交通事故には、様々なケースが想定されます。
- 自動車対自動車
- 自動車対歩行者
- 自動車対バイク
- バイク対自転車 等
いずれの場合も人体に大きな衝突エネルギーが発生しますので、交通事故に遭った人は怪我や障害を負うことがほとんどです。ケガや障害の程度によっては完治に至らずに後遺症が残ってしまうこともあります。
後遺症が残ってしまう(しまいそうな)場合には後遺障害等級の認定を受けておくことが非常に重要です。
どのようにしたら後遺障害等級の認定を受けることが出来るのでしょうか?
今回の記事では交通事故の後遺障害等級認定について解説します。
後遺障害等級認定とは
後遺障害等級認定とは、交通事故で残った後遺症について後遺障害として正式に認定を受けて等級をつける手続です。
交通事故によって身体のさまざまな場所に後遺症が残ってしまうことが往々にしてあります。たとえば以下のような症状です。
- 手足の関節を動かせなくなる
- 目や耳が不自由になる
- 脳の認知機能が低下して身の回りのことができなくなる
このような後遺症が残ってしまうと日常生活でも仕事上でもさまざまな支障が発生します。完治しない障害については金銭で補填するほかありませんので、後遺症の内容や程度に応じて賠償金を支払う処理を行なっております。
後遺障害に関する慰謝料や逸失利益の金額は後遺症の程度によって異なるべきものですので、後遺障害認定においては後遺障害の内容を14段階に分類し、段階に応じて定められた賠償金が支払われるようにしています。この14段階のことを等級と言います。
等級が高くなればなるほど賠償金の金額は高額となりますので、交通事故により後遺障害が残るような場合はなるべく高い等級の後遺障害認定を受けることが重要となります。
逆に交通事故で辛い後遺症が残ったとしても、きちんと後遺障害等級認定を受けていないと相手から後遺障害に関する賠償金を支払ってもらうことができません。この点でも後遺障害認定は重要と言えます。
後遺障害等級認定によって支払われる賠償金
後遺障害等級認定を受けると、以下のような賠償金が支払われます。
01.後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって労働能力が低下したことによる将来の減収です。後遺症が残るとまったく仕事ができなくなって職を失ってしまうこともありますし、簡単な仕事しかできなくなって減収が発生するケースも多いです。そういった減収分を逸失利益として加害者に賠償請求できるのです。
後遺障害逸失利益は、被害者の事故前の基礎収入、等級ごとに定められる労働能力喪失率、就労可能年数(通常は67歳まで)によって求められます。
労働能力喪失率は、後遺障害の等級が上がるほどが高くなります。たとえば1級~3級の場合は100%、14級の場合は5%となっています。
被害者の事故前の収入が高かったケースや後遺障害の等級が高い場合、労働者が若い場合などには、後遺障害逸失利益の金額が高額になります。後遺障害の等級が上がると、逸失利益だけで1億円を超えるケースも珍しくはありません。
02.後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによって被害者が受ける精神的苦痛に対する賠償金です。
後遺障害が残ると被害者は身体が不自由になり多大な精神的苦痛を受けることとなります。そうした精神的苦痛は後遺障害の程度が重くなるほど大きくなると考えられているので、後遺障害慰謝料の金額も後遺障害の等級が上がると高額になります。
具体的には以下の通りの金額です。
1級 | 2800万円 |
---|---|
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
後遺障害等級認定を受ける方法
後遺症が残ったとき、上記のような後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料を請求するためには後遺障害等級認定を受ける必要があります。
具体的にはどのような方法で手続を進めれば良いのでしょうか?
01.医師に後遺障害診断書を作成してもらう
まずは医師に依頼して後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。
後遺障害診断書とは後遺障害の内容を詳しく記載してもらう診断書です。保険会社から書式をもらって医師に渡し作成を依頼しましょう。弁護士に相談している場合には弁護士から医師に依頼することも可能です。
02.後遺障害等級認定申請を行なう
後遺障害の等級認定を行っている機関は、加害者の自賠責保険や共済です。
そのため、相手方の自賠責保険や共済に対し後遺障害等級認定の申請を行います。その際、後遺障害診断書等の資料を添付します。
なお、申請は、事前認定と被害者請求という2種類の手続から選ぶことができます。
事前認定とは加害者の保険会社に後遺障害認定の手続を任せる方法です。
被害者請求とは被害者自身が自分で加害者の自賠責保険に後遺障害認定の手続を行う方法です。
どちらの申請方法にも一長一短ありますのでケースによって適切な方法を選択しましょう。
お困りの際は弁護士にご相談ください
後遺障害認定の手続を進める際には、手続の進行方法や等級認定基準についての知識、医学的知識などがあると有利に進めやすくなります。被害者が自ら申請手続をしようとすると思ったように認定を受けられないケースも多々あります。
対応を誤ると不利益を被る可能性もあるため、専門家である弁護士に任せた方が賢明と言えるでしょう。
東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、交通事故の被害に遭われた方の対応に注力しております。交通事故被害について今後の対応が心配な方は是非一度当事務所までご相談ください。