被害届と刑事告訴の違い

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。
被害届と刑事告訴の違い

犯罪被害に遭ったら、警察へ被害の内容を申告しましょう。警察へ届け出ると捜査が開始され、犯人を逮捕してもらえる可能性も高くなります。

ただし犯罪被害を警察に伝える方法としては「被害届」と「刑事告訴」の2種類があり、状況によって使い分けが必要です。

今回は被害届と刑事告訴の違いや手続きの方法を解説しますので、犯罪被害に遭われた方はぜひ参考にしてみてください。

1.被害届とは

被害届とは、警察などの捜査機関へ犯罪被害の事実を申告するための届出書です。

提出することにより、警察へ「このような犯罪被害に遭いました」と知らせる効果があります。

被害届の方法としては、一般的に被害者自身が警察に用意されている被害届の「書式」に必要事項を記入して提出するケースが多数です。ただし被害者が口頭で被害届を出し、警察が内容を聞き取って被害届を代書するケースもあります。

2.刑事告訴とは

刑事告訴とは、犯罪被害者が捜査機関へ犯罪事実を申告すると同時に加害者への処罰を求めるための意思表示です。

被害届は単に「犯罪事実を申告するだけ」の手続きであるのに対し、刑事告訴をすると「積極的に加害者への処罰を求める」効果があります。

刑事告訴も口頭でも可能ですが、一般的には被害者が「告訴状」という書面を作成して警察へ提出して行います。口頭で刑事告訴が行われた場合であっても、警察が内容を聞き取って調書を作成するため記録が残ります。

2-1.告訴状とは

「告訴状」は、被害者が刑事告訴するために作成する書類です。加害者へ積極的に処罰を求めたい場合、基本的に被害者は告訴状を作成して警察に提出しなければならないと考えましょう。

被害届を提出しただけでは刑事告訴したことにならないので、勘違いしないでください。

2-2.刑事告訴と刑事告発の違い

刑事告訴と刑事告発が混同されるケースも多いので、正しい意味合いを理解しましょう。

刑事告訴は先述の通り、「犯罪被害者本人や代理人」が捜査機関に加害者への処罰を求めるために行う意思表示です。

一方で刑事告発は、「被害者以外の人(第三者)」が捜査機関に犯罪事実を申告して処罰を求めることをいいます。

刑事告訴は被害者自身が行う手続きであるのに対し、刑事告発は被害者以外の第三者が行うという点で違いがあります。そして刑事告発を行うために告発者が作成する書類が「告発状」です。

被害者自身が加害者への処罰を求めるときには「告発状」ではなく「告訴状」を作成しなければならないので、間違えないようにしましょう。

3.被害届と刑事告訴の違い

以下では被害届と刑事告訴の違いを個別にみていきましょう。

【被害届と刑事告訴の基本的な違い】

被害届刑事告訴
加害者への処罰意思が含まれるか含まれない含まれる
親告罪の場合の取扱い被害届だけでは処罰してもらえない必須
捜査機関へ義務を課す程度低い高い
加害者の量刑に対する影響小さい大きい
手続きの容易さ簡単複雑

3-1.加害者への処罰意思が含まれるか

被害届には加害者へ処罰を求める意思が含まれず、単に犯罪事実を申告するだけの効果しかありません。

一方刑事告訴の場合には加害者への積極的な処罰意思が含まれます。ここが被害届と刑事告訴の根本的な違いといえるでしょう。

3-2.親告罪における効果

親告罪とは、被害者やその代理人による刑事告訴がないと処罰できない犯罪です。

刑事告訴しない限り、加害者は逮捕も起訴もされないと考えましょう。処罰してほしい場合には必ず刑事告訴しなければなりません。

被害届を出しただけでは刑事告訴したことにならないので、親告罪の犯人を処罰してもらえません。刑事告訴をして初めて犯人を処罰してもらえる可能性が発生します。

親告罪の例

親告罪の代表例としては、以下のようなものがあります。

  • 名誉毀損罪、侮辱罪

不特定多数の人に知れ渡るような方法で社会的評価を下げるような事実を摘示されたり、侮辱されたりしたときに成立する犯罪です。犯人を処罰してほしければ刑事告訴しなければなりません。

  • 器物損壊罪

物を壊されたときに成立する犯罪です。飼っているペットを傷つけられた場合の動物傷害罪も同様の取扱いとなります。

  • 過失傷害罪

加害者の過失によって被害者がその身体を傷つけられたときに成立する犯罪です。たとえば自転車事故で被害者がケガをしたとき、加害者には過失傷害罪が成立します。過失傷害罪は親告罪なので、加害者を処罰してほしければ刑事告訴しなければなりません。

一方で、被害者が死亡してしまった場合の「過失致死罪」は親告罪ではないため、遺族が刑事告訴しなくても処罰される可能性があります。

 

自転車事故に遭ったときの対処方法
自転車事故に遭ったときの対処方法最近ではウーバーイーツ(Uber eats)の利用者が増えている影響もあり、都内を始めとして自転車事故に巻き込まれる可能性が高くなってい...
  • リベンジポルノ禁止法違反

リベンジポルノとは、交際中や婚姻中に撮影した性的な動画や画像をネット上へ拡散する行為です。

リベンジポルノはリベンジポルノ禁止法によって処罰される違法行為となります。

ただしリベンジポルノ禁止法違反は親告罪なので、被害者が告訴しなければ加害者は処罰されません。

一般に知られている多くの犯罪は親告罪ではありません。たとえば窃盗罪や傷害罪、放火罪などは親告罪ではないため、加害者は被害者が刑事告訴しなくても処罰されます。

 

男女トラブルを弁護士に相談するメリット
男女トラブルを弁護士に相談するメリット 不倫したら慰謝料を請求された 婚約を破棄されてしまった 結婚詐欺に遭った 以前の交際相手に貸したお金を返してほ...

間違いやすいけれど親告罪ではない犯罪

以下のような犯罪は、親告罪と誤解されているケースがよくありますが、実際には親告罪ではありません。

  • 強制わいせつ罪
  • 強制性交等罪
  • 痴漢、盗撮(迷惑防止条例違反)
  • 児童ポルノ、児童買春罪
  • 住居侵入罪

特に強制わいせつ罪や強制性交等罪(かつての強姦罪)などの性犯罪は、法改正前は親告罪とされていたため誤解している方が多い傾向があります。現在は法改正により、親告罪ではなくなっているので注意しましょう。

ただし親告罪でない犯罪であっても被害者が刑事告訴をすると処罰意思が明確になるので、加害者に重い処分が下されやすくなる効果はあります。

3-3.捜査機関へ義務を課す程度

被害届と刑事告訴は、捜査機関へ義務を課する程度においても違いがあります。

被害届の場合、単に捜査機関へ犯罪事実を申告するだけの効果しかないので、何らかの義務を負わせるものではありません。

一方で刑事告訴が行われると、捜査機関は告訴の調書を作成すべき義務を負います。また犯罪事実の捜査を進め、事件に関する書類や証拠物を速やかに検察官へ送付しなければなりません(刑事訴訟法242条)。

このように刑事告訴を受理すると捜査機関には一定の義務が生じるので、放置できなくなります。早めに捜査を進めてほしい場合には単に被害届を提出するだけではなく刑事告訴する方がよいでしょう。

3-4.加害者の量刑に対する影響

被害届と刑事告訴では、加害者の量刑に対する影響も異なります。

被害届を提出しただけでは、「加害者へ厳しい処罰をしてほしい」という被害者の意思が明確になりません。特に加害者の情状が悪くなるわけではなく、量刑には基本的に影響しにくいと考えましょう。

一方で刑事告訴が行われている場合、被害者の「加害者を赦せない、厳しく処罰してほしい」という被害者の意思が明確になります。刑事裁判において加害者の情状が悪くなり、処罰が重くなる可能性が高くなるでしょう。

3-5.手続きの容易さ

被害届と刑事告訴では、手続きの容易さにも違いがあります。

確かに両方とも口頭でもできることにはなっていますが、実際には書面を提出するケースが多数です。

特に刑事告訴の場合にはしっかりと告訴状を作成して証拠も揃えて持っていかないと、なかなか受理してもらえません。告訴状には、どういった犯罪が行われて何罪に該当するのかなど、法理的な要件を踏まえて必要充分な内容を記載する必要があります。

被害届の場合、警察においてある書式に必要事項を書いて提出するだけで完了するので簡単です。

以上のような違いから、被害届であれば被害者本人が自分で対応してもほぼ問題ありませんが、刑事告訴は弁護士に依頼する方がより確実に受け付けてもらいやすくなるといえるでしょう。加害者を厳重に処罰してもらいたい場合には、弁護士に刑事告訴について相談してみてください。

4.被害届を提出すべきか刑事告訴すべきかの判断ポイント

犯罪被害を受けたとき、被害届を提出すべきか刑事告訴すべきか迷ったら、以下のような基準で判断してみてください。

4-1.刑事告訴すべきケース

  • 親告罪である
  • 相手を厳しく処罰してもらいたい
  • 早めに捜査を進めてもらいたい
  • 弁護士に対応を相談している(弁護士に依頼していれば、自分で告訴状を作成する必要がないので物理的精神的な負担が軽くなります)

4-2.被害届で対応してもよいケース

  • 軽い犯罪で、特に厳しく処罰してほしいわけではない
  • 手続きが難しくなるのは困る、対応できない
  • 親告罪ではない

5.告訴取り下げの注意点

刑事告訴をしても、場合によっては取下げを検討すべきケースがあります。

たとえば親告罪で加害者との示談が成立した場合など。

ただ告訴をいったん取り下げると、2度と受け付けてもらえなくなってしまうので注意しなければなりません。後で気が変わったり加害者の態度が不誠実だったりして「やっぱり処罰してもらいたい」と思っても、やり直しは不可能です。

告訴を取り下げる際には「本当に相手が処罰されなくても納得できるのか」しっかり検討してからにしましょう。

1人では決めかねる場合、取り下げてしまう前に弁護士までご相談ください。

6.【要注意】刑事告訴を必ず受け付けてもらえるとは限らない

刑事告訴は必ず受け付けてもらえるとは限りません。

きちんと内容をともなった告訴状を作成してある程度の証拠も持参しないと、警察が「このままでは受理できない」などといって受付を断るケースも多いので注意しましょう。

告訴状には被害届と異なり定型書式もないので、被害者が自分で1から書類を作成しなければなりません。法的な知識のない方が自分なりに書類を作成しても、適切な内容に仕上がるとは限らないのです。

また告訴を受理してもらいにくい理由には、警察側の事情もあります。いったん告訴を受け付けてしまうと、警察としても事件処理せざるを得ないからです。キャパを超えると困るので、やみくもに多数の案件を受け付けるわけにはいきません。受理すべき案件かどうか、分別する必要が生じるので、要件不備や証拠不十分な案件を持ち込まれると、受理しないで断らざるを得ないのが現状です。

これを被害者側からみてみると「告訴状を作成して持っていったのに受け付けてもらえなかった」という結果につながってしまいます。

7.刑事告訴を受け付けてもらう方法

告訴状をより確実に警察で受け付けてもらいたい場合、法的な専門知識を持った弁護士へ相談しましょう。弁護士が告訴状を作成し、代理人として告訴手続きを行えば、被害者が自分で対応するより受理してもらいやすくなるからです。

加害者との示談交渉や加害者が刑事裁判になった後の被害者参加などの手続きも、引き続き弁護士に依頼できます。犯罪被害者が1人で刑事事件に対応するのは肉体的にも精神的にも負担が重くなるものですが、弁護士に依頼すれば労力もかからず安心できて、ストレスも軽減されるでしょう。

当事務所では刑事事件の被害者支援に力を入れて取り組んでいます。性犯罪や窃盗、詐欺などの犯罪被害に遭って加害者が不誠実で困っている方、厳しく処罰してほしい方がおられましたら、1度お気軽にご相談ください。

相談無料
そのお悩み、弁護士に相談してみませんか?
・ご相談者の満足度99.02%
・知り合いにも紹介したい方98.53%
監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。