追突事故の被害者が押さえておくべきポイントについて解説!!

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弁護士 鈴木 翔太
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追突事故においては、基本的に被害者側の過失割合は0となるため、被害者自身が加入する保険会社は示談交渉を代行してくれません。そのため、被害者が1人で示談交渉に臨むこととなり、相手方の保険会社から不利な条件を飲まされてしまうことも往々にしてあります。

また、追突事故の被害を受けた場合、むちうちになってしまう可能性が非常に高いです。ひどい場合には後遺症が残る可能性もあります。適切な治療を受けておかないと、将来の健康面に悪影響が出てしまうといっても過言ではないでしょう。

今回の記事では、追突事故の被害者が押さえておくべきポイントについて解説します。

追突事故とは

追突事故とは、後ろから一方的にぶつかられる交通事故です。典型的な事故のパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 信号待ちで停車していると後ろの車が追突してきた
  • 徐行していると、後ろの車が勢いよく追突してきた
  • ブレーキを踏んだら後ろの車に追突された
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追突事故の過失割合

01.被害者の過失割合は0%

追突事故の場合の過失割合は、基本的には「追突車:被追突車=100%:0%」です。

追突された車(被追突車)が道路交通法を守って運転していた場合、被追突車に過失割合は認められません。追突した車(追突車)の前方不注視や車間距離不十分、不適切なハンドルブレーキ操作などを原因として事故が発生したといえるので追突車の過失割合が100%となります。

相手の過失割合が100%となるので、過失相殺による賠償金の減額は行われないと考えて差し支えありません。

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02.被害者に過失割合が認められるパターン

基本的には被追突車に過失割合は認められなないのですが、例外として以下のようなケースでは過失割合が認められます。

  1. 被追突車が急ブレーキを踏んだ
  2. 急ブレーキに至らない程度の不適切なハンドルブレーキ操作があった

①についてですが、前方車両が急ブレーキを踏んでしまうと後方車両は衝突を避けるのが難しくなります。そのため、前方車両の急ブレーキを要因として追突事故が発生した場合、前方車両に過失が認められることとなります。この場合の被追突車には30%の過失割合が認められます(過失割合は「追突車:被追突車=70%:30%」)。

②については、前方車両が不必要なブレーキを踏んだり不適切なハンドル操作を行ったりしたことで追突事故が発生したケースです。この場合の被追突車には20%程度の過失割合が認められます(過失割合は「追突車:被追突車=80%:20%」)。

03.修正要素

上記の基本の過失割合は「修正要素」によって変化する可能性があります。修正要素とは、個々の事故の状況に応じて基本の過失割合を増減する事情です。

たとえば以下のような事情があると追突車の過失割合が加算されます。

  • 事故現場が住宅地や商店街 … 追突車に10%加算
  • 追突車が時速15キロメートル以上30キロメートル未満の速度違反 … 追突車に10%加算
  • 追突車が時速30キロメートル以上の速度違反 … 追突車に20%加算
  • 追突車の著しい過失 … 追突車に10%加算
  • 追突車の重過失 … 追突車に20%加算

反対に以下の事情があると被追突車の過失割合が加算されます。

  • 幹線道路上で被追突車が停止していた … 被追突車に10%加算
  • 被追突車のブレーキランプが故障していた … 被追突車に10~20%加算
  • 被追突車の著しい過失 … 被追突車に10%加算
  • 被追突車の重過失 … 被追突車に20%加算

著しい過失とは、通常想定される程度を越える大きな過失です。たとえばスマホを見ながら運転していた場合、酒気帯び運転していた場合などに著しい過失が認められます。

また、重過失は故意とも同視できるほどの大きな過失です。無免許運転、酒酔い運転、居眠り運転などが典型例です。

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追突事故の過失割合の具体例

01.住宅地で前方車両が急ブレーキをかけた

住宅地で前方車両が急ブレーキをかけたことで追突事故が発生した場合、前方車両急ブレーキ時の過失割合(70%:30%)に追突車の過失割合が10%加算されるため、「追突車:被追突車=80%:20%」となります。

02.前方車両の急ブレーキ + 追突車の制限速度超過

前方車両が急ブレーキをかけたところ、制限速度30キロメートルオーバーで走行してきた車両に追突された場合は、前方車両急ブレーキ時の過失割合(70%:30%)に追突車の速度超過による過失割合の加算(+20%)がなされるので、過失割合は「90%:10%」となります。

03.前方車両の急ブレーキ + 前方車両が酒気帯び運転

前方車両の急ブレーキを原因として生じた追突事故で、前方車両が酒気帯び運転であった場合には、前方車両急ブレーキ時の過失割合(70%:30%)に被追突車の著しい過失による過失割合の加算(+10%)がなされるので、過失割合は「60%:40%」となります。

被害者の過失割合が0の場合の問題点

追突事故では、原則として被追突車(被害者)の過失割合は0%となりますので、過失相殺が適用されることはありません。発生した損害については全額の賠償請求が可能となり、被害者に有利といえるでしょう。

しかし、過失割合が0%であることには問題点があります。それは被害者が加入している保険会社が事故についての示談交渉を代行してくれない(代行できない)ことです。

01.保険会社が示談交渉を代行できない理由

被害者の過失割合が0%の場合には保険会社が示談交渉を代行できないのは、弁護士法があるためです。

弁護士法では、弁護士以外のものが業として報酬を受け取って他人の法律事務を行うことを禁止しています。これは言い換えれば、弁護士でない限りはお金をもらって他人のために示談交渉を行ってはならないということです。

保険会社は弁護士ではありません。そのため、保険料を受け取っている保険会社が被害者の示談交渉を代行することはできず、行なってしまうと弁護士法違反になってしまい違法行為になります。

なお、被害者に過失がある場合には、保険会社が相手に賠償金(保険金)を払う義務を負いますので、その限度で弁護士法に触れることなく示談交渉を行うことができます。

02.弁護士に依頼する

過失割合が0%であるがために保険会社が示談交渉を代行してくれない場合、どうすればよいのでしょうか?

このような場合は、弁護士に示談交渉を依頼するようお勧めします。

弁護士に任せれば被害者自身が対応する必要がなくなります。また、弁護士に任せれば、保険会社の基準(自賠責基準)よりも高額な弁護士基準(裁判基準)で慰謝料やその他の賠償金を計算して請求するので、受け取れる金額が増額される可能性も高くなります。後遺障害が残ったときに後遺障害慰謝料が3倍程度まで増額されるケースも少なくありません。

弁護士費用を払ってもおつりがくるほどの経済的利益を受けられる可能性が高いので、一度弁護士に相談してみてください。自動車保険についている弁護士費用特約を適用すれば弁護士費用の負担をせずに弁護士に依頼することも可能です。

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追突事故ではむちうちになりやすい

追突事故に遭うと、むちうちになってしまうリスクが非常に高いことを知っておきましょう。

01.むちうちとは

むちうちとは、首の骨である頸椎が歪んで損傷してしまうことによるさまざまな症状です。多くの場合には頸椎捻挫や外傷性頸椎症候群と診断されます。強い勢いで追突された衝撃により、頸椎が一瞬ぐにゃりと歪み、中を通っている神経が損傷を受けてしまうのです。

神経損傷の程度が大きい場合には、交感神経に異常が生じたり椎間板ヘルニアを発症したりするケースもあります。

02.むちうちの主な症状

むちうちの症状としては以下のものが挙げられます。

  • 首が痛い、動かせない
  • 背中や肩が異常に凝る
  • 頭が重い、頭痛がする
  • 腕や手にしびれを感じる
  • めまい、耳鳴り

むちうちになった際は、まずは整形外科で治療を受けましょう。患部を安定させて自然治癒を待ち、急性の症状が落ち着いたらリハビリを行って完治を目指します。

追突事故被害に遭った場合の注意点

01.事故現場では自覚しないケースが多い

むちうちは、事故直後では痛み等の症状が自覚できないケースが多いので注意しましょう。むちうちには特段外傷が生じないこと、事故直後は興奮状態になっていることもあって痛みが感じにくいことなどが症状を自覚できない理由です。

翌日、翌々日になってはじめてむちうちの症状に気づく方も少なくありません。

追突事故に遭った場合、自覚症状がなくても実はむちうちになっている可能性があります。自身で症状の判断はせずにできるだけ早めに整形外科を受診しましょう。事故にあったその日に通院できないとしても翌日には必ず整形外科へ行ってください。

02.治療期間が長くなる可能性がある

むちうちの治療期間は長引くケースがよくあるので辛抱強く通院を継続しましょう。途中で治療を打ち切ると賠償金を減額されてしまう可能性が高くなるので注意が必要です。医師が「完治」または「症状固定」と判断するまでは定期的に通院を続けてください。

後遺障害認定を受けるメリット

治療やリハビリを続けても症状が完治せずに後遺症が残ってしまうケースが少なくありません。この場合は「後遺障害認定」を受けて相手方に後遺障害に関する賠償金を請求しましょう。

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後遺障害認定を受けると、以下の2種類の賠償金を請求できます。

  1. 後遺障害慰謝料
  2. 後遺障害逸失利益

①の後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによって発生する特別な慰謝料です。通常の人身事故の傷害慰謝料(入通院慰謝料)とは別途支払われます。

②の後遺障害逸失利益は、後遺障害が残って従来のようにははたらけなくなったために得られなくなった将来の収入です。むちうちの痛みやしびれによって低下する収入を補償してもらうことができます。

むちうちで認定される後遺障害の等級と慰謝料

むちうちで認定される可能性のある後遺障害等級は、主に12級または14級です。

  • 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号 局部に神経症状を残すもの
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01.12級が認定されるケース

12級が認定されるにはMRIなどの画像によって内部の異常を証明できなければなりません。12級が認定されると後遺障害慰謝料は290万円程度となります。

02.14級が認定されるケース

14級が認定されるのは、画像による立証が不可能でも自覚症状に沿った症状があると合理的に説明できる場合です。

MRIなどで症状を証明できなくても認定される可能性がありますが、これまでの治療の経過や交通事故の態様、カルテの記録や神経学的検査などにより、症状があると合理的に説明できなければなりません。専門的な知識なしに適当に対応すると「非該当(後遺障害に該当しない)」と判定される可能性が高くなるので注意しましょう。

14級が認定されると110万円程度の後遺障害慰謝料が支払われます。

さいごに

追突事故に遭ってしまった場合、専門知識とノウハウを持った弁護士にサポートを任せることで最適な対応を取ることが可能となります。

東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では交通事故事件について注力しております。事故被害者のサポートについても積極的に取り組んでおりますので、是非一度お気軽にご相談ください。

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