借金問題でお困りの方へ弁護士からのアドバイス!!

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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理由は千差万別ですが、サラ金や貸金業者からの借入枠やクレジットカードのリボ枠を使い過ぎてしまう方は多くいらっしゃいます。

  • 返済しても負債が一向に減らない
  • 自身の収入だけでは返済することが出来ない
  • 自転車操業から脱却できない

こと借金問題については時間は何も解決してはくれません(時効成立を除く)。逆に時間の経過によって被る不利益が増えてしまうことがほとんどです。借入や信用枠が限度額に達してしまって、上記の状況に陥っているようであれば今すぐにでも債務整理手続きを検討しましょう。

今回の記事では、借金問題でお困りの方に読んでいただきたい弁護士からのアドバイスをお伝えします。

三種類の債務整理

まずは債務整理の種類についてみておきましょう。個人の債務整理には大きく分けて下記の3つがあります。

  1. 自己破産
  2. 個人再生
  3. 任意整理
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弁護士 鈴木 翔太

01.自己破産

自己破産とは、債務者(破産者)が有している財産を換価処分し、債権者に対し平等に分配する一連の手続きのことをいいます。破産者が所有する財産をお金に変えて債権者で平等に分けるという手続きなので債権者のために設けられた手続きといえるでしょう。

自己破産の申立を行なう際、免責許可についても併せて申し立てます。免責とは、破産手続きを終えた個人の破産者に対して「負債を返済する責任を免れさせる効果」のことです。

免責を得ることで「借金を支払う必要がなくなる」言い換えれば「借金をゼロにする」という効果が得られますので、他2つの債務整理手続きと比べれば得られる法的効果はもっとも大きいものとなります。

自己破産の流れ、メリット・デメリットについて
自己破産について簡潔に解説複数の貸金業者や金融機関、信販会社に対し、借入やショッピング残を抱えており、その返済が困難になっている方を多重債務者と言います。 多重債務者の方のほとんどは、自身の収入だけでは毎月の約定返済額を...

なお、自己破産は裁判所を介した法的手続きとなります。法律に則った手続きでありますので、手続き中は所定の制限が課せられることとなります。また、書類収集や家計の作成、裁判所への出頭、管財人との面談等を行わなくてはなりません。

破産申立に必要な資料について解説!!自己破産の申立を行なう際には、申立書を構成する「債権者一覧表」「資産目録」「報告書」「家計全体の状況」に記載されている内容が確からしい(=疎明)と判断できる書類を添付する必要があります。 特に資...

02.個人再生

個人再生とは、法律の規定に基づき負債(債務)を減額する手続です。

民事再生法に基づいて債務を圧縮することができるので、任意整理より月々の支払負担の軽減効果が高いといえます。

個人再生手続きの流れについて
個人再生について裁判所を介して行なう債務整理である破産と個人再生の手続き。この2つの手続きでは得られる効果が大きく異なります。 破産は負債がゼロになる(負債を支払う責任を免れる)のに対し、個人再生は一定の割合に...

なお、どのくらい圧縮できるのかについては、負債の総額や持っている財産の価値によって変動します。目安としては「負債が5分1以下に圧縮されることがほとんど」とお考えいただければ間違いはありません。詳しく知りたい方は下記のリンクを参照ください。

個人再生で負債はいくらまで圧縮される!?弁済額の算出方法について解説!!個人再生は、負債を所定の割合に減額し、3年(最長5年)で分割して返済する手続きです。 「個人再生で負債を5分の1(20%)まで減額することが可能です」「個人再生で負債を80%カットできます」等と...

なお、個人再生も自己破産と同様、裁判所を介した法的手続きとなります。法律に則った手続きでありますので、手続き中は所定の制限が課せられることとなります。また、書類収集や家計の作成、再生委員との面談等を行わなくてはなりません。

個人再生の申立てに必要な書類について解説!!個人再生の申立を行なう際には、申立書を構成する「債権者一覧表」「報告書」「財産目録」「家計全体の状況」に記載されている内容が一応確からしい(=疎明)と判断できる書類を添付する必要があります。 特...

03.任意整理

任意整理は、借入先の債権者と個別に交渉し、負債額を分割で支払う約束をする(和解を取り交わす)手続きです。

負債の元本を減らすことはほぼできませんが、毎月の返済額の減額や将来利息のカットを見込めますので、自身でそのまま返していくよりも負担を緩和することができます。

任意整理ってどういう手続き? カードローンの返済が苦しくなってきた リボ払いの残高がいつまで経っても減らない 返済を放置していたら一括請求書が届いてしまった 借金やリボ払いの残額等が膨れ上がってしまい返済...

なお、任意整理は裁判所を介した手続きではありません。書類の収集や家計の作成はなく、裁判所に出頭することもありません。

債務整理をすべきかどうかの判断基準

自身が債務整理を行なうべきかどうか、行なうとして3種の債務整理のうちどれを行なうべきなのかについては、収入や支出、負債額、就業状況、同居の家族の有無、負債形成原因、所有財産といった様々な事情を総合的に勘案して決めるべきものとなります。

以下、月単位での収入および支出に主眼を置いた判断基準の一例について解説します。

01.基準指標の計算

下記の①~③を計算します。

  1. 1ヶ月で得られる収入を計算する
  2. 1ヶ月で支払う最低限の支出を計算する
  3. 毎月の余剰額を算出する

①についてですが、ダブルワーク、副業をしている場合はその収入も計上してください。また、隔月で公的扶助の支給を受けている場合、年に数回賞与の支給を受けている場合には月割りして加算してください。

たとえば本業の手取り月収19万円、副業の手取り月収が1万円、本業の年間賞与額が60万円の場合には①の値は25万円となります。

②については、賃料、水道光熱費、通信費、食費、日用品購入、医療費など「生活をするうえで毎月必要となる最低額の支出」の合計を計算します。無駄遣いをしない前提で計算してください。また、算出された数値に予備費(イレギュラー対応費)として1万円をプラスする。

③の余剰額は、「1ヶ月で得られる収入(①)」から「必要最低限の生活費 + 予備費(②)」を差し引いて残るお金です。計算の性質上、予備費を余剰額全額を返済に充てたとしても生活は立ち行くことになります。

02.余剰額と約定返済額合計を比較する

まずは「余剰額」と「毎月の約定返済額(各債権者が指定する返済額)の合計」を比較してみましょう。

余剰額が約定返済額の合計よりも大きいということであれば、返済そのものは問題なくできていることとなります。次の「余剰額と負債総額との比較」が40未満であればこのまま返済を続けていった方が良いでしょう。

逆に、余剰額が約定返済額の合計よりも小さいということであれば、そもそも自身の収入で返済ができていませんので何かしらの債務整理をすべき状況にあります。

03.余剰額と負債総額から基準値を出す

次に「余剰額」と「負債の総額」から基準値を算出します。具体的には、負債総額を余剰額で割って下さい。

この値が50を超えているようであれば負債超過となっている可能性があります。40から60の範囲にある人は任意整理を、60を超過している人は自己破産や個人再生を検討すべきでしょう。

04.判断基準について

上記の判断基準はあくまで目安です。収入に対し賃料が見合ってないために余剰が出ていなかったケースなどもあります。判断に迷う場合には弁護士に相談しましょう。

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05.債務整理だけでは解決できないこともある

余剰額がマイナスになっている、すなわち家計が赤字である場合には債務整理だけで問題を解決することはできません。仮に破産して負債がゼロになったとしてもそのあとの家計を自力で維持することが出来ないということであれば、生活再建という根本の解決にはならないためです。

赤字家計を改善するために生活全般を見直す必要があります。

収入増を図る方法

  • 給料の良いところに転職をする
  • ダブルワークをする
  • 親族から援助を受ける

支出減を図る方法

  • 実家に戻る
  • 賃料の低いところに引っ越す
  • 食費を見直す

上記のような方法で赤字家計からの脱却を目指しましょう。

なお、赤字家計のままであることは債務整理手続きに悪影響を及ぼします。自己破産だと免責獲得に悪影響が出ますし、返済することが前提の個人再生及び任意整理については「返済原資の捻出が困難」ということでそもそも手続きに臨むことが出来ません。赤字家計が改善されることが手続きに必要不可欠であることをしっかりとご理解ください。

借金問題を放置するデメリット

  • 客観的にみて支払が困難な状況にも関わらず無理して返済を続ける
  • 支払を滞納し債権者から督促が来ているが無視している

借金への取り組み方が違うとはいえ、上記のどちらも「現実を見て借金問題を解決しようとしていない」、言い換えれば「借金問題を放置している」といえます。

借金問題を放置してしまうと以下のようなデメリットが生じます。

01.無駄にお金を返済することになる

たとえば債務超過に陥っている人が「今すぐ弁護士に依頼して破産申立を行なうケース」と、「1年間返済を継続したあとに弁護士に依頼して破産申立を行なうケース」を想定します。

どのタイミングで自己破産を申し立てても得られる効果(免責)は一緒です。そのため、どちらのケースも得られる効果は一緒となります。

他方で債権者に返済した額を考慮すると後者が圧倒的に不利になります。たとえば返済額が毎月4万円である場合、後者のケースでは48万円を無駄に返済してしまったといっても過言ではありません。

また、申立が1年遅れたことで手続きが終結するまでの期間もその分後ろ倒しとなります。生活再建が1年遅れることは時間的にも大きな不利益と言えるでしょう。

もちろん負債を圧縮する(負債の一部を免除する)個人再生についても同様のことがいえます。

02.時間の経過によっては何も解決しない

借金問題・負債の問題は、時間の経過によって事態が好転すること、解決することがほぼありません。

負債を返済せずに放置すれば遅延損害金が計上されることとなり、負債額は雪だるま式に増えることとなります。

また、返済をしなければ自宅に督促書面が届いたり自身のスマホや会社に電話連絡が来ることとなります。それでも無視し続ければ訴訟されてしまうことも往々にしてあります。債務名義を取られてしまえば口座差押えや給与差押え等の強制執行を受けることとなるでしょう。

時間の経過で解決とはならない以上、早めに債務整理手続きに臨んだ方が良いといえます。

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03.例外としての時効成立

時間の経過によって唯一事態が好転するケース(解決できるケース)として、時効の成立があります。

原則として最終取引日から5年間経過していれば消滅時効を援用することで負債そのものを消滅させることが可能です。期間の経過という要件を満たすのであれば時効の援用によって問題を解決することができます。

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なお、時効成立までの期間は債権の種類によって異なりますし、その起算点についても最終取引日ではなく代位弁済日から起算となることもあります。実は途中で訴訟されていて時効が更新されていたなんてこともあります。

消滅時効の成立は有効な借金問題の解決手段ではありますが、時効成立を期待し続けて無視し続けるのが最良かといえば時効更新によるリスクを考慮すればそうとは言い難いです。

04.精神的にキツイ

借金問題を抱えたままだと、常に不安やストレスを抱えることとなります。

  • いつになったら返済がおわるんだろう
  • 収入が下がったらどうしよう
  • どうして生活が苦しいんだろう

上記のようなお金に関する心配事が常について回ります。事情によっては人付き合いや家族・親族関係にも悪影響が出てしまうことはあります。

精神的に追い込まれてしまうことで、鬱になったり、犯罪に走ったり、自ら命を絶ってしまう方もいらっしゃいます。上述のとおり時間が借金問題を解決してくれることは基本的にはありません。

精神的に解放されるためにも、早めに弁護士に相談して債務整理に臨みましょう。

債務整理手続きをするメリット

債務整理手続きをするメリットを見てみましょう。

01.負債の問題を解決できる

最大のメリットは、今抱えている負債の問題を解決できる点です。

自己破産、個人再生、任意整理のいずれでの解決になるかはケースバイケースですが、手続きをせずに返済を続ける場合よりもはるかにメリットを享受することが出来ます。

02.返済を止めることが出来る

弁護士に債務整理手続きを依頼すると、弁護士は介入した業者や金融機関などに宛てて受任通知を発送します。受任通知とは「弁護士が代理人として介入しました」という通知書のことです。弁護士介入後は、債権者に対する返済をストップして問題ありません。

03.債権者からの督促などを止めることが出来る

弁護士が介入した後は、原則として債権からの直接の連絡が止まります。支払遅れや滞納を理由に債権者からひっきりなしに書面督促や電話督促を受けていた方においては精神的に解放されることとなるでしょう。

なお、本件についてはいくつか留意事項があります。一つ目は、個人債権者等からの督促については止めることが出来ないということです。また、債権者による直接のコンタクトを止めることはできますが、訴訟提起することまでも止められるものではない点にもご留意ください。弁護士を間に入れていても債権者は訴訟を起こすことは可能であり、その場合の訴状は債務者の自宅に届くこととなります。

04.精神的に解放される

弁護士に債務整理手続きを依頼することで、返済も督促も止まります。返済に追われていた日々と比較して精神的に解放されることとなるでしょう。また、弁護士はある程度の見通しを前提に手続きを受任しているでしょうから将来の不安も消失することでしょう。

自己破産や個人再生の申立についても弁護士が代理人としてついてしっかりサポートしてくれます。管財人や再生委員との面談にも同行してくれますので安心です。

05.生活再建を図ることが出来る

債務整理手続きによって生活の再建を図ることが可能です。手続き終了後は、余剰額を資産形成に充てることもできますので将来設計の見通しが立つこととなります。

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さいごに

この記事をお読みになられている方の多くは、負債や返済について何かしらのトラブルや心配事を抱えていらっしゃるかと思います。

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