【子どもの交通事故】ケースごとの慰謝料や、適切な対応方法を解説

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弁護士 鈴木 翔太
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【子どもの交通事故】ケースごとの慰謝料や、適切な対応方法を解説

子どもが交通事故に遭ってしまったとき、親や加害者は、それぞれどのような対応をすべきなのでしょうか。また、示談はどのように行い、慰謝料はどう算出すればいいのでしょうか。本記事では、子どもが交通事故に遭ったときの対応方法を徹底解説。慰謝料の相場や算出方法、子どもの心身を少しでも早く回復させるためにできることをお伝えします。

子どもが事故に遭ったとき、親と加害者はどうすれば良い?

被害者にとっても加害者にとっても、交通事故は突然の出来事です。故意ではないとしても、相手への怒りや今後に対する不安などで、心が押しつぶされそうになるでしょう。

しかし、誰よりも心が不安定になっているのは、事故に遭った子ども本人です。親はもちろん、加害者も適切な対応を取ることで、子どもの心身の回復は早くなります。

本記事では、子どもが交通事故に遭ってしまったとき、被害者・加害者はどう対応すべきなのかを解説。ケースごとの慰謝料の算出方法や目安、子どものケアに必要な心構えをお伝えします。

被害者の心の傷を少しでも早く癒すための「加害者としての対応方法」も紹介するので、加害者の方もぜひ参考にしてください。

【ケース別】子どもの交通事故での慰謝料相場

慰謝料には、その内容に応じた相場があります。交通事故の被害は大きく3つに分けられ、ケースごとに慰謝料の相場も異なります。どんなケースで、どの程度の慰謝料が支払われるのか見ていきましょう。

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  • 怪我を負ったが完治する場合
  • 怪我を負い、後遺症が残る場合
  • 子どもが死亡してしまった場合

慰謝料の計算には2つの基準がある

慰謝料の計算には”保険会社基準”と”弁護士基準”、2つの基準があります。まずは両者の違いを見ながら、保険会社と弁護士、どちらの基準に従うべきかを解説します。

保険会社基準の慰謝料とは?

自動車運転者は、基本的に次の2種類の保険に加入しています。運転者の加入している保険により、慰謝料の基準は異なります。

【自賠責保険】
全ての自動車運転者が加入しなければならない保険です。慰謝料の基準は最低額となります。

【任意保険】
自賠責保険とは別途、任意で加入する保険です。慰謝料は自賠責保険の基準を超えた分を補うように計算され、計算基準は保険会社の約款に規定されています。

保険会社は、自賠責保険と任意保険の基準に照らし合わせ、慰謝料額を提示します。提示額は、次に紹介する”弁護士基準”よりは低くなるのが通常です。

弁護士基準の慰謝料とは?

弁護士が裁判や示談交渉で使う”慰謝料の基準”があり、裁判所でも使われる公正な基準です。基本的に、弁護士基準の慰謝料が最も高額となります。

保険会社も、弁護士基準の算定方法や金額は知っていますが、それよりも低い金額(保険基準)の慰謝料を提示するのが常です。だからこそ、慰謝料の計算は保険会社ではなく、弁護士に任せるようにしてください。

怪我を負ったが完治する場合

子どもが事故による怪我を負い、その怪我が完治するものである場合、慰謝料の金額は”治療日数”により算出されます。

【自賠責の場合】怪我を負ったが完治する場合

自賠責の治療日数には、”治療期間”と”実治療日数”の2つの基準があり、次のように定義されています。

治療期間:初診日~治療終了までの期間
実治療日数:治療期間中に通院した日数の合計を2倍した日数

自賠責保険では、2つの治療日数のうち短い方を、慰謝料の算定に使います。実際の計算式は次の通りです。

4,300円 × 治療日数 = 慰謝料額

【弁護士の場合】怪我を負ったが完治する場合

弁護士基準の治療日数は、入院または通院の”期間の長さ”と”怪我の程度”を基に、慰謝料を算出します。具体的な金額は、次の表の通りです。

【軽傷の場合】

↓通院/入院→0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月0356692116135152
1ヶ月195283106128145160
2ヶ月366997118138153166
3ヶ月5383109128146159172
4ヶ月6795119136152165176
5ヶ月79105127142158169180
6ヶ月89113133158162173182
7ヶ月97119139152166175183
8ヶ月103125143156168176184
9ヶ月109129147158169177185
10ヶ月113133149159170178186
11ヶ月117135150160171179187
12ヶ月119136151161172180188

※軽症とは、むちうちや打撲、すり傷などを指します

 

【重症の場合】

↓通院/入院→0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月053101145184217244
1ヶ月2877122162199228252
2ヶ月5298139177210236260
3ヶ月73115154188218244267
4ヶ月90130165196226251273
5ヶ月105141173204233257278
6ヶ月116149181211239262282
7ヶ月124157188217244266286
8ヶ月132164194222248270290
9ヶ月139170199226252274292
10ヶ月145175203230256276294
11ヶ月150179207234258278296
12ヶ月154183211236260280298

 

では、表を基に実際の慰謝料を計算してみましょう。

【ケース1.軽症で入院は必要なかったが、完治まで4ヶ月の通院を要した場合】
STEP1.軽傷の算定表を使用
STEP2.横軸(入院期間)は”0ヵ月”の列を参照
STEP3.縦軸(通院期間)は”4ヵ月”の行を参照

入通院慰謝料:67万円

【ケース2.重症で3ヵ月の入院が必要となり、退院後も6ヵ月間の通院を要した場合】
STEP1.重症の算定表を使用
STEP2.横軸(入院期間)は”3ヵ月”の列を参照
STEP3.縦軸(通院期間)は”6ヵ月”の行を参照

入通院慰謝料:211万円

もし、実際にお子さんが事故に遭われてしまったときは、算出表を見て慰謝料金額の目安をつけてください。保険会社の提示額との差異を確認するためにも、弁護士基準の目安をつけることは大切です。

怪我を負い、後遺症が残る場合

子どもが事故による怪我を負い、治療後も後遺症が残る場合、”後遺障害等級”に応じて慰謝料を算出します。自賠責と弁護士、それぞれの基準の慰謝料額は次の通りです。

 

交通事故の後遺障害等級認定の重要性と方法について
交通事故の後遺障害等級認定の重要性と方法について交通事故に遭うと、怪我の治療を受けても完治せず、さまざまな後遺症が残ってしまう可能性があります。その場合「後遺障害等級認定」を受けること...
後遺症等級自賠責基準弁護士基準金額差
1級かつ要介護1,6502,8001,150
2級かつ要介護1,2032,3701,167
1級1,1502,8001,650
2級9982,3701,372
3級8611,9901,129
4級7371,670933
5級6181,400782
6級5121,180668
7級4191,000581
8級331830499
9級249690441
10級190550360
11級136420284
12級94290196
13級57180123
14級3211078

 

表のように、自賠責基準と弁護士基準では、慰謝料の金額に倍以上の差があります。後遺症は、今後の人生にずっと関わるものです。保険会社の提示額をそのまま受け入れては、一生後悔することになりかねません。

慰謝料と併せて計算すべき”逸失利益”とは?

事故による後遺症が残る場合、”逸失利益”が発生することもあります。逸失利益とは、後遺症による生涯年収の減少額のことです。

まだ働いていない子どもであっても、後遺症が残れば、逸失利益は発生します。働き始めるときに、後遺症による労働能力の低下から、収入が減ってしまうと考えられるためです。

18歳未満の子どもの逸失利益の計算方法は、次の通りです。

基礎収入額 × 労働能力喪失率 × (67歳までのライプニッツ係数 – 18歳までのライプニッツ係数)

計算式の各項目は、次のように求めます。

【基礎収入額】
厚生労働省の”賃金構造基本統計調査”を基に算出します。18歳未満の子どもは原則として、産業計・企業規模計・学歴計・男女別全年齢の平均賃金額が基礎収入となります。各年度の賃金構造基本統計調査は、厚生労働省のWebページから確認できます。

賃金構造基本統計調査│厚生労働省

【労働能力喪失率】
後遺障害等級ごとに、次のように定められています。

後遺障害等級労働能力喪失率
1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

 

【ライプニッツ係数】
ライプニッツ係数は、逸失利益を一括で受け取ることで発生する”利息”を調整するための係数です。本体は働きながら少しずつ得るはずだったお金をまとめて受け取ることで、発生しないはずだった利息がうまれます。その利息を調整するために、ライプニッツ係数が必要なのです。

年齢ライプニッツ係数
014.98
115.429
215.892
315.892
416.369
517.365
617.886
718.423
818.976
919.545
1020.131
1120.735
1221.357
1421.998
1422.658
1523.338
1624.038
1724.759

 

この表は、18歳未満かつ家業従事などによる就労をしていない子どもの場合のライプニッツ係数です。労働能力喪失期間は、18歳から67歳まで働くとして、一律49年間で計算しています。

参考:限度額と保障内容│国土交通省

※ページ下部の参考資料より、「労働能力喪失表」「就労可能年数とライプニッツ係数表 」それぞれのPDF資料を参照

子どもが死亡してしまった場合

交通事故で子どもが死亡してしまった場合の慰謝料は、自賠責基準で400万円程度、弁護士基準で2,000~2,500万円程度が相場とされています。金額に5~6倍もの差があるため、絶対に保険会社の提示額を受け入れないでください。

 

死亡事故、重大事故のご家族の方へ
死亡事故、重大事故のご家族の方へ交通事故では、不幸にもご本人が死亡してしまう可能性があります。死亡に至らなくても遷延性意識障害(植物状態)や全身麻痺など、重大な後遺障害...

なお、交通事故での死亡慰謝料は、死亡した被害者の”立場”によって異なります。また、自賠責基準では、遺族の人数によって金額が加算されます。

被害者の立場自賠責基準弁護士基準金額差
一課の支柱

※家計を主に支えている人

4002,8002,400
母親・配偶者4002,5002,100
子ども4002,000~2,5002,100
幼児

※小学校入学程度の年齢

4002,000~2,5001,600~2,100

 

加算額合計額
遺族1名550950
遺族2名6501,050
遺族3名7501,150

※遺族とは、被害者の配偶者・子ども・両親を指します

弁護士基準の慰謝料額が、被害者の立場によって変わるのは、その人の死亡により家計がどれ程のダメージを受けるかを考慮しているためです。納得はいかないかもしれませんが、仮に遺族3人以上で計算した場合でも、自賠責基準の慰謝料は弁護士の半分にもなりません。

必ず弁護士を通して、慰謝料を算出してください。

【被害者側】事故後の適切な対応

子どもが事故に遭ってしまって冷静でいられる親は、そう多くないでしょう。しかし、子どもの心身を少しでも早く回復させるには、冷静で適切な対応を取ることが欠かせません。

次からは、親と弁護士、事故対応におけるそれぞれの役割をお伝えします。

 

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交通事故の被害者になったときの流れと正しい対処方法交通事故の被害に遭ってしまったら、事故当初から適切な対応を要求されます。間違った対処をしてしまうと、後に賠償金が減額されるなどのリスクが...

慰謝料計算や交渉は弁護士に任せる

何よりも、慰謝料計算や交渉などは、弁護士に任せるべきです。

今までお伝えしてきた計算方法でわかるのは、あくまでも慰謝料の目安に過ぎません。例えば、交通事故で子どもが死亡してしまった場合は、死亡慰謝料だけでなく、葬儀費用や死亡による逸失利益も計算しなければなりません。ほかにも、慰謝料が相場よりも高くなるケースもあります。

”過失割合”の算出結果も、保険会社と弁護士で異なることがあります。特に子どもの場合は、事故のことを上手く話せないことも多いでしょう。経験豊かな弁護士でなければ、子どもの話を引き出し、目撃者の証言や物的証拠なども照らし合わせながら、本来の過失割合を導き出すのは難しいです。

また、示談にも適切なタイミングがあります。示談は、事故による損害が全て明らかになった段階で行い、賠償額を決めます。しかし、損害が全て明らかになるタイミングは個別の事故により異なり、弁護士でなければその判断は難しいでしょう。

被害者本人の”その後の人生”のためにも、残された兄弟たちのためにも、低い慰謝料で妥協してはなりません。

交渉よりもまずは子どものケアに専念を

弁護士に慰謝料計算や交渉を任せるのは、親が子どものケアに専念するためでもあります。

お伝えしてきたように、交通事故の対応は、複雑な手続きの連続です。一般の方が全てを行うのは至難を極め、やるとしても相当な時間と労力を要します。そんなことをしていては、子どものケアをする時間を確保できません。

弁護士にしかできないことがあるように、親にも、親にしかできないことがあります。交渉や手続きは全て弁護士を通して行い、子どものケアに専念してください。身体の傷は医者が治してくれるかもしれませんが、心の傷は親にしか治せないのです。

【加害者側】事故後の適切な対応

交通事故は、加害者にとっても突然の出来事です。申し訳ない気持ちと不安な気持ちでいっぱいになり、どんな対応をしていいのか、わからなくなることもあるでしょう。

次からは、交通事故の加害者としての、適切な対応方法を紹介。被害者の精神的苦痛が少しでも軽くなるよう、誠実な気持ちで、適切な対応をしましょう。

 

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まずは保険会社への連絡を

事故後の処理が一段落したら、まずは保険会社に連絡しましょう。以降の処理や交渉などは、基本的に保険会社を通して行うことになるからです。

自賠責保険と任意保険の両方に加入している場合も、任意保険の会社に全ての処理を引き受けてくれます。

加害者がしなければならないことは、そう多くはありません。しかし、交通事故の対応とは、慎重に行わなければならないもの。加害者ともなれば、「申し訳ない」と思う気持ちと「自分はこれからどうなるんだろう」という不安の板ばさみになり、冷静な対応も難しいでしょう。

冷静に、誠意ある対応をするためにこそ、自分は一歩下がり、保険会社を通す必要があるのです。

落ち着いてからお見舞いに行こう

被害者へのお見舞いは、基本的には行くべきです。ただし、いくつかの注意点があります。

まず、お見舞いには被害者の許可を得てから行きましょう。被害者にも、心を落ち着かせる時間が必要です。自分がどんなに謝りたいと思っても、その気持ちを被害者に押し付けてしまっては、誠意ある謝罪とはいえません。

次に、お見舞いの時間は長くても10分程度に抑えること。被害者と加害者という関係である以上、長い間顔を合わせていることは、互いにストレスになります。お見舞いが相手の負担にならないよう、謝罪を伝えたらすぐに帰りましょう。

最後に、お見舞いの場での交渉は避けてください。事故の当事者同士での交渉は、知識不足や感情が絡むこともあり、良い結果にはならないでしょう。被害者から持ちかけられた場合も、「きちんとした対応をするために、保険会社を通して話をさせてほしい」と伝えてください。

法的な問題は、弁護士や保険会社に一任しよう

自分が交通事故に遭うならまだしも、大切な子どもが被害者となれば、憤りや不安はより大きいでしょう。加害者に怒りをぶつけたくなる方や、慰謝料や示談を早く済ませたいと感じる方も、多いかもしれません。

しかし、まずは冷静になってください。焦りから適切な慰謝料や賠償金を受け取れなければ、子どもの将来にも悪影響が出るでしょう。子どもの心身の傷を癒し、将来への影響を軽くするには、親からのケアもお金も必要です。

精神的苦痛のケアには、正しい知識と親の愛情が欠かせません。カウンセラーや臨床心理士を頼ることも大切ですが、親が子どものそばに居てあげなくては、その効果も半減します。

適切な慰謝料を受け取るためにも、子どものそばにいる時間を確保するためにも、お金のことは弁護士に任せましょう。親にできる最良のことは、できるだけ長い間、お子さんのそばに居てあげることです。

 

 

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