刑事事件

痴漢で冤罪に巻き込まれた場合の対処方法!訴え返すことは可能?弁護士解説

東京で電車通勤をしていると、「痴漢冤罪(えん罪)」事件に巻き込まれる危険があります。

痴漢冤罪とは「本当は痴漢をしていないのに、痴漢犯人に仕立て上げられること」です。

被害者が勘違いするケースもありますが、示談金目当てで痴漢をでっちあげる女性もいるので注意しなければなりません。

今回は痴漢冤罪に巻き込まれた場合の対処方法を解説します。

どうやったら有罪にならずに済むのか、相手女性を訴え返せるのかなど、必要な知識をご紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

1.痴漢冤罪とは?よくあるパターン

本当は痴漢をしていないのに痴漢に仕立て上げられてしまう「痴漢冤罪」。

現代日本社会、特に都会で電車通勤をする男性の方には避けて通れない重大な問題でしょう。

痴漢冤罪でよくあるパターンは、以下のようなものです。

1-1.電車に乗っていて女性に「痴漢」といわれる

満員電車に乗っていると、自分の手がどこに当たっているか把握しにくくなります。触っていないのに、いきなり近くにいた女性から「痴漢」といわれて騒ぎになり、駅員室に連れて行かれるケースが少なくありません。

1-2.傘があたって痴漢と勘違いされる

雨の日などでは、濡れた傘が女性の身体に当たり、痴漢と間違われるケースがあります。

1-3.示談金目当てででっちあげられる

女性の中には、本当は触られていないと知りながらも「痴漢」をでっちあげる人がいます。

痴漢事件になれば、示談金を払わせることができると考えているのです。

男性側にしてみると、本当は触っていないのにいきなり痴漢犯人にされてしまうので、重大な不利益となるでしょう。

1-4.その場で取り押さえられる

電車で痴漢冤罪事件が発生すると、多くの場合にはその場で取り押さえられてしまいます。

被害女性1人の力だけではなく、近くの乗客が協力して抑え込み駅員室へ連れて行かれるケースも少なくありません。

1-5.現行犯逮捕されるケースも多い

痴漢冤罪事件では、現行犯逮捕されるケースが多数です。現行犯逮捕は一般人でもできるので、近くの人に抑え込まれた時点で逮捕が成立します。

そのまま駅員室に連れて行かれて警察を呼ばれ、警察署に連れて行かれて身柄拘束されるケースも多々あります。

そうなったら「本当はやっていない」と言っても聞いてもらえず、しばらくの間、会社にも行けなくなるでしょう。家にも戻れなくなり、家族にも心配と迷惑をかけてしまいます。

サラリーマンが痴漢冤罪に巻き込まれると、人生が狂ってしまうケースが少なくありません。冤罪の不利益をなるべく小さくするため、正しい対処方法を押さえておく必要があります。

2.痴漢冤罪率は?

痴漢冤罪はネット記事やニュースなどでもよく取り上げられているので、「どのくらい発生しているのだろう?」と関心を持つ方も多いでしょう。

実は「冤罪率」についてまとめた統計データは存在しません。

参考となるデータとして、痴漢によって成立する「強制わいせつ罪」の起訴、不起訴の割合が挙げられます。平成30年犯罪白書によると、強制わいせつ罪の不起訴率は65.6%、起訴が1,288件、不起訴が2,458件です。不起訴となった事件の中には、冤罪事件も含まれているといえるでしょう。

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/66/nfm/n66_2_3_1_2_4.html

痴漢で成立する犯罪には、強制わいせつ以外にも「迷惑防止条例違反」があります。実際には強制わいせつより迷惑防止条例違反が成立する事例の方が多数です。

また現場で痴漢を疑われても検察官へ送致されないケースが少なからず存在します。そういった件数を含めると、冤罪事例はもっと多くなるでしょう。

こうした事情をすべて考慮すると、痴漢冤罪の発生件数は1,000件、2,000件では済まず、非常に多いのではないかと推測されます。冤罪事件は誰にとっても他人事ではありません。

3.痴漢に間違われたときの現場での対処方法

電車で痴漢に間違われたとき、現場でどのように対処すれば良いのかみてみましょう。

3-1.はっきり否定する

まずははっきり犯行を否定することが重要です。決して謝ってはなりません。当初に「すみません」といってしまったら「やったのだ」と決めつけられてしまうからです。

「私はやっていません」と大きな声で訴えましょう。

3-2.怒りをあらわにする

痴漢に間違われるなど極めて不名誉な出来事です。女性がしつこく痴漢と決めつけてくるなら、「名誉毀損になりますよ!」などと怒りをあらわにするのも効果的です。

本人が真剣に否定し続けていたら、周囲も「本当にやっていないのではないか?」と考え始めるでしょう。

3-3.目撃者を探す

現場で「痴漢していないこと」を証明してくれる目撃者を探しましょう。ときには、たまたまスマホで現場を撮影していた乗客が無罪を証明してくれるケースもあります。

「誰か見ていませんでしたか?」などと大きな声で訴えかけてみてください。

3-4.できるだけ穏便にその場を立ち去る

現場では、できるだけ駅員室に行かず穏便にその場を立ち去るのが理想です。駅員室に連れて行かれたら、そのまま警察を呼ばれて連行される可能性が高くなるためです。

「私はやっていない」と主張して被害者に納得してもらい、「会社に行かなければならないので」などと伝えて足早に現場を立ち去りましょう。

3-5.逃げてはならない

もしも女性や周りの乗客が強い勢いで責めてきて怖くなっても、逃げてはいけません。逃げると「やっぱりやったのだ」と思われてしまいますし、捕まった後の弁明が難しくなります。

また線路に下りて逃げている最中に、電車に跳ねられて亡くなった痴漢冤罪被害者の方もおられます。

気持ちが焦ってしまっても逃げずになるべく落ち着いて対処しましょう。

3-6.弁護士に相談する

現場でトラブルになり「急いでいるから」といって立ち去ろうとしても、女性から連絡先を教えるようにいわれたら、氏名や住所を伝えないと納得しないケースもあるでしょう。

そんなときには、後日の逮捕が心配になるものです。

不安を感じるなら、早めに弁護士に相談しましょう。アドバイスを受けられますし、状況に応じて証拠集めなどの対処も進められます。

また現実に逮捕された場合にも早急に弁護士は頼りになります。放っておくと「有罪」になって前科がついてしまう可能性が高くなるので、早期に刑事事件に詳しい弁護士に接見を要請しましょう。

4.冤罪で逮捕された後の手続きの流れ

痴漢冤罪で逮捕されると、以下のような流れで手続きが進みます。

4-1.検察官へ送致される

警察によって逮捕されると、48時間以内に検察官のもとへと送致されます。

4-2.勾留決定、または釈放される

検察官が被疑者の身柄を受け取ったら24時間以内に勾留の手続きを行います。裁判官による勾留決定があればそのまま身柄拘束されますが、勾留されなければ釈放されます。

冤罪の場合、自白事件より勾留されやすいので、注意しなければなりません。犯行を否認していると、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとみなされやすいからです。

早期の身柄釈放を目指すため、早急に弁護士に接見を要請し、弁護士からも勾留の必要性がないことを積極的に主張しましょう。

4-3.取り調べを受ける

勾留されると、引き続き警察の留置場で取り調べを受けます。勾留期間は原則10日、最長で20日です。勾留されず在宅捜査となった場合には、捜査が終了した段階で一度検察庁に呼ばれ、取り調べを受けることになります。

4-4.起訴か不起訴か判断される

検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。不起訴になった場合には、身柄が釈放され、刑事事件が終了します。前科もつきません。

起訴されたら刑事裁判の被告人となって裁かれます。

4-5.起訴されたら高い確率で有罪になる

冤罪事件で否認していると、略式起訴にはなりません。必ず通常裁判での争いとなります。

日本の刑事裁判では99.9%以上が有罪判決となるので、冤罪でも起訴されると有罪判決を受けるリスクが高くなるといえるでしょう。

とはいえ、きちんと無罪立証できれば無罪判決を獲得できる可能性も十分にあります。優秀な刑事弁護人を選任し、適切に裁判へ対処していきましょう。

5.痴漢冤罪で逮捕された後の対処方法

5-1.すぐに弁護士を呼ぶ

痴漢冤罪で逮捕されたら、すぐに弁護士を呼びましょう。当番弁護士を呼ぶ方法もありますし、外に家族がいれば「性犯罪に詳しい弁護士」を選んでもらって依頼できます。

弁護士にもいろいろな得意分野があるので、できる限り自分たちで「性犯罪の刑事事件に強い弁護士」を探して依頼する方法がお勧めです。当番弁護士では、来てくれる弁護士を選べません。

当事務所でも、痴漢被疑者のサポートや冤罪対策に非常に力を入れています。ご相談いただければ、万一の時に弁護士がすぐに留置場へ駆けつけます。お困りの際には、お早めにご連絡ください。

5-2.無罪の証拠を集める

冤罪事件で不起訴にしてもらうには、無罪の証拠がある程度必要です。目撃者を探したり、現場検証を行って「痴漢が不可能」であると証明したりして、証拠不十分による不起訴を目指しましょう。繊維鑑定やDNA鑑定などの科学鑑定結果により無罪が明らかになる可能性もあります。

5-3.検察官へ不起訴を申し入れる

起訴されると有罪になる可能性が高くなるので、前科を避けるには不起訴処分を獲得すべきです。弁護人を通じて説得的に検察官へ不起訴の申し入れを行いましょう。

6.相手女性を訴え返す方法

相手の女性によるでっちあげで痴漢冤罪事件に巻き込まれた場合、女性を訴えたり慰謝料請求したりできる可能性があります。

6-1.虚偽告訴、名誉毀損で訴える方法がある

日本の刑法では、「相手に処罰や懲戒を受けさせるために、虚偽の告訴、告発や申告をしてはならない」と定められています(刑法172条)。違反すると「虚偽告訴罪」が成立します。

また事実の摘示によって公然と人の社会的評価を低下させる行為は「名誉毀損罪」となります。

でっち上げによって女性にこれらの犯罪が成立する場合、刑事告訴によって女性を処罰してもらえる可能性があるといえるでしょう。

また虚偽告訴や名誉毀損は民法上の「不法行為」にもなるので、「慰謝料」も請求できます。慰謝料相場は10万~数十万円程度。共犯事件など悪質な場合、被害が重大な場合にはより高い慰謝料を請求できる可能性があります。

6-2.相手を訴える、慰謝料請求できる条件

痴漢冤罪を仕立て上げた女性を訴えられるのは、以下のような要件を満たす場合です。

でっち上げを証明できる

1つは、相手女性によるでっち上げを証明できるケースです。証拠によって女性が嘘をついたことを明らかにできる場合や女性が嘘を認めている場合には、訴えたり慰謝料請求したりするのが容易になります。

無罪が確定している

刑事事件となったけれど無罪が確定したら「本当はやっていなかった」ことが法的に明らかになります。この場合、女性が「故意」にでっち上げたといえるなら、女性を訴えることができます。

7.痴漢冤罪に巻き込まれたらすぐに弁護士までご相談を

本当はやっていないのに「痴漢扱い」されると、極めて大きな不利益が降りかかります。刑事裁判や前科を避け、生活や家族を守るには早急な対応が必須となるでしょう。

お一人でできることは限られています。平穏な生活を取り戻すため、今すぐに弁護士までご相談ください。