万引き、痴漢、暴行といった犯罪を犯して逮捕されてしまうと、刑事手続きに則って身体拘束されることとなります。
身柄拘束期間が長引けば長引くほど不利な状況となってしまうので、できるだけ早期に身柄を解放してもらうように動きましょう。
ところで逮捕後に、早期に身柄を開放してもらうにはどうすればよいのでしょうか?
今回の記事では逮捕後に早期に身柄を解放してもらう方法について解説します。
微罪処分、在宅捜査を目指す
逮捕された後にもっとも早く釈放されるのは、事件が微罪処分または在宅捜査として処理された場合です。
01.微罪処分
微罪処分とは、軽微な犯罪で被害者も許している事件において、警察が送検することなく釈放とするケースです。
微罪処分になるには、犯した罪の内容が非常に軽微である、前科がない、本人が反省している、被害者も許しているといった事情が必要となります。
02.在宅捜査
在宅捜査とは、被疑者について在宅で捜査を行なう方法のことです。微罪処分と異なり、事件の捜査は継続されます。
在宅捜査になるためには、被疑者に逃亡のおそれがない、証拠隠滅のおそれがないことが必要となります。そのためにも、逮捕されたらすぐに検察官に対しそのようなおそれがないことを積極的に主張する必要しなければなりません。
なお、重大な犯罪の場合には在宅捜査となることはありません。
勾留の取り消しや執行停止を目指す
勾留されて身柄捜査となってしまっても、勾留決定に対する異議申立が認められたり勾留そのものが取り消されたり執行停止になったりした場合は、身柄を解放してもらうことができます。
01.準抗告
勾留決定に対する異議申立手続を準抗告と言います。もともとの勾留決定の効果自体を争う方法であり、準抗告が認められたら身柄は解放されます。
02.勾留取消
勾留取消は、勾留理由がなくなった場合に行う手続きです。いったん行われた勾留を後日取り消す決定を行うことで被疑者の身柄を解放します。
03.勾留執行停止
勾留執行停止は、病気治療など勾留を一時中断する必要がある場合に認められる手続きです。執行が停止される期間は外に出ることが可能です。
04.勾留理由開示請求
勾留理由開示請求は、裁判官に対して勾留した理由を尋ねる手続きです。直接身柄解放を求める方法ではありませんが、勾留理由開示を申し立てることで、被疑者は裁判所に行って裁判官から直接勾留理由を聞くことができます。
勾留理由開示の過程で勾留理由が薄弱であることが判明した場合は、その後勾留の取り消しが認められる可能性が高くなります。また、勾留理由を聞きに裁判所に行っている間は取り調べを受けずに済むので、捜査官による取り調べに疲弊している場合には有効な対処方法といえます。
不起訴処分を目指す
身柄捜査となって準抗告や勾留取消請求などが認められなかった場合、最大20日間勾留されてしまいます。
こうなった場合になるべく早めに身柄を解放してもらうには不起訴処分を目指すほかありません。
不起訴処分とは検察官が被疑者を起訴しないとする決定のことです。
刑事事件では、被疑者を起訴して刑事裁判にするかしないかの決定は検察官の専権事項とされています。検察官が不起訴にすればその時点で刑事手続が終了するので、被疑者の身柄は即時に解放されます。
また、不起訴となった場合はそもそも刑事裁判にならないので、有罪判決を受けることもなく前科がつくおそれもありません。
なお、在宅捜査でも身柄捜査の事案であっても被疑者がなるべく有利に刑事事件を解決したいのであれば、不起訴処分の獲得が非常に重要となります。
不起訴処分を獲得する方法
被疑者が不起訴処分を獲得するには、以下のような対応が必要です。
01.被害者と示談する
被害者のいる犯罪であれば、被害者と示談を成立させることが極めて重要です。
刑事事件では被害者と示談できて民事的な賠償が済んでいると、被疑者や被告人にとって非常に良い事情と評価されるからです。
窃盗や詐欺、痴漢や盗撮、暴行や傷害などの犯罪では、逮捕されたらすぐに被害者に連絡を取って示談を進めましょう。
なお、身柄拘束されている被疑者本人が被害者と示談交渉を進めるのは不可能です。示談交渉については刑事弁護人に任せる必要があります。検察官が起訴か不起訴か決定するまでの10~20日以内に示談を成立させて検察官に報告しなければならないので、逮捕されたらすぐに弁護士を呼んで刑事弁護を依頼しましょう。
02.反省の態度を示す
不起訴処分にしてもらうためには、被疑者がしっかり反省していることも重要です。警察官や検察官に対し無駄に反抗するのではなく反省の態度を示しましょう。
ただし、やってもないことを認めてはいけません。
03.家族による監督が可能なことなど示す
検察官が不起訴処分をするかしないか決定する際、周りに本人を監督する人がいるかどうかも重要となります。妻や子ども、同居の両親などの家族がいること、定まった勤務先があることなど適切な監督が行われる可能性が高い事情をアピールしましょう。
虚偽の自白をしない
やっていないことをやったと供述したり、実際に行なった犯行以上に悪質な犯行をしたと供述をすると「それであればいったん起訴して処罰を受けさせるべき」という判断に傾きます。
取り調べの際に、捜査官からいろいろな誘導を受けても決して虚偽の自白をせず、実際にあった出来事や本当の動機だけを話しましょう。
捜査官から理詰めで問い詰められて答えられなくなったら、調書に署名指印せずに弁護士に対応を相談してください。
さいごに
刑事事件で身柄拘束が続くと本人も家族も疲弊しますし、勤務先からの解雇等のリスクも高まります。また、前科が付くことを避けるためにも不起訴処分を目指してやれるべきことをやっておきましょう。
とはいえ刑事手続きでリスクやデメリットを回避するためにできることは刑事弁護人を付ける以外にはありません。逆に言えば弁護人を付けることでリスク回避のほとんどを図ることが出来ます。一刻も早く弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。
東京・恵比寿にある弁護士法人鈴木総合法律事務所では、刑事弁護に注力しております。自身が逮捕された、ご家族が逮捕されたことでお困りの方は是非一度ご相談ください。