犯罪行為をしてしまった人は逮捕されるリスクを抱えています。
犯罪行為の時点では逮捕されていなくとも、後に犯罪行為が発覚することは多々あります。突然警察が自宅を訪ねてくることもあり得ます。突然逮捕された場合は家族や勤務先に対し事情を説明することもできないので身の回りの人たちに多大な迷惑をかけることとなります。
もし、貴方が事件発覚や逮捕を心配されているということであれば自首を検討してみてはいかがでしょうか?
今回の記事では、自首とは何か、自首の要件やメリット・デメリット等について恵比寿の弁護士が解説します。
自首
世間一般での自首は、犯罪を犯した人が自ら警察に出頭して「私がやりました(犯罪を犯しました)」と罪を申し出ることとイメージされております。これは間違いではないのですがやや不正確です。
自首とは、捜査機関へ犯罪が発覚する前に、自ら出頭し罪を告白することを言います。
【犯罪が捜査機関に発覚する前に】がポイントです。犯罪が発覚する前に出頭しないと自首として認めてはもらえません。
たとえば殺人を犯して指名手配されている状態で警察にいっても自首としては扱われません。指名手配されているということは、捜査機関が犯罪について捜査している状況すなわち犯罪発覚後であるからです。
また、会社から横領した場合であれば、会社側間が横領の事実に気づかず被害申告もしていない状況であれば自首が成立する可能性があります。横領行為について捜査機関が犯罪を覚知していないからです。他方で会社側が横領に気づいて警察に被害申告をしたあとであれば捜査機関が犯罪を覚知しているので自首は成立しません。
自首のメリット
自首をするメリットには以下のものがあります。
01.刑が減軽される
自首が成立すると、刑罰が任意的に減軽されます(刑法42条1項)。
任意的
任意的とは、刑事裁判になったときに裁判所が裁量によって刑を減軽するかどうか決めることです。裁量によって判断されるため、必ず減軽されるとは限りません。
減軽
減軽とは、刑罰が軽くなることです。減軽の方法も刑法によって定められています。
たとえば、無期懲役について減軽すると7年以上の有期懲役または禁錮となります。有期懲役や禁錮を減軽するときは、刑の長期と短期を半分の期間にしてもらうことができます。罰金も最高額と最低額が半分になります。
刑法上、執行猶予をつけられるのは3年以下の懲役または禁錮の場合に限ります(刑法25条)。そのため、これよりも重い刑(これ以上の刑期)である場合には執行猶予がつくことはありません。しかし、自首により執行猶予を付けてもらえるくらいまで減軽されればこの限りではありません。執行猶予をつけてもらえることもあり得ます。
また、実務上、自首が成立していた場合、量刑相場より刑罰を軽くしてもらえる例が大多数です。何もしないまま逮捕されるよりも自首した方が大きなメリットを得ることができます。
02.不起訴処分になりやすい
重大犯罪でない場合には、自首することによって不起訴処分を獲得しやすくなります。
不起訴処分とは、検察官が起訴しないと決定することです。自首した事実が被疑者にとって良い情状と評価され、検察官がそのように判断することが多くなります。不起訴処分になった場合は、刑事裁判にならないので前科がつくこともありません。
なお、殺人などの重大犯罪では不起訴となることはありません。
03.在宅捜査になりやすい
犯罪を犯したら例外なく逮捕されるとお考えの方も多いかと思われますが、実は違います。逮捕されるのは「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」があるケースです。
この点、自ら自首してくるような被疑者は、逃亡も証拠隠滅も行う可能性は低いと考えられるので逮捕されず在宅捜査にしてもらえる可能性が高くなります。
逮捕されずに在宅捜査ということになれば、今までとおりの生活を続けることができるので大きなメリットとなります。
04.刑事手続に対する準備ができる
自宅で逮捕される場合、警察はいきなり自宅にやってきてそのまま身柄を拘束されます。準備をしている時間はありません。家族に事情を説明する時間もありませんし、勤務先も無断欠勤せざるをえません。
他方で自首は、自身の任意のタイミングで出頭できるので、家族にきちんと事情説明をすることができますし、勤務先にもあらかじめ説明をしておくことが可能です。
また、事前に弁護士に自首同行や刑事弁護を依頼しておけば刑事手続が始まったと同時に刑事弁護活動を開始することも可能となります。
自首のデメリット
自首のデメリットには以下のものがあります。
01.時効が完成する可能性がなくなる
自首をしてしまうと、時効成立によって罪を免れる可能性がなくなります。
犯罪が発覚しないまま所定の期間が経過すれば時効が成立する可能性があります。時効が成立すれば刑事事件になる可能性がなくなりますので一切の処罰を免れまることとなります。
他方で自首をすれば犯罪は発覚しますので時効は成立しません。
時効成立の可能性がなくなるという点は自首のデメリットといえるでしょう。
02.そのまま逮捕される可能性がある
自首をすると在宅捜査になる可能性もありますが、もちろんそのまま逮捕される可能性もあります。特に重大犯罪のケースでは逮捕は免れないでしょう。
自首の方法
自首する方法(自首のやり方)ですが、基本的には警察署に行って犯罪事実を申告するだけでOKです。書面を作成する必要はありません。
とはいえ、いきなり警察署に行って「犯罪をやりました」と伝えても捜査官になかなか話が伝わらないことも考えられます。犯罪行為について何かしらの証拠・資料を用意しておくと良いでしょう。
また、自首をするとそのまま逮捕される可能性もあります。家族に自首することを伝え今後のことを話し合っておくべきです。会社員の方は勤務先への説明を行なっておくことも必要です。
弁護士に依頼するメリット
自首する際、弁護士にサポートを依頼することには多くのメリットがあります。
01.自首に同行してもらえる
一人で自首するとなるとやはり不安に感じる方が多数です。怖くなって足を返してしまう方も多くいらっしゃいます。
弁護士に同行してもらえれば覚悟を決めて自首しやすいといえるでしょう。また、弁護士が事件の内容や逃亡・証拠隠滅のおそれがないことなどを説明することで、逮捕や勾留のリスクを低減することも可能です。
02.弁護活動
自首後、刑事手続が始まりますが、弁護士に依頼しておけばすぐに刑事弁護人として適切な弁護活動を開始してくれます。被害者との示談交渉や身柄解放のための諸対応を適切に進めてくれますし、示談交渉がうまくまとまれば起訴を免れることも可能となります。
自首をお考えの場合、一人で警察署に出頭するよりも弁護士に依頼して同行してもらった方がメリットは大きいといえます。
東京・恵比寿にある弁護士法人鈴木総合法律事務所では痴漢や盗撮、暴行傷害など各種犯罪の刑事弁護に積極的に取り組んでおります。もちろん自首同行についても承っております。
犯罪を犯し自首を検討されているのであれば是非お気軽にご相談下さい。