放火罪や失火罪で逮捕されたらどうすればいい!?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
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放火・失火に関する罪を端的に説明すれば、建物に故意に火を放てば放火罪、過失により出火させれば失火罪です。

放火罪は殺人罪と同等の刑罰が科せられる非常に重い罪です。事案によっては過失による出火であっても放火罪や重過失失火罪が問われることもあります。

自身や家族が放火罪や失火罪で逮捕された場合は、可能な限り早く弁護士に刑事弁護を依頼し、最善の対応を取る必要があると言えるでしょう。

今回の記事では、放火罪や失火罪について解説します。

放火罪・失火罪

火災を起こした場合、それが故意であったか過失であったかにより放火罪もしくは失火罪に問われます。

放火罪は字のごとく火を放ったことによる罪です。故意に火をつけて人やその財産に危険を及ぼした場合に放火罪が適用されます。

失火罪は過失により火災を起こした場合に適用される罪です。なお、過失であれば無条件で失火罪になるものではなく、過失の内容次第でより重い罪に問われることもあります。

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放火罪の種類

放火罪は、放火の対象が何であったかにより下記の3種類に分類されます。

  1. 現住建造物等放火罪
  2. 非現住建造物等放火罪
  3. 建造物等以外放火罪

01.現住建造物等放火罪

現住建造物等放火罪は、人が(住居として)使用している建造物等に故意に火を放った場合に適用されます。未遂でも罪に問われます。

法定刑は「死刑または無期、もしくは5年以上の懲役」です。

現住建造物等とは、具体的には下記のようなものをいいます。

  • 人が住んでいる建物
  • 人が使用している建物
  • 人がいる電車や新幹線
  • 人がいる艦船
  • 人がいる鉱坑

人が何らかの用途に使用している建物や乗り物、場所であれば現住建造物等と考えておくといいでしょう。

02.非現住建造物等放火罪

非現住建造物等放火罪は、人が(住居として)使用していない建物に火を放った場合に適用されます。非現住建造物等にあたる具体的な建物は、空き家や倉庫などです。

未遂でも罪に問われ、法定刑は「その建物が誰のものか」によって変わります。

  • 自己所有の建物への放火:6ヵ月以上7年以下の懲役
  • 他人所有の建物への放火:2年以上の懲役

なお、自己所有の建物であっても、以下の事情がある場合には他人所有の建物とみなされます。

  • 差し押さえられた建物
  • 賃貸にしている建物
  • 保険をかけている建物

03.建造物等以外放火罪

建造物等以外放火罪は、人の乗っていない車やバイク、家具などに火を放った場合に適用されます。

非現住建造物等放火罪と同じく、放火の対象物が誰に所有されているかにより法定刑が変わります。

  • 自己所有の物への放火:1年以下の懲役、または10万円以下の罰金
  • 他人所有の物への放火:1年以上10年以上の懲役

「自己所有であっても他人所有とみなされる物」の条件ついても非現住建造物等放火罪と同様です。

失火罪の種類

失火罪は過失の程度等により下記の3種類に分類されます。

  1. 失火罪
  2. 業務上失火罪
  3. 重過失失火罪

01.失火罪

失火罪は、過失により(非)現住建造物等を出火させてしまった場合に適用されます。

失火罪の法定刑は「50万円以下の罰金」です。

なお、「過失による出火がすべて失火罪になるわけではない」ということを抑えておきましょう。過失の内容や程度によっては放火罪が適用されたり、後述する重過失失火罪が適用されたりすることもあります。

「火事になり得る」と想像できる状況で注意を怠り、実際に出火に至った場合は罪が重くなる傾向にあります。

02.業務上失火罪

業務上失火罪は、業務上の不注意による失火に対して適用されます。

業務上失火罪の法定刑は「3年以下の禁錮または150万円以下の罰金」です。

飲食業をはじめとする火を扱うことの多い仕事に就いている人にとっては気を付けておきたい罪といえます。

03.重過失失火罪

重過失失火罪は、「出火した場合の危険性が高い状況」や「火の扱いに慎重になるべき状況」で、慎重さを欠いて失火させた場合に適用されます。

法定刑は「3年以下の禁錮または150万円以下の罰金」です。

次のような状況では重過失失火罪が適用される可能性が高いです。

  • ガソリンスタンドでの喫煙
  • 庭や木造建築物に、火のついたままたばこを捨てる
  • ガスバーナーを使うような極めて危険な火遊び
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放火罪や失火罪の法定刑一覧

上記の内容をまとめておきましょう。

罪名内容法定刑
現住建造物等放火罪人が居住、もしくは使用している建物への放火死刑または無期、もしくは5年以上の懲役
非現住建造物等放火罪(他人所有)他人所有と見なされる、人が住居として使っていない建物への放火2年以上の懲役
非現住建造物等放火罪(自己所有)自己所有の、人が住居として使っていない建物への放火6ヵ月以上7年以下の懲役
建造物等以外放火罪(他人所有)他人が所有する、人の乗っていない車やバイク、家具などへの放火1年以上10年以下の懲役
建造物等以外放火罪(自己所有)自分が所有する、人の乗っていない車やバイク、家具などへの放火1年以下の懲役、または10万円以下の罰金
失火罪建造物等への失火50万円以下の罰金
業務上失火罪業務上の不注意による失火3年以下の禁錮または150万円以下の罰金
重過失失火罪重度の過失による失火3年以下の禁錮または150万円以下の罰金

逮捕されるとどうなる?

放火罪や失火罪で逮捕された後の流れについて確認してみましょう。

01.逮捕後48時間以内に釈放もしくは送検される

放火罪や失火罪で逮捕されると身柄を拘束されます。この身柄拘束後48時間以内に「釈放」もしくは「送検」されることとなります。

なお、この間に本人と面会できるのは弁護士だけです。家族であっても面会することはできません。

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02.送検後24時間以内に釈放または勾留請求される

逮捕後、釈放されず送検された場合は、24時間以内に釈放または勾留請求がなされます。

交流請求とは、検察官が裁判官に対し被疑者を勾留する許可を求めることです。裁判官による勾留請求が認められると勾留状が発行されます。勾留請求が認められなかった場合、被疑者は釈放されます。

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03.最大20日間勾留される

勾留請求が認められた場合、原則として10日間、延長した場合は最大で20日間勾留されます。勾留されている間に起訴されるか釈放されるかが判断されます。

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勾留後はどうなる?

逮捕後早期に身柄を解放してもらう方法

勾留後に「起訴」「不起訴」「処分保留」のいずれかの処分が決定が下されます。

01.起訴

勾留後、起訴されると裁判手続きが始まります。勾留されていた本人は「被疑者」から「被告人」と呼ばれるようになります。

起訴とはその刑事事件について裁判を起こしたいという意思表示のことです。起訴できるのは原則検察官のみです。

02.不起訴

勾留後、不起訴になると被疑者は釈放されます。その後、同じ事件について裁判にかけられることも、有罪となる可能性もほとんどありません。

不起訴には下記の3種類があります。

  • 嫌疑なし:被疑者に対する疑いが晴れた場合
  • 嫌疑不十分:疑いは完全に晴れていないが、有罪の証明が困難な場合
  • 起訴猶予:有罪の証明は可能だが、状況や犯罪の重さなどにより、検察官の裁量で不起訴となる場合

03.処分保留

処分保留は、起訴・不起訴の判断を保留にしたまま釈放されることです。勾留期間中に十分な証拠が揃わなかったときは、処分保留となります。処分保留は意味合い的に不起訴の「嫌疑不十分」に近く、その後は不起訴となることが多いです。

なお、殺人や放火などの重大事件では再逮捕が行われ実質的に勾留期間が延長されることもあります。

原則として、同じ事件・罪名での逮捕・勾留は1回とされています。そのため、殺人罪の被疑者を死体遺棄で再逮捕するといったように、再逮捕の場合は別の罪で逮捕されることが多いです。なお、勾留中に見つからなかった有力な証拠が新たに見つかった場合、同じ罪で再逮捕されることもあります。

弁護士に相談すべき3つの理由

放火罪や失火罪の刑は重く、適切な対応を取れなければ不当な処分を受けることにもなりかねません。減刑を求めたり適切な判決を受けるためには弁護士への相談は必須です。

さいごに放火罪や失火罪を弁護士に相談すべき3つの理由を紹介します。

01.弁護士以外は本人との面会が難しい

一つ目の理由は、弁護士でないと本人との任意の面会が難しいためでです。

逮捕された場合、勾留が決まるまでは家族であっても面会できません。勾留決定後も警察や検察が接見禁止の請求をし、裁判所がこれを認めればやはり面会することはできません。

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他方で、弁護士であれば任意のタイミングで面会ができます。接見禁止になった場合も同様です。また、弁護士との面会には時間や回数の制限がなく、警察官の立ち合い無しでの面会も可能です。

放火罪や失火罪では対応スピードや正確な事実確認が非常に重要です。逮捕直後から面会でき、話の内容も秘密にできる弁護士は、放火罪・失火罪で逮捕された人にとって欠かせない存在といえます。

02.放火・失火の示談は極めて難しい

二つ目の理由は、示談交渉が極めて難しいことにあります。

放火にしても失火にしても火災の被害者は心身にかなりのダメージを負います。住む家や多くの財産、家族を失った人は、その原因をつくった相手に強い憤りを抱えているでしょう。

本人は勾留されているためそもそも示談交渉できませんし、家族や知人・友人が訪ねても応じてもらえない可能性が高いです。逆に火に油を注ぎかねません。被害者との示談交渉は困難を極めるため、スペシャリストである弁護士に任せた方が無難であるといえるでしょう。

示談の成立はその後の起訴・不起訴、判決にも大きく影響します。だからこそ弁護士に相談し、迅速かつ最善の対応をとってもらいましょう。

03.放火罪・失火罪はややこしい

三つ目の理由は、これらの罪が極めてややこしいたことです。

放火罪や失火罪にはかなりの種類があります。火災(焼損)の状況によっては「延焼罪」なども成立します。「焼損の考え方」など火災に特有のものもあるため事件・事態の把握には相応の法的知識が必要となります。

充分な法的知識を有しない一般の方が事件当時の状況を適切に話し、減刑を勝ち取ることは非常に困難を極めます。失火罪が妥当なのに放火罪や重過失失火罪などのより重い罪を不当に適用される可能性もあるでしょう。

取り調べや裁判で適切な対応を取るためにも、なるべく逮捕直後から弁護士に刑事弁護を任せる必要があります。

さいごに

改正相続法による新ルール10個のポイント!【弁護士解説】

火災に関する罪にはさまざまなものがあり、そのどれも刑は重くなっております。中でも現住建造物放火罪には殺人罪と同等の法定刑が定められています。

故意や過失の証明等の対処を誤れば不利益を被る可能性がある以上、弁護士に適切な対処を依頼することが必須と言えるでしょう。

東京・恵比寿にある弁護士法人鈴木総合法律事務所では、刑事弁護について広く受け付けております。自身や家族が火災に関する罪で逮捕されてしまってお困りの方は是非一度ご相談ください。

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