ある日突然、家族が窃盗事件で逮捕されたと知らされたら…。気が動転してしまうことでしょう。そのようなときには心を落ち着けて、適切な対応をとる必要があります。
今回の記事では、「家族が窃盗罪で逮捕されてしまった」をテーマに、窃盗罪が成立するケースと適用される罰則、家族が窃盗罪で逮捕されたときにとるべき対処方法について解説します。
1.窃盗罪とは
1-1.窃盗罪が成立する要件
窃盗罪とは、他人が占有している物を不法領得の意思をもって盗み取った(窃取した)ときに成立する犯罪です。
他人の占有について
窃盗罪が成立するためには、対象物が「相手が占有している物」であることが必要です。
たとえばコンビニなどにおいてある商品は、お店の物であり店主の占有下にありますから、客が商品を盗った場合は窃盗罪が成立します。
なお、占有は現にその場にいる人だけでなく管理者にも認められるので、倉庫に忍び込んで物を盗った場合も窃盗罪が成立します。
それでは、他人に自分の所有物を預けていて返してくれないから無断で取り返した場合はどうでしょうか?自分のものを取り返したのであるから窃盗罪にはならないと考えてしまうかもしれません。しかし、他人に預けていた自分の所有物についても相手に占有権が認められるのが通常です。そのため、窃盗罪が成立してしまう可能性があります。
なお、既に他人の占有を離れている物を取った場合は、「他人の占有している物」の要件を満たさないので窃盗罪は成立せずに別の犯罪が成立します。たとえば電車の車内やお店の座席などに置き忘れている財布や鞄をもってきてしまった場合は、窃盗罪ではなく遺失物横領罪が成立します。なお、このようなケースであっても、被害者が対象物と時間的・場所的に近接している場合(例えば置き忘れてすぐに戻ってきた場合等)には、対象物に対し依然占有が及んでいると考えられますので、窃盗罪が成立することもありえます。
不法領得の意思について
窃盗罪の成立には「不法領得の意思」が必要です。不法領得の意思とは、他人の物を自分の物にしてやろうという気持ちです。
たとえば「相手のお金を盗って自分で費消する」「他人の物を盗って自分で利用する」といった考えをもって行為に及んだ場合は、不法領得の意思が認められて窃盗罪が成立することとなります。
なお、不法領得の意思を有さずに他人の占有物を取った場合には窃盗罪は成立しません。例えば相手に対する嫌がらせの気持ちで相手の占有下のものを隠したり壊したりした場合には、不法領得の意思がないため窃盗罪は成立せず器物損壊罪が成立します。
窃取について
窃取とは、占有している人の意思に反して、対象物を自分または他人の占有に移すことを言います。世間一般で言う「盗む」という行為そのものであると理解していただければ結構です。
1-2.未遂罪について
窃盗罪には、未遂罪があります。未遂罪とは、意思をもって犯罪行為に着手したけれど行為を成し遂げることができなかった場合に成立します。
例えば、スーパーマーケットで商品を盗むという窃盗行為に着手したけれども、店を出る段階で警備員に見つかり失敗した場合には、窃盗未遂罪が成立します。

2.窃盗罪の刑罰

窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役刑または50万円以下の罰金刑です。
初犯の場合や被害額が小さいケース、被害者との示談をして被害弁償ができているケースでは、適用される刑罰が軽くなる傾向にあります。不起訴(起訴猶予)処分となる可能性も高いです。
他方で、被害額が大きい場合や同種前科がある場合などでは、重い刑罰が適用されることとなります。

3.窃盗罪が成立する典型的なケース

窃盗罪が成立するケースは、以下のような場合です。
- コンビニやスーパーで万引きした
- ひったくりをした
- 原付や車を盗った
- 他人の家においてある金品を盗った
- 倉庫に忍び込んで物を盗った
- 他人が管理しているコンセントを無断使用した
窃盗罪は、広く成立する犯罪です。「他人の物を勝手に盗ってしまった」場合、まずは窃盗罪が成立するとお考え下さい。
4.窃盗罪で逮捕されたときの対処方法
もし、家族が窃盗罪で逮捕されてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか?
4-1.状況を確認する
人が逮捕された場合、その人の家族に対し警察から電話等で連絡があることがほとんどです。警察からそのようなま連絡があった際は、「何の容疑で逮捕されたのか」「どこの警察署に留置されているのか」「会いに行っても良いのか」を尋ねましょう。面会可能であればすぐに会いに行くことを推奨します。
4-2.弁護士に相談する
なお、逮捕直後の3日間前後は家族であっても面会させてもらえないケースがほとんどです。逮捕の後、勾留決定が出るまでの間は、弁護士でないと接見(面会のこと)が認められていないためです。
面談が不可と言われた場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士であれば接見することが可能ですので、一度本人に面会に行ってもらいましょう。
逮捕された本人は、警察に身柄を留置されてしまったことによって動転していることがほとんどです。警察に誘導されて、虚偽の自白などの不利な供述をしてしまう可能性もあります。
弁護士が面会に行った場合、本人にこの後の手続きの流れを説明し、虚偽の自白をしないことなど必要な対応方法をアドバイスすることができるので逮捕後に生じ得るであろう不利益を予防することができます。
また、可能な限り早めに被害者と連絡を取り、示談や被害弁償をすることで、勾留前に釈放してもらえることもあります。処分を軽くすることや、不起訴(起訴猶予)処分となる可能性を高くすることもできます。
家族が窃盗罪で逮捕されたとき、初動が非常に重要です。逮捕直後から弁護士を派遣することでご本人の権利保護につながるので、家族が窃盗罪で逮捕された場合、お早めにご相談下さい。

4-3.勾留に切り替わったらすぐに接見に行く
勾留に切り替わったら、早い段階で家族としても接見に行き、顔を見せてあげるようにしましょう。
このことで本人も安心し、厳しい取り調べに対応する力を得られるかと思います。留置所ではさまざまな物が不足するので、必要な物を聞いて差し入れをしてあげることも大切です。
なお、勾留が長引くことは勤務先や学校に対しても悪影響が出てしまいます。事態の速やかな解決、合理的な解決を図るためには、専門家である弁護士に頼った方が間違いがありません。
恵比寿にある鈴木総合法律事務所では、刑事事件の弁護にも力を入れています。家族が窃盗罪で逮捕されてしまってお困りの方は是非一度ご相談ください。


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