任意整理ってどういう手続き?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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  • カードローンの返済が苦しくなってきた
  • リボ払いの残高がいつまで経っても減らない
  • 返済を放置していたら一括請求書が届いてしまった

借金やリボ払いの残額等が膨れ上がってしまい返済が苦しくなった、生活に支障をきたすようになったということであれば、生活再建のために債務整理手続きを検討するべきです。

こと個人の債務整理には、破産、個人再生、任意整理の3つがありますが、今回の記事では任意整理について、東京・恵比寿の弁護士が解説します。任意整理を検討されている方は是非参考にしてみてください。

任意整理とは

任意整理とは、サラ金等の貸金業者、クレジット会社(信販会社)といった債権者と、裁判所を介さずに交渉を行い、負債の返済方法を決め直す手続です。

裁判所を介さずに交渉を行なう、すなわち裁判所が関与しないという点が大きなポイントです。

01.裁判所を介さないことによるメリット

破産及び個人再生は、裁判所を介した手続きです。裁判所に破産事件(個人再生事件)の申立を行なうことが必要となります。

申立をするうえで申立書を作成する必要があり、通帳の取引履歴や給与明細、所有する財産の価値を証明する書面等を提出する必要があります。破産の場合は、所有する財産のうち所定の物については処分する必要がでてきます。

また、手続きの進行に応じて何度か出頭する必要がありますので、債務者の負担は大きいといえるでしょう。

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他方で、任意整理は、弁護士が債権者と直接交渉して返済方法を決め直す手続きです。裁判所を介した手続きではありません。

そのため、必要な書類を集める、財産を換価する、出頭するといった負担はないので、破産や個人再生に臨むよりは負担は少ないといえます。

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02.弁済方法を決め直すことによるメリット

任意整理では、現在の負債額について最長5年60回払いでの分割弁済で合意(和解締結)を目指します。

ほとんどのケースで債権者は合意してくれますので、現在の返済条件よりも負担が軽くなる(条件が良くなる)ことが見込まれます。

任意整理で借金は減るの?

任意整理をすることで借金(負債)は減るのでしょうか?

01.元本を減らすことは難しい

任意整理は、現在の負債額について、弁済方法を決め直す手続きです。

前提として今抱えている負債を弁済することが条件となりますので、現在の負債額を減らすという効果は望めません。

02.任意整理のメリット

では、任意整理で和解を締結することにどのようなメリットがあるかというと、主に以下の二つです。

  • 毎月の弁済額を、現在の約定返済額よりも減らすことができる
  • 将来利息をカットすることができる

将来利息のカットによる効果については後述します。

例外として負債額が減額できるケース

上述のとおり、任意整理手続きでは原則として現在の負債額を減らすことはできませんが、例外として負債額を減らすことができるケースがあります。

01.グレーゾーン金利での取引があった場合

減額できるケースの一つは、グレーゾーン金利での取引があった場合です。

2010年6月以前から貸金取引を利用していた場合、いわゆるグレーゾーン金利での取引がある可能性が高いです。グレーゾーン金利での取引がある場合は、利息制限法に基づく引き直し計算を行うことで負債額が減ったり、逆に過払金として払い過ぎた利息部分を返してもらうことができます。

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02.債権者側から提案があった場合

減額できるケースのもう一つは、債権者側から提案があった場合です。

債権者から「一括で〇〇円(負債額総額よりも少ない金額)を支払っていただけるのであればそれでいいよ」と提案がなされることがあります。この提案を吞んで指定額の一括弁済ができるのであれば負債額を減らすことができたことになります。

なお、このような提案は、今まで長期滞納していた場合や連絡不良にあった場合になされることが多いです。「弁護士が代理人として間に入っている際に、一括合意を交わすことで多少なりとも回収したい」という債権者なりの考えに基づいてなされる傾向にあります。

将来利息がカットされることによる経済的利益

将来利息がカットされると、どのくらい経済的利益(メリット)があるのでしょうか?具体例を挙げて確認してみましょう。

債務の状況

  • 負債額:200万円
  • 約定利率:15.0%
  • 約定弁済額:35,000円

上記の条件で毎月弁済のみを行なうとした場合、何年で完済に至るか想像がつくでしょうか?

上記の条件ですと、延べ101回、総額3,527,000円を支払って完済に至ります。利息として約152万円を債権者に支払うこととなりますし、完済まで約9年要することとなります。

他方で200万円の負債について弁護士に依頼して任意整理の交渉を行い、将来利息なし、毎月3.3万円の5年60回払いという条件で和解合意ができた場合は、5年間3.3万円を弁済を続ければ弁済完了(完済)となります。200万円には利息がかからないので、200万円以上支払うこともありません。返済期間も5年ですので、時間的にも経済的にも非常にメリットが発生していることが分かるかと思います。

将来利息をカット(減免)することができた場合の経済的メリットはかなりのものと言えます。

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弁護士 鈴木 翔太

任意整理のメリット

任意整理には、将来利息をカットできる以外にも下記のようなメリットがあります。

01.督促を止めることができる

返済を滞納したりすると、債権者から督促がたくさん来るので精神的に参ってしまいますよね。

弁護士に任意整理を依頼すると、債権者からの督促を止めることができます。貸金業法において、債権者は、弁護士が債務整理に介入した後は債務者に直接督促してはならないと定められているからです。

また、債権者とのやり取りは、和解交渉を含め弁護士が行います。自身で債権者とやり取りする必要がなくなりますので精神的に解放されることは間違いないです。

02.返済スケジュールが設定される

任意整理により債権者と和解合意をした場合、毎月〇日にいくら払うという弁済スケジュールがしっかりと設定されます。

支払時期がしっかりと設定されれば、ルーズな方であっても支払を忘れずにできるのではないでしょうか?

03.過払い金請求できるケースもある

グレーゾーン金利での貸金取引がある場合には、貸金業者に過払い金(払い過ぎていた利息部分)の返還請求をすることができる可能性があります。

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弁護士 松岡

任意整理のデメリット

01.弁済を継続できることが最低条件

任意整理は、将来利息のカットは期待できますが、現在の負債額を減額することはできません。また、返済期間は、3年36回~5年60回で設定するのが通常であり、6年以上の分割弁済はほとんど認めてもらえません。

そのため、3年~5年で現在の負債額を返済できる程度の収入を得ている人でないと任意整理手続きで負債の問題を解決することは困難です。

収入的に任意整理での解決が困難である場合は、自己破産や個人再生といった債務整理手続きを検討する必要があります。

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02.債権者が和解に応じてくれないことがある

任意整理は、債権者との任意の交渉によって解決する方法です。こちら側の提案に相手が応じてくれることが大前提となります。

そのため、債権者がそもそも交渉に応じてくれない場合やこちら側の提案を拒否する場合には任意整理での解決は困難と言えます。

以下の事情がある場合、債権者が和解に応じてくれない(提案を拒否する)ことがあります。

  1. 取引期間が短い
  2. 長期間滞納したり、督促の連絡を無視し続けた
  3. カード作成や与信枠の拡張申請の際に詐術があった

取引期間と弁済期間の関係

取引期間が短い場合、債権者は長期の分割に応じてくれないことがほとんどであり、取引期間と同等の期間で和解交渉に応じてくれる債権者が大多数です。

たとえば、取引期間が2年程度であれば最長で2年24回分割しか応じてくれないこともあります。

さいごに

自身の借金の問題を解決するために最適な債務整理手続きについては、判断が難しいところがあります。負債額はもとより、自身の年齢や家族構成、所有している財産、今後の可処分所得等を加味して検討しなければならないからです。

借金問題については時間が事態を解決してくれることはありません。それどころか時が経つにつれて状況はどんどん悪化してしまいます。

この記事をご覧になられているということは借金問題についてお悩みを抱えているかと思ます。東京・恵比寿の弁護士があなたをサポートしますので、お気軽にご相談下さい。

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