大切な家族が逮捕されてしまったら、すぐにでも会いに行きたいですよね。
しかし、逮捕された被疑者との面会は、たとえ家族であっても自由には認めてもらえません。
スムーズに面会するには、警察署の留置場に適用される面会のルールを知っておく必要があります。
今回は家族が逮捕されたときに面会や差し入れをする方法や面会時間などのルール、注意点を弁護士が解説します。
突然、家族が逮捕されてしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。




1.逮捕後、家族が面会できるタイミング

家族が逮捕されたと聞いたら「今すぐ会って事情を聞きたい」と考える方が多いでしょう。
しかし、すぐに面会できるとは限らないので注意が必要です。
また、被疑者との面会を「接見(せっけん)」というので、覚えておくと良いでしょう。
被疑者の身体拘束には、「逮捕」と「勾留」の2つの段階があり、「逮捕」段階から「勾留」段階へと進みます。
家族などが面会できるのは、「勾留」に切り替わってからです。
「勾留」に切り替わるのは、逮捕日から2~3日後になります。
「勾留」に切り替わるまでは家族であっても面会できず、被疑者が留置場でどのように過ごしているのか知る術がありません。
「勾留」に切り替わるまでに面会できるのは弁護士だけです。
なお、「勾留」に切り替わったら、「接見禁止」がつけられない限りは家族も面会できるようになります。本人を安心させるためにも、できるだけ早めに会いに行きましょう。
2.警察署に適用される面会のルール

被疑者が警察署で拘束されているとき、ご家族であっても自由に面会できるわけではありません。
以下では、警察署での面会に適用されるルールをご紹介します。
2-1.面会できる場所
被疑者が警察署で拘束されている間、面会できる場所は警察署内の「接見室」です。
逮捕された家族と面会したいときには、まずはどこの警察署で拘束されているのか、確かめましょう。
被疑者を逮捕した警察官が所属する警察署と、被疑者が拘束されている警察署が異なる場合もあります。
2-2.面会日時
警察署では、いつでも面会できるわけではありません。各地の警察署によって異なりますが、面会できる時間帯はおおよそ以下の通りです。
- 平日の9:00~11:00
- 平日の13:00~16:00
土日祝日や夜間、早朝は警察署に行っても面会させてもらえません。
また、警察署の接見室は個数が限られています。別の人が面会していたら、その人の面会が終了するまで待たねばなりません。その間に面会可能時刻が終了してしまったら、その日は会わせてもらえない可能性もあります。
2-3.面会時間
1回あたりの面会時間も制限されるので注意しましょう。
各地の警察署によって異なりますが、1回につき10~20分程度です。制限時間が来たら、立ち会っている警察官に面会を中断され強制的に終了されます。
2-4.面会回数は1日1回
1日の面会回数にも制限があります。基本的に、被疑者は弁護人を除いて1日1回までしか面会ができません。つまり、自分が面会しようと思って警察署に行っても、その日に既に別の人が被疑者と面会をしてしまっている場合、面会できない可能性があるのです。
2-5.警察官が面会に立ち会う
家族などが被疑者と面会するときには、警察官が立ち会います。話の内容を横で聞かれるので、自由に話せる雰囲気ではありません。
しかも時間が10~20分程度に制限されて時間が来ると制止されるので、ほとんど満足に情報交換できないケースが多数です。事件の詳細を聞き出すのは難しくなるでしょう。
以上のように家族などによる被疑者との面会は著しく制限されるので、期待していたような話はできないケースがほとんどです。
2-6.家族が面会に行く必要性や理由は?
家族が言っても満足に話せないなら、面会にいく意味はないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。被疑者にとっては家族の顔を見るだけでも安心するからです。
突然逮捕された被疑者は、大きな不安を抱えています。家族が面会に来なかったら「見捨てられたかもしれない」と不安になってしまうでしょう。
たとえ詳しい話ができなくても、家族が被疑者と面会する意味はあります。「勾留」に切り替わったらすぐに面会に行くべきです。

3.警察署で面会する手順、方法

逮捕された家族と警察署で面会するには、以下のような手順を踏むと良いでしょう。
3-1.事前に警察署へ連絡
まずは、事前に被疑者が拘束されている警察署へ電話をしましょう。
いきなり訪ねていっても、その日に別の予定があるなどの事情で会わせてもらえない可能性があります。
電話をしたら「留置係」につないでもらって面会できるかどうかを尋ねてください。
他に面会している人がいる場合などにも、状況を教えてもらえる場合もあります。
面会できるようなら、何時頃に警察署に到着する予定かを伝えてから面会に行きましょう。
3-2.差し入れるものを用意する
身体拘束されると、被疑者には身の回りのものが不足してくるケースが多々あります。
夏であれば薄い衣類、冬であれば寒さを凌ぐための上着、また下着なども不足しがちです。
お金があれば留置場内で買えるものもありますが、現金がなければ購入もできません。
現金や衣類、暇つぶしに読む本や雑誌などの差し入れする物を用意しておくとよいでしょう。
また面会や差し入れの際に印鑑が必要になるので、認印を持参するようお勧めします(なければ指印を求められます)。
3-3.警察署へ行って必要書類を記入
実際に警察署へ行ったら「接見(面会)しに来ました」と言って案内してもらい、接見室へ行きましょう。
面会する前に所定の書類に記入しなければなりません。留置係の警察官から提示された書類に必要事項を記入しましょう。
差し入れをする場合にも差し入れ用の書類の作成が必要です。
3-4.面会する
待合や廊下などで待っていると、用意ができたら呼ばれるので接見室に入って面会しましょう。警察官の立ち会いがあり時間も制限されるので、事前に言いたいことや聞きたいことを整理しておくことをお勧めします。
留置場内の生活で不足しているものがないか、お金は要らないかなど聞いておいて、次に来るときに差し入れをするとよいでしょう。面会が終わってからも差し入れできますし、宅配便も利用できます。
4.「接見禁止」に要注意

家族が逮捕された後、「勾留」に切り替わったら面会できるのが原則です。
しかし、「接見禁止」がついていると、「勾留」に切り替わっても面会できないので注意しなければなりません。
「接見禁止」とは、弁護人以外の者との接見を一切禁止する制限です。
重大犯罪の場合や、被疑者が共犯者と共謀して証拠隠滅したり口裏を合わせたりする可能性がある場合などにつけられます。
「接見禁止」がつくと、「勾留」に切り替わっても家族などは面会できません。手紙でのやり取りすらできません。
「接見禁止」がついても差し入れはできるケースもあるので、弁護人を通じて必要なものを聞き、用意するとよいでしょう。

5.逮捕後勾留までの間、すぐに連絡を取る方法

被疑者が「逮捕」されてから「勾留」に切り替わるまでの2~3日間は、家族であっても被疑者と会えず、どのように過ごしているかがまったくわかりません。
この間に被疑者が不安になって不利な供述をしてしまったら、取返しがつかないことになってしまいます。
弁護士であれば、「勾留」に切り替わる前であっても被疑者と面会できます。
弁護士は逮捕直後から被疑者と面会し、時間制限なしで話ができます。弁護士接見の場合には、警察官の立ち会いもありません。被疑者から事件の詳細な事情を聞いて今後の対応を練ることができますし、ご家族にも詳しい状況を伝えられます。
家族が逮捕されたら、できるだけ早めに弁護士に接見を依頼しましょう。
6.家族が逮捕されたとき、弁護士に依頼するメリット

ご家族が逮捕されたときに弁護士に相談、依頼すると以下のようなメリットがあります。
6-1.適切な対処方法を知ることができる
大切な家族が突然逮捕されたらどうしてよいかわからない方がほとんどでしょう。
弁護士に相談すれば、状況に応じて適切な対処方法を教えてもらえます。
たとえば学校や会社へどのように伝えたらよいのか、面会はいつのタイミングでどのように行ったらよいのかなど。
法律の専門家からのアドバイスを受ければ、安心して対応できるでしょう。
6-2.すぐに面会に行ってもらえる
逮捕後勾留までの2~3日間は、たとえ家族であっても本人と面会できません。
一方、弁護士であればこの期間であっても自由に面会できます。
弁護士接見の場合には、警察官の立ち会いもなく時間制限もありません。土日祝日でも深夜早朝でも面会可能です。
弁護士は専門知識を持っているので、本人としっかり話し合い、今後の刑事事件への対応についてもしっかり検討できます。そうすることで、刑事事件を有利に進めやすくなるメリットもあります。
6-3.被疑者が安心できる
突然逮捕された被疑者は気が動転しているものです。ひどく気分が落ち込んでいるところに捜査官から厳しく詰められ、不利益な供述をしてしまう方も少なくありません。
すぐに弁護人が接見に行けば、安心して冷静な気持ちになれるので、虚偽の自白などをするリスクが大きく低下します。
本人の権利を守るためにも早めに弁護士へ依頼しましょう。
6-4.早期の釈放を目指せる
刑事事件で逮捕されたら、一刻も早い身体の解放を目指すべきです。
弁護士がつけば、勾留しないように検察官へ申し入れたり、勾留の効果を争ったりして早期の釈放を目指せます。
長期間身体拘束されると、解雇などの危険も発生するでしょう。そうなる前に早めに弁護士にご依頼ください。
6-5.不起訴処分を目指せる
刑事事件の被疑者になったとき、重要なのは不起訴処分の獲得です。不起訴処分になれば刑事裁判にならないので、前科もつきません。
もしも刑事裁判になって前科がついてしまったら一生消えずさまざまな不利益を受ける可能性があります。そうなる前に弁護士に依頼しましょう。
弁護士を早期につけるかつけないかで、ご本人の人生が大きく変わる可能性があります。大切なご家族の権利を守るため、一刻も早く弁護士までご相談ください。

