過失割合の修正要素を事故のパターン別に弁護士が解説

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弁護士 鈴木 翔太
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過失割合の修正要素を事故のパターン別に弁護士が解説

交通事故が発生すると、お互いの「過失割合」を定める必要があります。

こちらの過失割合が高くなると「過失相殺」が行われて相手に請求できる賠償金が減ってしまうため、過失割合は示談交渉において非常に重要なポイントといえるでしょう。

実は過失割合には「修正要素」という考え方があり、個別の事故状況によって基本の過失割合が加算されたり減算されたりする可能性があります。

今回は過失割合の修正要素とは何なのか、どういった修正要素があるのかパターン別に弁護士が解説します。

保険会社と示談交渉をしていて過失割合に納得できない方はぜひ参考にしてみてください。

 

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1.修正要素とは

修正要素とは、事故の個別的な状況に応じて双方の過失割合を調整するための諸事情をいいます。

たとえば一方のドライバーが飲酒していたら、基本的な過失割合よりも重い責任を認めるべきでしょう。そこで基本の過失割合を修正し、飲酒運転していた側の過失割合を10~20%程度、加算します。

この場合「飲酒運転(酒気帯運転や酒酔い運転)」という事情が過失割合の「修正要素」として考慮されています。

示談交渉において、保険会社が必ずしも正しい修正要素を適用して計算するとは限りません。適切な修正要素をあてはめると、保険会社の主張する過失割合が変更されて受け取れる賠償金額が大きくアップする可能性もあります。

交通事故で示談交渉するときには、基本の過失割合に加えて「修正要素」についてもしっかり理解しておくべきといえるでしょう。

以下で交通事故のパターンごとに適用される修正要素を解説していきます。

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2.自動車同士の事故における修正要素

自動車同士の事故の場合、以下のような修正要素が適用される可能性があります。

飲酒運転

一方が飲酒運転していると過失割合が加算されます。

酒気帯び運転なら5~15%程度、酒酔い運転なら10~20%程度過失割合が上がるケースが多数です。

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スピード違反

一方がスピード違反していると、違反者の過失割合が上がります。

時速15キロメートル以上オーバーしていると5~15%程度、時速30キロメートル以上オーバーしていると10~20%程度加算されるケースが多くなっています。

大回り右折、早回り右折

右折するときに交差点を大回りしたり、中心によらずに早回りしたりすると相手が動きを予測しにくくなって高い危険を発生させてしまいます。そこで大回り右折や早回り右折した車の過失割合が加算される修正要素となります。

右折禁止場所

右折禁止場所では右折してはなりません。それにもかかわらず右折したら過失割合が加算されます。

右折や進路変更の合図をしない

右折車や進路変更車が合図をせずにいきなり方向を変えると相手にとって予測不可能となり、高い危険が発生します。合図をしなかった車の過失割合が加算される修正要素となります。

相手が既に右折していた

相手が既に右折しているのに無理に交差点に進入すると接触する危険が高まるため、直進車の過失割合が加算される修正要素となります。

大型車

大型車の場合、普通車よりも高い注意義務を課されるため過失割合を加算されるケースがあります。

著しい過失

著しい過失とは、通常の不注意を上回る高度な過失です。著しい脇見運転、不適切なハンドブレーキ操作、スマホで会話しながら運転、カーナビを操作しながらの運転などが該当します。

ドライバーに著しい過失があると、過失割合が5~15%程度加算されます。

重過失

重過失とは故意にも匹敵する重大な過失です。無免許運転や居眠り運転などが該当します。

重過失があると、そのドライバーの過失割合が10~20%程度加算されます。

3.バイク事故の修正要素

バイク事故でも、著しい過失割合や重過失、合図をしない、早回り右折や大回り右折などの修正要素は四輪車同士の事故と同じように適用されます。

それ以外に以下のような過失割合が加算されます。

ヘルメット不着用

バイクのライダーにはヘルメットの着用が義務付けられています(道路交通法71条の4第1項、2項)。

ヘルメットをつけていなければ大怪我をして事故による損害が拡大する危険が高くなるため、過失割合が加算される修正要素となります。

高速道路の場合

高速道路を運転する場合、ヘルメット着用の必要性が一般道路より高くなると考えられるため、不着用は「重過失」と評価されます。ライダー側の過失割合が10~20%程度、高まるケースが多数です。

4.歩行者や自転車の事故の修正要素

自動車やバイクと歩行者、自動車やバイクと自転車の事故では、車同士の事故とは異なる過失割合の修正要素が適用されるケースがあります。以下で典型例を確認しましょう。

幹線道路

幹線道路では自動車がスピードを出して走行していると想定されるため、歩行者側の注意義務が上がります。一般的な道路よりも歩行者の過失割合が上がる修正要素となります。

横断禁止場所で横断

横断禁止場所では道路を横断してはなりません。それにもかかわらず歩行者が道路を渡ると歩行者の過失割合が上がります。

住宅地、商店街

住宅地や商店街では歩行者や自転車がどこから出てくるかわからないので、自動車は慎重に運転しなければなりません。それにもかかわらず事故を起こした場合、自動車側の過失割合を加算する修正要素となります。

夜間

事故発生時間が夜間の場合、自動車はランプを付けているので歩行者側は自動車の存在に容易に気づけるはずです。よって歩行者側の過失割合を加算する修正要素となります。

歩行者や自転車が児童、高齢者、障害者

歩行者や自転車が6歳未満の幼児、6~12歳までの児童、65歳以上の高齢者や障害者の場合、適切な行動を期待するのは難しいでしょう。

自動車側の過失割合を加算する修正要素として考慮されます。

歩行者が集団で横断

歩行者が集団で道路を横断する場合、自動車側は歩行者らの存在を容易に認識できますし、事故が発生したときの危険も高まります。

集団歩行は自動車側の過失割合を加算する修正要素となります。

歩行者がふらふら歩き、後退

歩行者がふらふら歩きや後退などをすると、自動車側にとって予測不可能となり事故の危険が高まるでしょう。歩行者側の過失割合を加算する修正要素となります。

自転車が無灯火

自転車が夜間に運転する場合、ランプを付けなければなりません。無灯火で運転していて事故が発生した場合、自転車側の過失割合が加算される修正要素となります。

傘さし運転、二人乗り、スマホを操作しながらの運転

自転車に乗るときには傘差し運転や二人乗り、スマホを操作しながらの運転が禁止されます。

それにもかかわらずこうした危険な運転をしていると、自転車の過失割合が加算される修正要素として考慮されます。

両手離し運転

「両手離し」で自転車を運転するのは極めて危険ですので、こういった行動があると自転車側の過失割合が加算されます。

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5.保険会社から過失割合を提示されたときの対処方法

交通事故後の保険会社との示談交渉では、保険会社から過失割合を提示されるケースが多数です。

このとき、必ずしも正しく修正要素が考慮されているとは限らないので注意しなければなりません。鵜呑みにせず、まずは自分で「基本の過失割合」を確認しましょう。

基本の過失割合とは、事故の状況別の基礎となる過失割合です。「別冊判例タイムズ38」などの冊子を確認すれば調べられます。

そのうえで正しい「修正要素」を当てはめて、適切な過失割合を算定しましょう。修正要素についても、上記でご紹介した別冊判例タイムズ38に掲載されています。

自分で調べるのが難しい場合、次項で紹介するとおり「弁護士へ相談する方法」をお勧めします。

6.過失割合に疑問があるときに弁護士に相談するメリット

交通事故に遭って適正な過失割合を当てはめるには、弁護士に相談するのがベストな対応といえます。以下で弁護士に相談するメリットをみていきましょう。

6-1.正しい過失割合を算定できる

自分で判例タイムズを見ても、正しい過失割合を算定できるとは限りません。

どのケースがご自身のケースに当てはまるのかわからない方もおられますし、どの修正要素が適用されるのか判定しにくい方も多いでしょう。

弁護士に相談して事故の状況を伝えれば、適切な過失割合を算定してもらえます。

自分で調べる手間を省ける点もメリットとなるでしょう。

6-2.相手が嘘をついている場合に正しい状況を明らかにできる

交通事故が発生すると、加害者が事故の状況について虚偽を述べるケースも多々あります。

そもそも事故状況について被害者と加害者の言い分に食い違いがあると、判例タイムズの「どの事例を当てはめるべきか」が定まらず、解決できません。

弁護士に相談すれば「実況見分調書」や「信号サイクル表」を取得したりドライブレコーダーのデータを分析したりして、現実の事故状況を明らかにできる可能性が高くなります。

被害者側の主張が正しいことを証明できれば、過失割合も適正となって結果的に賠償金が増額されるでしょう。

相手が嘘をついているときに正しい状況を明らかにできるメリットがあります。

6-3.示談交渉を任せられる

被害者が自分で保険会社と交渉しても、希望を実現するのは簡単ではありません。

判例タイムズの該当事例を示して基本の過失割合や修正要素を主張しても、保険会社からは「そのケースではない」などと言われて過失割合の修正に応じてもらえないケースがよくあります。示談交渉が多大なストレスとなって苦痛を感じる被害者の方も少なくありません。

弁護士に示談交渉を任せると、自分で対応しなくてよいので労力を省けます。ストレスがかからなくなり、治療や仕事、日常生活に専念できるメリットもあります。

また「弁護士基準」で賠償金を計算するため、賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。

特に後遺障害が残った事案や死亡事故などの重大事故で高額な賠償金を受け取るには、弁護士に依頼する必要があるでしょう。

弁護士に示談交渉を依頼するメリットは非常に大きいといえます。

当事務所は東京・恵比寿エリアを拠点にして交通事故被害者への支援活動に積極的に取り組んでいます。保険会社から提示された過失割合や賠償金額について疑問のある方はお早めにご相談ください。

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