子どもが交通事故にあってしまったらどうすればいい!?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
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【子どもの交通事故】ケースごとの慰謝料や、適切な対応方法を解説

子どもが交通事故に遭ってしまったとき、親や親族はそれぞれどのような対応をすべきなのでしょうか。また、示談はどのように行い、慰謝料はどう算出すればいいのでしょうか。

本記事では、子どもが交通事故に遭ったときの慰謝料などの相場、対応方法について解説します。

慰謝料算出の2つの基準

慰謝料を算出する際に用いる基準には、「保険会社の基準(自賠責基準、任意保険基準)」と「裁判基準(弁護士基準)」の2つがあります。

まずは両者の違いを見てみましょう。

01.保険会社の基準

自動車運転者は、基本的に「自賠責保険」と「任意保険」の2種類の保険に加入しております。加入している保険により、慰謝料の基準は異なります。

自賠責保険は、全ての自動車運転者が加入しなければならない保険です。

任意保険は、自賠責保険とは別に任意で加入する保険です。計算基準は保険会社の約款に規定されており、慰謝料は自賠責保険の基準を超えた分を補うように計算されます。

通常、保険会社は、自賠責保険と任意保険の基準に照らし合わせたうえで慰謝料額を提示します。この提示額は裁判基準(弁護士基準)よりは低くなるのが通常です。

02.裁判基準(弁護士基準)

裁判基準は、交通事故の慰謝料などを算定する際に裁判所で用いられている公正な基準です。弁護士もこの基準を参照して裁判や示談交渉に臨みます。

基本的に、裁判基準の方が保険会社の基準よりも計算結果が高額となります。

保険会社側も裁判基準について把握しておりますが、保険金を提示する際は保険会社の基準で提示してくることが大多数です。そのため、保険会社の言う通りの提示金額を吞んでしまうと、本来請求出来た裁判基準での慰謝料を得ることができなくなってしまいます。

正当な慰謝料を得たいのであれば、保険会社の提示額を鵜呑みにするのではなく、弁護士に交渉を依頼しましょう。

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交通事故(人身)の被害状況のパターン

人身事故の交通事故の被害者の被害状況は、下記の3パターンに分類することができます。

  • ケガを負ったが完治した
  • ケガを負い後遺症が残った
  • 死亡した

パターン別に慰謝料の算定方法、慰謝料の相場が異なります。子どもが被害者である場合も然りです。以下、具体的に確認していきましょう。

ケガを負ったが完治した場合

01.自賠責基準の場合

「治療期間」と「実治療日数」の2つの基準があります。

  • 治療期間:初診日~治療終了までの期間
  • 実治療日数:治療期間中に通院した日数の合計を2倍した日数

自賠責保険では、上記2つの日数のうち短い方を慰謝料の算定に使います。実際の計算式は次の通りです。

4,300円 × 治療日数 = 慰謝料額

02.弁護士基準の場合

弁護士基準の場合は、入院または通院の「期間の長さ」と「ケガの程度」を基に、慰謝料を算出します。具体的な金額は次の表の通りです。

【軽傷の場合】

↓通院/入院→0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月0356692116135152
1ヶ月195283106128145160
2ヶ月366997118138153166
3ヶ月5383109128146159172
4ヶ月6795119136152165176
5ヶ月79105127142158169180
6ヶ月89113133158162173182
7ヶ月97119139152166175183
8ヶ月103125143156168176184
9ヶ月109129147158169177185
10ヶ月113133149159170178186
11ヶ月117135150160171179187
12ヶ月119136151161172180188

(単位:万円)

【重症の場合】

↓通院/入院→0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月053101145184217244
1ヶ月2877122162199228252
2ヶ月5298139177210236260
3ヶ月73115154188218244267
4ヶ月90130165196226251273
5ヶ月105141173204233257278
6ヶ月116149181211239262282
7ヶ月124157188217244266286
8ヶ月132164194222248270290
9ヶ月139170199226252274292
10ヶ月145175203230256276294
11ヶ月150179207234258278296
12ヶ月154183211236260280298

(単位:万円)

この表を基に慰謝料を導き出してみます。

たとえば、『軽症で入院は必要なかったが、完治まで4ヶ月の通院を要した場合』を想定します。この場合は軽傷の算定表を使用します。入院期間は0ヶ月なので横軸は「0ヶ月」の列を参照し、通院期間は4ヶ月なので縦軸は「4ヶ月」の行を参照します。両軸のぶつかったマスは「67(万円)」ですので、入通院慰謝料は67万円となります。

また、『重症で3ヶ月の入院が必要となり、退院後も6ヶ月間の通院を要した場合』であれば、重症の算定表を使用し、横軸(入院期間)は3ヶ月の列を、縦軸(通院期間)は6ヶ月の行を参照しますので、入通院慰謝料は211万円となります。

なお、大人であっても子どもであっても上記の計算に大きな違いはありません。

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ケガを負い、後遺症が残る場合

01.慰謝料

事故によってケガを負い、治療後も後遺症が残る場合、「後遺障害等級」に応じて慰謝料を算出します。大人であっても子どもであっても同様です。

自賠責基準と弁護士基準での慰謝料額は次の表のとおりです。

自賠責基準弁護士基準金額差
1級かつ要介護1650万円2800万円1150万円
2級かつ要介護1203万円2370万円1167万円
1級1150万円2800万円1650万円
2級998万円2370万円1372万円
3級861万円1990万円1129万円
4級737万円1670万円933万円
5級618万円1400万円782万円
6級512万円1180万円668万円
7級419万円1000万円581万円
8級331万円830万円499万円
9級249万円690万円441万円
10級190万円550万円360万円
11級136万円420万円284万円
12級94万円290万円196万円
13級57万円180万円123万円
14級32万円110万円78万円

このとおり自賠責基準と弁護士基準では慰謝料の金額に倍以上の差があります。後遺症は今後の人生にずっと関わるものです。保険会社の提示額をそのまま受け入れてしまうと一生後悔することになりかねません。

02.逸失利益

交通事故により後遺症が残る場合、「逸失利益」が発生することもあります。逸失利益とは後遺症による生涯年収の減少額のことです。

まだ働いていない子どもであっても後遺症が残った場合は逸失利益は発生します。将来働き始めるときに後遺症による労働能力の低下を理由に収入が減ってしまうと考えられるためです。

18歳未満の子どもの逸失利益の計算方法は次の通りです。

基礎収入額 × 労働能力喪失率 × (67歳までのライプニッツ係数 – 18歳までのライプニッツ係数)

計算式の各項目は、下記のとおりです。

【基礎収入額】
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に算出します。18歳未満の子どもは原則として、産業計・企業規模計・学歴計・男女別全年齢の平均賃金額が基礎収入となります。各年度の賃金構造基本統計調査は、厚生労働省のWebページから確認できます。

【労働能力喪失率】
後遺障害等級ごとに、次のように定められています。

後遺障害等級労働能力喪失率
1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

【ライプニッツ係数】
ライプニッツ係数は、逸失利益を一括で受け取ることで発生する利息を調整するための係数です。本体は働きながら少しずつ得るはずだったお金をまとめて受け取ったことで、本来であれば発生しないはずの利息が生じます。その利息を調整するためにライプニッツ係数が必要なのです。

年齢ライプニッツ係数
014.98
115.429
215.892
315.892
416.369
517.365
617.886
718.423
818.976
919.545
1020.131
1120.735
1221.357
1421.998
1422.658
1523.338
1624.038
1724.759

この表は、18歳未満かつ家業従事などによる就労をしていない子どもの場合のライプニッツ係数です。労働能力喪失期間は、18歳から67歳まで働くとして一律49年間で計算しています。

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弁護士 鈴木 翔太

死亡した場合

交通事故での死亡慰謝料は、死亡した被害者の立場によって異なります。以下見てみましょう

被害者の立場自賠責基準弁護士基準金額差
一課の支柱

※家計を主に支えている人

400万円2800万円2400万円
母親・配偶者400万円2500万円2100万円
子ども400万円2000~2500万円2100万円
幼児

※小学校入学程度の年齢

400万円2000~2500万円1600~2100万円

また、自賠責基準では、遺族の人数によって金額が加算されます。

加算額合計額
遺族1名550万円950万円
遺族2名650万円1050万円
遺族3名750万円1150万円

※遺族とは、被害者の配偶者・子ども・両親を指します。

交通事故で子どもが死亡してしまった場合の慰謝料の相場は、自賠責基準で400万円程度、弁護士基準で2000~2500万円程度です。5~6倍の金額差がありますので、絶対に保険会社の提示額を受け入れないでください。

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被害者側の適切な対応

子どもが事故に遭ってしまって際の対応についてみていきましょう。

01.慰謝料計算や交渉は弁護士に任せる

何よりも、慰謝料計算や交渉などは、弁護士に任せるべきです。

今までお伝えしてきた計算方法はあくまで慰謝料の目安に過ぎません。交通事故で子どもが死亡してしまったケースでは、死亡慰謝料だけでなく、葬儀費用や死亡による逸失利益も計算しなければなりません。その他の事情によって慰謝料が相場よりも高くなるケースもあります。

また、「過失割合」の算出結果も、保険会社と弁護士で異なることがあります。特に子どもの場合は、事故のことを上手く話せないことも多いでしょう。経験豊かな弁護士でなければ、子どもの話を引き出し、目撃者の証言や物的証拠なども照らし合わせながら、本来の過失割合を導き出すのは難しいです。

過失割合の決定方法や不満がある場合の対処方法
過失割合はどうやって決まるの?不満がある場合はどうすればいい?物損事故であっても人身事故であっても、被害者側であっても加害者側であっても、交通事故においては過失割合が非常に重要です。被害者側であっても過失割合が高くなってしまうとその分相手に請求できる賠償金の金額...

また、示談にも適切なタイミングがあります。示談は、事故による損害が全て明らかになった段階で行い賠償額を決めます。しかし、損害が全て明らかになるタイミングは個別の事故により異なるため、弁護士でなければその判断は難しいでしょう。

保険会社や相手方保険会社との交渉などは弁護士に任せた方が間違いないといえるでしょう。

交通事故での保険会社との交渉は弁護士に任せた方がいいの!?交通事故の被害者となった場合、ほとんどのケースにおいて相手方(加害者側)が加入する保険会社とやり取りをすることになります。 保険会社との交渉において、以下のような疑問や不満を抱える方も少なくあり...

02.子どものケアに専念

弁護士に慰謝料計算や交渉を任せるのは、親が子どものケアに専念するためでもあります。

お伝えしてきたように、交通事故の対応は複雑な手続きの連続です。一般の方が全てを行うのは至難を極め、やるとしても相当な時間と労力を要します。こちらに時間を割いてしまうと子どものケアをする時間を確保できません。

弁護士にしかできないことがあるように、親にしかできないことがあります。それは子どものケアです。交渉や手続きは全て弁護士を通して行い、子どものケアに専念してください。身体の傷は医者が治してくれるかもしれませんが心の傷は親にしか治せないのです。

東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、交通事故被害の弁護に注力しております。お子様が交通事故の被害に遭われてお困りの方はご相談ください。

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