁護士 奥野
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