刑事事件

SNSで炎上、誹謗中傷された!訴える方法を弁護士が解説!

TwitterやインスタグラムなどのSNSでは、「誹謗中傷」が日常的に発生しています。

1つ間違えると、一般人のアカウントであっても「炎上」し、多くの人から責められるリスクがあるでしょう。

もしもSNSで炎上したり誹謗中傷されたりしたら、どのように対応すれば良いのでしょうか?

今回はSNSにおける誹謗中傷対策や名誉毀損の相手を訴える方法について、弁護士が解説します。日頃TwitterやFacebook、YouTubeなどのSNSを頻繁に利用している方は、今後の活動に備えてぜひ頭に入れておいてください。

1.SNSにおける炎上や誹謗中傷のトラブル事例

SNSでの炎上や誹謗中傷事例としてどういったものがあるのか、みてみましょう。

1-1.炎上事例

何気ないひと言が炎上して集中攻撃を受ける

一般人の投稿であっても、何気ないひと言が悪意をもって受け止められ、炎上してしまうケースが少なくありません。男女差別、人種差別と受け止められるような発言、政治的な発言などが特に危険です。

いったん炎上すると、一般人のアカウントであっても多数の人から集中的にアクセスされ、膨大な量の攻撃的なコメントやDMが届きます。投稿者が精神的に参ってしまい、自殺に追い込まれる痛ましい事件も起こっています。

いたずらが原因で炎上

近年、ふざけてコンビニで裸になって写真や動画を撮影したり、飲食店のアルバイト店員が食材を使って不謹慎な動画を投稿したりして、炎上してしまうケースも数多く発生しています。

軽い気持ちで投稿しても企業へ莫大な損害を発生させてしまう可能性があるので、いたずらの投稿をしてはなりません。

炎上が原因で家や個人情報を特定され、晒される

一般人が匿名で運用しているアカウントでも、いったん炎上すると家や氏名などの個人情報を特定されてしまう可能性があります。ときには自宅に押し掛けられたり嫌がらせの手紙や郵便物を送られたりするケースもあるので、注意しましょう。

企業が炎上し、評判が大きく低下する

ネット炎上の被害者は個人だけではありません。企業が炎上すると、社会内での評判が大きく低下します。商品やサービスが売れなくなったり株価が下がったりして莫大な損害が発生するケースも少なくありません。企業のアカウント運用はくれぐれも慎重に行いましょう。

1-2.誹謗中傷事例

不倫や前科などの情報を明かされる

SNS上では、不倫や前科などの不利益な情報を明かされるケースが頻発しています。

投稿内容が真実であっても、事実を明かされた被害者は大きな精神的苦痛を受けますし、社会における信用も失ってしまうでしょう。

「詐欺師、怪しい」などと根も葉もない嘘を書かれる

個人や企業が「詐欺師」「怪しい」「嘘つき」などと根も葉もない嘘を書き込まれ、誹謗中傷されるパターンもよくあります。

ブラック企業、悪質企業などと誹謗中傷され信用が低下する

企業の場合「ブラック企業」「悪徳業者」などと誹謗中傷されるケースがよくあります。信用が低下して大きなダメージ受けるでしょう。

誹謗中傷された場合には、早期に投稿を削除しないと拡散されて被害が拡大するおそれが高まります。早急に削除請求を進めましょう。

2.SNSの誹謗中傷で成立する犯罪

SNSで誹謗中傷されたら、相手には以下のような犯罪が成立する可能性があります。

2-1.名誉毀損罪

名誉毀損罪は、公然と事実の摘示によって相手の社会的評価を低下させる言動をしたときに成立する犯罪です。投稿内容が真実であっても、社会的評価を下げる内容であれば、原則的に名誉毀損罪が成立します。

「不倫している」「前科がある」などの情報をTwitterなどのSNSへ投稿されたら、相手には名誉毀損罪が成立すると考えましょう。

名誉毀損罪の刑罰は3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金刑です(刑法230条)。

2-2.侮辱罪

侮辱罪は、事実の摘示以外の方法で公然と相手の社会的評価を低下させる言動をしたときに成立する犯罪です。

「バカ野郎」「ゲス」などと罵倒されたときなどに侮辱罪が成立すると考えましょう。

SNS上の誹謗中傷では、名誉毀損罪が認定されなくても侮辱罪が認定されるケースが少なくありません。

侮辱罪の刑罰は「拘留または科料」です(刑法231条)。

2-3.脅迫罪

脅迫罪は、相手に害悪を告知したときに成立する犯罪です。

具体的には相手や相手の親族の生命、身体、自由、財産、名誉に対して危害を加えると通知したら、その時点で脅迫罪が成立します。

たとえばSNS上で「殺すぞ」「家に火を付けてやる」「子どもやペットをさらう」などと脅されたら、相手には脅迫罪が成立すると考えましょう。公開の投稿だけではなくDM送付でも脅迫罪になります。

脅迫罪の刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です(刑法222条)。

2-4.業務妨害罪

業務妨害罪は、営業妨害を受けたときに成立する犯罪です。

まず「あの店は産地偽装している」など虚偽の噂を流されたときには「偽計業務妨害罪」となります。

また「爆弾をしかけるぞ」「騒ぎを起こすぞ」など、強い威勢を示されて業務を妨害されたら「威力業務妨害罪」が成立します。

業務妨害罪の刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑です(刑法233条、234条)。

3.SNSで誹謗中傷されたときに相手を訴える方法

3-1.誹謗中傷されたら刑事告訴できる

SNS上で誹謗中傷されたとき、相手に名誉毀損などの犯罪が成立するなら「刑事告訴」や「被害届の提出」をして刑事事件にできます。警察への申告をきっかけに捜査が進み、相手を逮捕してもらえる可能性がありますし、相手に罰金や懲役などの刑罰が与えられるケースも少なくありません。

3-2.誹謗中傷されたら損害賠償請求できる

誹謗中傷をされたら、民法上の「不法行為」が成立する可能性があります。不法行為が成立すると、相手に慰謝料や営業損害などの損害について賠償請求できます。

3-3.相手を訴えるには「本人特定」が必要

SNS上での誹謗中傷事案では、相手を刑事・民事に訴えるために本人を特定しなければなりません。SNS上での投稿は、ほとんどのケースで「匿名」にて行われるからです。

相手がどこの誰かわからない状態では、刑事告訴も損害賠償請求も困難となります。

匿名の相手を特定するには、以下の手順で進めましょう。

3-4.特定の手順

SNSの運営会社へ情報開示請求する

まずはSNSの運営会社へ情報開示請求をしましょう。一般的なSNSでは個人情報を明かしてくれないので多くの場合、裁判所に「仮処分の申立」を行う必要があります。

仮処分が認められると、運営会社から投稿者の「IPアドレス」の開示を受けられます。

仮処分を素人が1人で進めるのは難しいので、弁護士に依頼しましょう。

プロバイダを割り出す

IPアドレスが判明したら、相手の経由プロバイダを特定できます。

弁護士に手続きを依頼している場合、プロバイダの特定は弁護士が行います。

発信者情報開示請求を行う

判明したプロバイダに対し、投稿者の情報開示を求めます。これを「発信者情報開示請求」といいます。

プロバイダが任意に開示してくれれば、この時点で氏名や住所を把握できます。

もしも開示を拒絶されたら、訴訟をして裁判所からプロバイダに対し、発信者情報開示命令を出してもらわねばなりません。

裁判所の判決が出たらプロバイダは命令に従うので、投稿者の氏名や住所、メールアドレスや電話番号などの情報を入手できます。

3-5.損害賠償請求をする

相手の氏名や住所が判明したら、損害賠償請求を行いましょう。

名誉毀損や侮辱を受けたなら慰謝料を請求できますし、業務妨害されて売上げ低下などの損害が発生したら実損についての賠償金を請求できます。

3-6.刑事事件の手続きを進める

相手が特定されたら、名誉毀損罪や脅迫罪などにもとづく刑事告訴や被害届提出もできます。

刑事告訴は「相手に対する処罰を積極的に求める意思表示」、被害届は「被害を報告する届出」であり、両者の効果は異なります。

より強い処罰意思を示したければ、刑事告訴をしましょう。

なお名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪なので、刑事告訴しなければ相手を処罰してもらえません。一方脅迫罪や業務妨害罪は親告罪ではないので、被害届を提出するだけで処罰してもらえる可能性があります。

4.SNSで誹謗中傷されたときの対応の流れ

SNSで誹謗中傷されたときには、以下のように対応しましょう。

4-1.証拠を残す

まずは誹謗中傷された証拠を保存してください。後に相手へ損害賠償請求や刑事告訴をする際にも、証拠がないとこちらの主張が認められません。

プリントアウト、スクリーンショットの撮影などの方法で、証拠保存しましょう。

4-2.削除請求する

次に誹謗中傷の投稿を削除させましょう。誹謗中傷の投稿が残ったままになっていると、その投稿を目にする人が増えて被害が大きくなってしまいます。拡散されるおそれも高まるでしょう。

SNSの運営会社へ通報すると、削除請求に応じてもらえる可能性があります。削除依頼の専用フォームがもうけられているSNSもたくさんあるので、探して申請してみてください。

削除請求するときには、事前にサイト利用規約を確認し、規約違反を指摘して該当の投稿の削除を求めましょう。

4-3.仮処分による削除

SNSの運営会社が削除に応じてくれなかった場合には、裁判所で「仮処分」を行いましょう。名誉毀損やプライバシー権侵害などの明確な権利侵害があれば、裁判所がSNS運営会社へ削除命令を出してくれます。

Twitter社などの外国企業でも日本の裁判所による命令に従うので、不安に思う必要はありません。拡散される前に、早めに手続きを行いましょう。

4-4.本人特定

削除を終えたら本人特定の手続きを進めます。上記で説明した手順を進め、投稿者の氏名や住所などの情報を入手しましょう。

4-5.損害賠償請求、再発防止策

本人を特定できたら、損害賠償請求を進めましょう。

このとき、慰謝料を支払わせる以外にも請求すべきことがあります。

1つは相手が二度と嫌がらせをしないように、誓約させること。「もう二度と〇〇さん(〇〇社)に関する投稿はしない」と約束させ、違反したときにそなえて違約金を定めておくと効果的です。

状況によっては名誉回復措置を求めましょう。たとえば相手がフォロワーの多いインフルエンサーの場合、謝罪をさせることによって一気に名誉を回復できる可能性もあります。

本人特定した後、必ずしも刑事告訴が有効とは限りません。刑事告訴をしてもお金が返ってくるわけではありませんし、謝ってもらえるわけでもありません。どういった対処法が最適か、弁護士と相談して決めるようお勧めします。

まとめ

SNSで誹謗中傷されたり炎上したりすると、個人でも企業でも損害が大きくなります。日頃から炎上対策につとめ、万一の場合にはスピーディに削除や本人特定の対応を進めましょう。お困りの際には、弁護士までご相談ください。