自筆証書遺言とは?自分で遺言を書き、確実な実行をするための方法

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弁護士 鈴木 翔太
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自筆証書遺言とは?自分で遺言を書き、確実な実行をするための方法

自分の死後、遺された家族が遺産相続で揉めないか、心配な方も多いでしょう。遺産は家族に遺せる最後の贈り物ですが、遺産相続が家族のトラブルの原因になってしまうこともあります。そんな不安を抱える方には、遺言書の作成がおすすめです。本記事では、自分で遺言を書く「自筆証書遺言」について解説します。自筆証書遺言のメリットやデメリット、正しい書き方や作成時の注意点を、まとめてお伝えします。

【この記事がおすすめな方】

  • 身辺整理を始めたばかりで、遺言を書こうかどうか迷っている方
  • 相続が原因で、自分の死後に家族が揉めないか心配な方
  • 遺言書は自分1人で書くものだと思っている方

身辺整理を始めた方や、家族になるべく多くのものを遺したいと考えている方に考えてもらいたいのが、遺言書の作成です。

遺言書で「どの遺産を誰に相続するのか」をハッキリ示しておけば、自分の死後に、遺産が原因で家族が揉めることもないでしょう。

しかし、正しい書き方と保管方法を知らないと、せっかく作った遺言書も効力を発揮しないかもしれません。

そこで今回は、遺言を自分で書く「自筆証書遺言」について詳しくお伝えします。正しい書き方や保管方法、遺言を自筆で書くことのメリットとデメリットを解説します。

正しい方法で遺言書を作れば、「死後の遺産相続」という悩みから解放され、心が少し軽くなるでしょう。本記事が少しでも役に立てば幸いです。

 

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自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言者本人がすべて自筆で記載する遺言書です。パソコンで作成したり、弁護士や血縁者などの代理人に書いてもらったりすることはできません。

2019年の改正による、自筆証書遺言の方式緩和

お伝えした通り、自筆証書遺言はすべて遺言者本人の自筆で書かなければならないものであり、作成の難しいものでした。

しかし、2019年1月の法改正により、必要書類の1つである「財産目録」はパソコンで作成できるようになりました。また、預金の特定に通帳のコピーを用いても良いことになりました。

「作成が難しく、手間がかかる」とされていた自筆証書遺言が、少し作りやすくなったのです。

2020年に制定された、自筆証書遺言の保管制度

2020年7月には、「自筆証書遺言の保管制度」もできました。

自筆証書遺言の保管制度ができるまで、自筆証書遺言は遺言者本人で保管しなければなりませんでした。本人保管には紛失や他者による破棄隠匿、死後に遺言書が見つからないなどのリスクがあります。

しかし、保管制度の制定により、自筆証書遺言は法務局で保管してもらえるようになりました。

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自筆証書遺言のほかにも、2種類の遺言書がある

「遺言書」と一口に言っても、実は次の3種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

次からは、公正証書遺言と秘密証書遺言について、簡単に紹介します。

公正証書遺言

公正証書遺言とは、裁判官や検察官の資格を持つ「公証人」に作成してもらう遺言書です。

法律のプロとも言うべき公証人に作成してもらうため、要式違反により遺言書が無効になることはまずありません。

公正証書遺言の作成方法はこちらの記事で解説しています。より確実な方法で遺言書を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま作成できる遺言書です。自分で遺言書を作った後、「これは秘密証書遺言である」ということを、公証人と証人に確認してもらいます。

パソコンで作っても良い、内容を秘密にできるなどのメリットはあるものの、実際に利用されることはあまりありません。

自筆証書遺言の4つのメリット

自筆証書遺言は、遺言者本人だけで、手間や費用をかけずに作れる遺言書です。次からは、自筆証書遺言のメリットを4つに分け、それぞれについて詳しく解説していきます。

メリット1.自分1人で作成できる

自筆証書遺言を作る1つ目のメリットは、自分1人で作成できることです。

自筆証書遺言は、公正証書遺言や秘密証書遺言と異なり、公証人や証人を必要としません。紙とペンさえあれば誰でも作成できるため、手間をかけたくない方にもおすすめです。

メリット2.内容を他人に知られない

自筆証書遺言を作る2つ目のメリットは、内容を他人に知られないことです。

公証人に作ってもらう公正証書遺言の内容は、公証人に知られてしまいます。しかし、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、他者に内容を知られることがありません。

メリット3.方式が簡単

自筆証書遺言の3つ目のメリットは、方式が簡単なことです。

自筆証書遺言の方式には、必要最低限のものしかありません。本人が自筆で書き、日付の記載と署名押印さえあれば、ほとんどのケースで遺言は有効となります。

ただし、書き間違いや曖昧な表現により無効になってしまうことはあります。

メリット4.費用がかからない

自筆遺言証書の4つ目のメリットは、費用がかからないことです。

公証人に作ってもらう公正証書遺言には、数万円程度の作成費用が発生します。一方、自筆証書遺言は紙とペンさえあれば自分1人で作成できます。もちろん、特別な用紙も必要ないため、作成費用が全くかからないのです。

自筆証書遺言の5つのデメリット

遺言者自身が手軽に作成できるのが、自筆証書遺言のメリットです。しかし、書き方や保管の仕方を少しでも間違えると、思った通りに遺言が実行されないこともあります。

次からは、自筆証書遺言の5つのデメリットをお伝えします。自分1人で遺言を書くことにはどんなリスクがあるのか知ってから、自筆証書遺言を選ぶべきなのか、慎重に考えましょう。

デメリット1.無効になりやすい

自筆証書遺言の1つ目のデメリットは、無効になりやすいことです。

自筆証書遺言の方式はそう難しいものではありません。しかし、慣れていない方が自分だけで作成すると、いわゆる「ケアレスミス」をしてしまうかもしれません。

例えば1部をパソコンで作ってしまったり、日付の記載や署名押印を忘れてしまったりすると、遺言は無効になります。間違って書いた部分を加除訂正するときの方法も決まっています。

自筆証書遺言には、ちょっとしたことが原因で遺言が無効になるリスクがあるのです。

デメリット2.自分で文書を書かなければならない

自筆証書遺言の2つ目のデメリットは、自分で文書を書かなければならないことです。

「文書なんて誰だって書けるだろう」と思うかもしれませんが、遺言書は法的拘束力を持つ特別な文書です。書き方が間違っていたり曖昧だったりすると、無効になることや、意図したものと異なる解釈をされることもあるでしょう。

デメリット3.相続トラブルのもとになりやすい

自筆証書遺言の3つ目のデメリットは、相続トラブルのもとになりやすいことです。

お伝えしたように、曖昧な書き方の自筆証書遺言では、人により解釈の仕方が割れてしまうかもしれません。それぞれの相続人が自分にとって都合良く解釈しようとしたり、都合の悪いことが書かれている相続人が「この遺言書は偽造だ」と言い出したりすることもあるでしょう。

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デメリット4.破棄隠匿、変造のリスクがある

自筆証書遺言の4つ目のデメリットは、破棄隠匿、変造のリスクがあることです。

自筆証書遺言は、2020年から法務局で保管してもらうこともできるようになりましたが、自宅で保管している方も多いでしょう。最初に遺言書を見つけた人にとって都合の悪いことが書いてあると、ほかの相続人に見つからないよう、遺言書を隠したり捨てたりしてしまうかもしれません。

最初に見つけた人にとって都合の良い内容に書き替えられてしまう可能性もあります。

デメリット5.発見されないリスクがある

自筆証書遺言の5つ目のデメリットは、発見されないリスクがあることです。

自筆証書遺言を自宅で保管する場合、遺言書が発見されるまでに時間がかかることもあるでしょう。発見されればまだ良い方で、遺品整理の際に誤って破棄されたり、遺言書が見つからないまま家を取り壊したりされるかもしれません。

遺言を確実に残すには、法務局に保管してもらうか、遺言書作成の記録が残る公正証書遺言か秘密証書遺言を選ぶといいでしょう。

【5ステップ】自筆証書遺言の書き方

たしかに自筆証書遺言には、さまざまなデメリットやリスクがあります。

しかし、正しい書き方とリスクへの対処法を知っていれば、自力で遺言書を作成するのも不可能ではありません。次からは、自筆証書遺言の正しい書き方を、5つのステップに分けて解説します。

STEP1.雛形や文例を用意する

自筆証書遺言を書く前に、まずは雛形や文例を用意しましょう。

自筆証書遺言の書き方はそう難しくありませんが、ちょっとしたミスで遺言が無効になってしまう可能性もあります。ミスの許されない自筆証書遺言の作成では、正しい書き方の雛形を用意し、作成したものと雛形を何度も照らし合わせるようにしましょう。

また、「絶対に1つの解釈しかできない文書」を書くために、参考となる文例もあるといいでしょう。

STEP2.必要書類を用意する

遺言者にはどのような財産があるのかを正確に把握していなければ、遺言は書けません。どの遺産を誰に相続するかを正しく書くために、財産を把握するための資料が必要です。

具体的には次のような書類を用意しましょう。

  • 不動産登記簿(全部事項証明書)
  • 預貯金通帳(コピー可)
  • 株式や(仮想)通貨などの取引資料
  • 生命保険証書
  • 家具や芸術品などの動産の明細書

STEP3.必要な要件を満たす

自筆証書遺言の雛形や文例を集め、必要書類を用意したら、いよいよ遺言を書いていきます。自筆証書遺言には、次の3つの要件があります。

  • 自筆証書遺言を作成した日付
  • 遺言の内容
  • 本人の署名押印

要件の抜けや、本人の手書きでない部分があると、遺言は無効になってしまいます。無効になる書き方をしていても、生きている間なら直したり新しいものを書いたりできるでしょう。

法律事務所の中には、自筆証書遺言のチェックをしてくれるところもあります。遺言内容が確実に実行されることを望むなら、多少の費用や手間をかけてでも、法律のプロに確認してもらうのがおすすめです。

STEP4.財産目録を作る

遺言は、書いて終わりではありません。遺言を書いたら「財産目録」も作成し、遺言書と一緒に保管しておきましょう。

財産目録とは、遺言者にどんな遺産があるのかが記載された一覧表のようなものです。財産目録には資産と負債、それぞれの内容と合計額を記載し、相続人が遺言書と照らし合わせて確認できるようにしておきましょう。

なお、財産目録はパソコンで作成することも、通帳のコピーや各資産の証明書などの資料を添付し代用することもできます。ただし、パソコンで作成したり資料で代用したりする場合には、すべてのページと資料に遺言者の署名押印が必要です。

STEP5.できれば遺言執行者を指定する

自筆証書遺言と財産目録を作ったら、できれば遺言執行者をつけましょう。

遺言執行者とは、遺言者の死亡後に遺言内容を実行する人のことです。信頼できる弁護士を遺言執行者に指定すれば、相続の手続きもスムーズに進むでしょう。

なお、遺言執行者を指定にも、次のような決まった方法があります。

  • 遺言に書いて指定する
  • 第三者に遺言執行者をしてもらうように遺言に書く
  • 遺言者の死亡後、家庭裁判所で遺言執行者を選んでもらう

何度かお伝えしているように、自筆証書遺言を自分だけで作成するのはリスキーです。作成した遺言の内容確認と併せて、遺言執行に関することも弁護士に相談しておくといいでしょう。

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自筆証書遺言を書くときの3つの注意点

どんなに気を付けていても、私たちが人間である以上、ミスをする可能性はあります。ほかのことならミスに気付き、間違いを正すこともできるかもしれませんが、遺言ばかりはそうもいきません。遺言書のミスはほとんどの場合、遺言者の死後に発覚するからです。遺言者がもういない以上、ミスの訂正は誰にもできません。

最後に、自筆証書遺言を書くときに特に気を付けてほしい、3つの注意点をお伝えします。

注意点1.必ず自分で手書きする

自筆証書遺言を書くときは、必ず遺言者本人が手書きしましょう。

「何度も同じことを書かなくても、わかってるよ!」と思われるかもしれませんが、これは本当に大切なことです。一部でもパソコンで作った部分や本人以外の書いた部分があれば、遺言は無効になってしまいます。

注意点2.曖昧な書き方をしない

自筆証書遺言の内容は、誰が読んでも1つの解釈しかできないよう、厳密な書き方をすべきです。曖昧な表現や解釈の仕方が割れそうな書き方をしてはいけません。

例えば、「遺産を受け継がせる」という意味の言葉にも、「譲る」「相続させる」などのいろいろな表現があります。この場合、「譲る」「渡す」などの表現は避け、「相続させる」「遺贈する」などの表現を使いましょう。

ほかにも、どの遺産を誰にどのくらい相続させるのか、明確に示さなければなりません。財産目録と遺言書を照らし合わせながら、誰が読んでも同じ解釈になる書き方をしているか、よく確認しましょう。

注意点3.加除訂正のルールを守る

自筆証書遺言は書き方のルールだけでなく、加除訂正のルールも決まっています。書き間違えたときは加除訂正のルールを守り、正しく書きなおさなければなりません。

【加除訂正のルール】

  1. 間違った部分を二重線で消す
  2. 書きなおしたいことを吹き出し【{ 】を使って書く
  3. 余白に消した字数を「〇字削除」、足した字数を「△字加入」と書く
  4. 加除訂正した部分に署名押印する

特に「削除」「加入」の記載や署名押印は忘れやすいでしょう。ルールを守り、間違いや抜けのないように加除訂正をしなければなりません。

遺言の確実な実行を望むなら、公正証書遺言か弁護士への相談がおすすめです

「自分がこの世から去った後、子どもや孫たちにできる限りのものを遺したい」

「どの相手にどんなものを遺すのが最良だろうか」

そんな風に考える方には、遺言書の作成をおすすめします。遺言書があれば、自分が人生の幕を閉じた後、遺された人たちに最後の贈り物をすることができます。遺言で誰に何を遺すのかを指定すれば、遺産が原因の争いも避けられるでしょう。

しかし、曖昧な書き方の遺言書や、方式が正しくないため無効になってしまった遺言書は、むしろトラブルのもとになるかもしれません。遺言は正しい方法で作り、間違いや曖昧な部分がないか、何度でも確認すべきです。

遺言の内容を確実に実行したいのなら、正直、自筆証書遺言はおすすめできません。公正証書遺言を作るか、弁護士に内容チェックや遺言執行者を依頼すべきです。

なるほど六法を運営する「鈴木総合法律事務所」でも、遺言書の作成や遺言執行を承っています。

初回相談は30分無料で行っています。私たちにどんなお手伝いができるのか、遺言をどのように遺すべきか、何でも気軽に相談してみてください。

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監修者
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