交通事故被害に遭った際に適正な賠償金を受け取るのは相応の知識と交渉力が必要です。そのため、個人で対応しようとすると相手方保険会社に言いくるめられ、適正な金額を受け取れないリスクがあります。
相手方保険会社との交渉を弁護士に依頼することができればこのリスクを回避することが可能とはなりますが、弁護士に依頼するとなると弁護費用が発生します。費用を懸念して弁護士に手続きを依頼することに踏み切れない方も多いことでしょう。
今回の記事では、交通事故被害を弁護士に依頼するメリットやでメリット等について解説します。
弁護士に依頼するメリット
交通事故の被害者となった場合、ケガの治療や精神的なショックのケアをしつつ、加害者側とやりとりをすることになります。ただでさえ大変な状況下で賠償金に関するややこしい話を理解したりどのように対応すべきかを自身で調べたりするのはかなりの労力を要します。
そんなとき、法律の専門家である弁護士は非常に心強い味方となります。まずは、交通事故被害について弁護士に依頼するメリットを確認してみましょう。
01.正しい過失割合がわかる
交通事故被害を弁護士に依頼するメリットの1つ目は、正しい過失割合がわかることです。
ほとんどの交通事故では、当事者の片方だけではなく双方に何かしらの過失(責任)があると考えられています。相手方のスピードの出し過ぎが主因の事故であったとしても、こちら側に注意不足が認められてしまうことも往々にしてあります。
交通事故においてどちらか一方が完全に悪い(100%悪い)ということはほとんどありません。これは自転車と車の事故であっても、歩行者と車や自転車の事故であっても同じです。なお、歩行者の過失割合は基本的には0ですが、駐車場内の事故や自転車と歩行者の事故などの一部では例外があります。
実は交通事故の過失割合は、警察が決めるものではありません。通常は事故当事者が話し合って決めます。ほとんどの場合は加入している保険会社が話し合って決めますが、自身での話し合いを要求されることもあります。相手方に言いくるめられて不利な過失割合を押し付けられてしまうかもしれません。
この点、弁護士であれば交通事故の態様に応じて正しい過失割合を導き出すことが可能です。提示された過失割合に納得ができない場合は弁護士に相談することを推奨します。
02.慰謝料を増額しやすい
メリットの2つ目は、慰謝料を増額できるという点です。
交通事故において慰謝料などを算定する際には下記の3つの算定基準があります。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準(裁判基準)
自賠責基準は自賠責保険会社が使用する基準であり、他の2つの基準に比べ慰謝料の相場はもっとも低いものとなっております。任意保険基準は任意保険会社が使用する基準であり、自賠責基準よりも少し高い程度のものです。弁護士基準(裁判基準)は、弁護士や裁判所が使いう基準です。過去の判例に基づくものであり、基準としてはもっとも高いものとなります。
なお、加害者側の保険会社は自社の保険基準で慰謝料を提示してきます。そのため弁護士基準と比べて低額になることがほとんどです。保険会社の提示してきた金額を鵜呑みにしないようにしましょう。また、金額が低いと感じたら弁護士に相談するようにしましょう。
03.休業損害を増額しやすい
メリットの3つ目は、休業損害を増額しやすいことです。
休業損害とは交通事故により得られなくなった収入のことです。仕事をしている人が交通事故に遭うとケガの治療でしばらく働けなくなることがあります。働けなくなったことにより減給や減収が発生すればその分を休業損害として加害者に請求できます。
この休業損害にも「保険基準」と「裁判(弁護士)基準」があります。
≪保険基準≫
6,100~19,000円 × 休業日数
≪裁判基準≫
実際に得ていた1日あたりの収入 × 休業日数
保険基準では、どんなに収入が高くとも19,000円が1日あたりの休業損害の上限となりますが、裁判基準には上限はありません。そのため、仕事を休む前までに得ていた実際の収入をベースとして計算することができます。
また、自営業者やアルバイト、主婦や主夫の方であっても休業損害を受け取ることができますが、こちらの計算方法においても裁判基準の方が優遇されております。詳細は、こちらの記事をご覧ください。
04.示談交渉の負担が軽くなる
メリットの4つ目は、示談交渉の負担が軽くなることです。
保険会社の中には、交渉の際にあえて難しい言葉を使ったり対応を遅くしたりすることで示談交渉を有利に進めようとするところもあります。また、被害者側が個人でいくら正当な主張をしても聞き入れてもらえないことも往々にしてあります。
弁護士に手続きを依頼すれば、加害者や加害者側の保険会社とのやり取りは基本的に弁護士を通じてやりとりすることになりますので、相手方の不誠実な対応に悩まされることはなくなります。相手方も裁判になることを恐れ、態度を軟化させることもあります。
05.不安なことを相談できる
メリットの5つ目は、不安なことを相談できることです。
一般の方にとって法律や裁判は難しいものです。少し調べた程度ではわからないことや解消できない不安がたくさん出てくるはずです。
また、いつまで通院すればよいのか、後遺障害認定はどうすればよいのかといった疑問も生じるかと思いますがこのあたりの判断も独力では難しいものです。
弁護士に相談すれば、これらの点について適切なアドバイスを受けることが可能となります。
弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼した際のデメリットは費用がかかることです。
たしかに弁護士に依頼すれば、相手方との交渉を一任できますし正当な請求をすることも可能となります。受け取れる賠償額は増える可能性が非常に高いですが、弁護士費用の方が賠償額の増加分を上回ってしまうようであればかえって損をすることとなります。
弁護士に依頼する際には費用の面についてしっかりと確認するようにしましょう。
弁護士費用特約について
弁護士に依頼するとなると費用がかかります。ただでさえ治療費がかさむうえに仕事を休むことになれば収入も減ってしまうことでしょうから、費用面を不安に感じて弁護士への依頼をためらう方は少なくありません。
そんな「いざというとき」の備えとしておすすめなのが弁護士費用特約つきの保険です。
弁護士費用特約とは、弁護士費用の一部もしくは全部を補償してもらえる特約です。一般的には、相談料は最大10万円、報酬金や日当などの費用は最大300万円まで補償してもらうことができます。
適用範囲は加入者本人とその家族となっていることが多いので、世帯主が加入しておけば安心です。
さいごに
交通事故の被害に遭った際は、ケガや精神的ショックへのケアと加害者側への対応を同時進行しなければなりません。加害者側の言い分を鵜呑みにすると適正な賠償金を受け取れないこともあります。ただでさえ事故で憔悴している中で適切な対応をするのはかなり大変なものとなります。
そのため、交通事故の被害者になってしまったときは弁護士に相談されることを推奨します。
東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、交通事故事件について注力しております。事故被害者のサポートについても積極的に取り組んでおりますので、是非一度お気軽にご相談ください。