交通事故の加害者になってしまった場合の対処方法

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。
交通事故の加害者になってしまった場合の対処方法

最近、有名人が交通事故を起こしたニュースをよく耳にします。

池袋で発生した暴走事件の公判も開かれ、日本全体で「交通事故」への関心が高まっているといえるでしょう。

このようにニュースになる事例では、多くの場合、加害者が事故現場で適切に対処できていません。暴走したりひき逃げをしたりして、トラブルや被害が大きくなってしまう傾向があります。

今回は、交通事故を起こしてしまった場合の「正しい対処方法」を専門家の視点から解説します。

ドライバーの方、すでに交通事故加害者となってしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

交通事故~加害者側の対応まとめ~
交通事故~加害者側の対応まとめ~交通事故を起こしてしまった 罰金は支払わなければいけないのだろうか 前科はついてしまうのだろうか 会社にバレないだろう...
交通事故の加害者になったときの対処方法交通事故を起こして「加害者」になってしまったら、事故直後から適切な対応を進めなければなりません。 今回は交通事故の加害者側の対処方...

 

1.交通事故を起こしたとき、現場でとるべき行動

交通事故を起こしたら、現場で加害者として「やらなければならないこと」があります。

きちんと対応しないと「違法」となり、後に重い刑罰を科される可能性が高くなるのでくれぐれも注意しましょう。

1-1.すぐに被害者を救護する

交通事故加害者は、すぐにけが人を救護しなければなりません。道路交通法で「救護義務」が定められているからです。もしも救護しなければ「ひき逃げ(救護義務違反)」となり、刑罰が適用されます。ひき逃げの刑罰は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金刑」となっており、非常に重いので注意しましょう。

実際には事故を起こしたとき、焦ってその場を走り去ってしまう人が少なくありません。

ひき逃げにならないため、絶対にすぐに車を降りて被害者の救護をしましょう。

応急処置を行い、必要に応じて救急車を呼んでください。

1-2.現場周辺の危険防止措置をする

交通事故の加害者は、事故現場周辺の危険防止措置もとらねばなりません。車を路肩に寄せ、散らばった破片などを片付けましょう。発煙筒をたいたり三角表示板を置いたりして、後続車に事故を知らせ、二次被害を防ぐことも重要です。

1-3.警察へ報告する

交通事故の加害者には「警察への報告義務」も課されます。警察に報告しないだけで「道路交通法違反」となってしまうので、注意しましょう。

被害者の救護と事故現場の片付けが済んだら速やかに110番して警察に事故の状況を知らせ、現場への到着を待ちましょう。

1-4.現場でしておいた方が良いこと

以下は道路交通法上の義務ではありませんが、現場で対応するようお勧めします。

被害者と連絡先を交換

被害者と連絡先を交換しましょう。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、加入している保険会社名を確認しておいてください。後で保険会社に情報を伝える必要があります。

現場の状況を保存

事故現場の写真を撮ったりメモをとったりして、状況を証拠化しましょう。後に被害者との間で過失割合が問題となったとき、現場の証拠が必要となるケースがあります。

1-5.実況見分が終わった後にすべきこと

実況見分が終わったら、以下の2つはしておいてください。

保険会社へ連絡

自分の加入している任意保険会社へ連絡しましょう。対人・対物賠償責任保険に入っていれば、その後は保険会社が被害者と連絡をとり、対応してくれます。

保険会社にいつまでも事故の報告をしなかったら、保険を適用してもらえなくなる可能性もあります。早めに連絡を入れましょう。

病院へ行く

事故の衝撃により、加害者もむち打ちなどのダメージを受けている可能性があります。その場合、加害者側の過失割合が100%でないなら、被害者側へ賠償金を請求できるのが通常です。ただ病院へ行かないと、けがの程度がわかりません。本来は請求できるはずなのに、治療費も慰謝料も請求できなくなってしまうリスクが発生します。

少しでも様子がおかしいと感じたらすぐに整形外科を始めとした病院で診察を受けておきましょう。

 

むちうちと後遺障害について
むちうちと後遺障害について交通事故に遭うと「むちうち」になってしまう方が非常にたくさんおられます。当事務所にも恵比寿界隈で交通事故に遭い、むちうちに悩む方からのご...

2.交通事故加害者がやってはいけないこと

交通事故を起こした加害者は、以下のことは絶対にやってはいけません。

2-1.現場を離れる

よくあるのが、「現場を離れてしまう」パターンです。

怖くなって逃げてしまうケースもありますし、飲酒運転を隠したい場合もあるでしょう。

「ちょっとだけ用事を済ませて後で戻ってこよう」と考える方も少なくありません。

実際に芸能人が起こして話題になった交通事故でも、ひき逃げ事案が散見されます。

しかし上記の対応はすべてNGです。

後で戻ってきたとしても「救護義務違反」「ひき逃げ」「当て逃げ」になります。

急ぎの用事があっても後回しにして現場で車を降り、必要な対応をとりましょう。

2-2.警察を呼ばずにその場で示談する

もう1つ、交通事故加害者に多いのが「警察を呼ばずにその場で示談」するパターンです。

  • 警察を呼んだら大事になってしまう
  • 前科がついてしまう
  • 運転免許の点数が加算されて取消になってしまう

こういった心配をして、被害者に「警察を呼ばずにこの場で示談しましょう。慰謝料を払います」などと持ちかけてしまいます。

しかし交通事故現場で警察を呼ばないと、「道路交通法違反(報告義務違反)です。報告義務違反には罰則もあるので、罰金などの刑罰を科されるリスクが発生するでしょう。

またその場で示談したつもりでも、被害者が後に「後遺障害が残った」「現場ではわからなかったが、大けがをしていた」などと言って追加の賠償金を求めてくるケースが少なくありません。事故をきちんと保険会社に報告しなかったら、保険が適用されない可能性もあります。そうなったら、被害者とのトラブル解決に自分で対応しなければなりません。

警察を呼ばずにその場で示談すると、後にトラブルが大きくなるリスクが発生します。

「刑罰が怖い」、「免許の点数を加算されたくない」などの事情があっても、必ずすぐに警察を呼びましょう。

 

交通事故の「加害者」になったときの対処方法
交通事故における示談と刑事手続の流れ交通事故を起こしてしまったら、被害者に対して損害賠償しなければなりません。刑事事件への対応も必要です。 保険に入っているかどうか、...

3.交通事故加害者の責任

実際に交通事故を発生させたら、加害者にはどのような責任が発生するのでしょうか?

3-1.刑事責任

人身事故を起こしたら、加害者には「自動車運転処罰法違反」の罪が成立します。

自動車運転処罰法には、以下の2種類の罪が規定されています。

過失運転致死傷罪

過失運転致死傷罪は、通常の交通事故で加害者に成立する犯罪です。

前方不注視、スピード違反、ハンドルブレーキ操作不適切などによって事故を発生させたら、たいていは過失運転致死傷罪が成立すると考えましょう。

刑罰は「7年以下の懲役または禁固、あるいは100万円以下の罰金刑」です。

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、故意とも同視できるような重大な過失によって交通事故を起こしたときに成立する犯罪です。

被害者がけがをした場合には15年以下の懲役刑、被害者が死亡した場合には1年以上20年以下の懲役刑が適用されます。

道路交通法違反

道路交通法違反があれば、自動車運転処罰法違反の他に道路交通法違反の罪も成立します。

  • ひき逃げ
  • 飲酒運転
  • 無免許運転
  • スピード違反

こういった事情があると、適用される刑罰が非常に重くなってしまいます。道路交通法違反の罪と自動車運転処罰法の罪は「併合罪」の関係になるので、「重い方の刑罰の長期が1.5倍」とされます。たとえば過失運転致死傷罪でも「ひき逃げ」をしたら「15年以下の懲役刑」になってしまうのです。

くれぐれもひき逃げをはじめとした道路交通法違反の行為はしないよう、注意しましょう。

3-2.免許の点数が上がる

交通事故を起こしたら、免許の点数も加算されます。

加算される点数は、被害者の受傷の程度や加害者の過失割合によって変わり、被害者のケガの程度が重ければ重いほど、加算点数も高くなります。加害者の過失割合が100%ならさらに高い点数が加算されます。

被害者のケガの程度専ら加害者の過失によって事故が発生した被害者にも過失がある
死亡20点13点
・治療期間が3ヶ月以上
または
・後遺障害が残った
13点9点
治療期間が30日以上3ヶ月未満9点6点
治療期間が15日以上30日未満6点4点
・治療期間が15日未満
または
・建造物の損壊
3点2点

 

運転免許の点数制度では「15点」以上になると免許取消処分を受けます。

4.交通事故加害者が逮捕される可能性は?

交通事故を起こしたとき、加害者が逮捕されるのか気になる方も多いでしょう。

加害者は逮捕されるケースもされないケースもあります。

逮捕には法律上の「要件」があります。その要件を満たさない限り交通事故を起こしても逮捕されません。

  • 罪を犯したと疑う相当な理由がある
  • 「逃亡」や「証拠隠滅」のおそれがある
  • 通常逮捕の場合、「逮捕状」が発布されている

また代表的な逮捕の方法として「現行犯逮捕」と「通常逮捕」があります。

現行犯逮捕とは「その場で逮捕」されること。この場合、逮捕状は不要です。

通常逮捕は、後日に警察が逮捕状を用意して行う逮捕を意味します。

交通事故の場合、以下のような状況であれば、現行犯逮捕される可能性が高くなります。

  • 死亡事故など結果が重大
  • ひき逃げしたがその場で捕まった
  • 飲酒運転していた
  • 危険運転致死傷罪が成立する場合

またひき逃げで現場で捕まらなかった場合には、警察に捜査によって居場所等を突き止められ、通常逮捕される可能性が高くなります。

 

飲酒運転_飲酒運転で交通事故!有名人の事例や加害者の責任、被害者となった場合の対処方法について解説します。
飲酒運転で交通事故!有名人の事例や加害者の責任、被害者となった場合の対処方法について交通事故の加害者が飲酒していたら、どのような責任が発生するのでしょうか?最近では、有名人が飲酒事故を起こす事例も相次いでいて、関心をお持...

5.交通事故加害者が「懲役刑」になるのはどんな場合?

 

交通事故を起こしたら「懲役刑」や「禁固刑」が適用されるのか心配になる方が多いでしょう。

懲役刑とは、刑務所で拘束され強制労働させられる刑罰です。

禁固刑は、強制労働なしに刑務所で身柄拘束される刑罰を意味します。

どちらのケースでも数ヶ月、数年間刑務所に行かねばならないので、加害者は通常の社会生活を送れません。失職、離婚など大きな不利益を受けるでしょう。

ただ懲役刑や禁固刑になっても「執行猶予」がつけば、すぐに刑務所に行く必要はありません。猶予された期間に問題を起こさなければ、実際には刑務所に行かずに済みます。

5-1.懲役刑、禁固刑にならないケース

交通事故を起こしても、必ず懲役刑や禁固刑になるとは限りません。

不起訴になる可能性

被害者が軽傷な場合、早期に示談ができた場合などには「不起訴」になる可能性があります。不起訴になったら刑事裁判にならないので、何の刑罰も適用されません。前科もつかないので、加害者にとってはもっとも有利な解決方法といえるでしょう。

罰金刑になる可能性

起訴されても「罰金刑」で済む可能性があります。罰金刑が適用されたら、言い渡された罰金を払えば刑罰を受けたことになり、刑務所へ行く必要はありません。ただし罰金を支払わずに放置し続けると、最終的に「労役場」で強制労働をさせられる可能性があります。

また罰金刑でも「前科」はつきます。

5-2.実刑になるリスクが高いケース

懲役刑や禁固刑で実刑になるリスクが高いのは、以下のようなケースです。

  • 被害者が死亡した
  • 反省していない
  • 危険運転のケース

こういった事情に当てはまる場合、不利益が大きくなる可能性が高いので要注意です。早期に被害者と示談して慰謝料を払うなど、適切な対応が重要といえるでしょう。

 

「煽り運転(あおりうんてん)」で成立する犯罪とは?逮捕された時の対処方法
「煽り運転(あおりうんてん)」で成立する犯罪とは?逮捕された時の対処方法近年では危険な「煽り運転(あおり運転)」が社会問題となり、厳罰化も進められています。 煽り運転とは、前の車と車間距離を詰めたり幅寄...

まとめ

交通事故に遭ったら、被害者側にも加害者側にも正しい法的知識が必要です。対応に迷ったときには早めに弁護士へ相談してください。

相談無料
そのお悩み、弁護士に相談してみませんか?
・ご相談者の満足度99.02%
・知り合いにも紹介したい方98.53%
監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
弊所では、99.02%の方から弁護士の応対についてご満足の声を頂いており、98.53%の方からお知り合いに紹介したいとの声を頂いております。
まずはお気軽にお問い合わせください。