痴漢で逮捕されてしまったらどうすればいい!?

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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痴漢で逮捕されてしまった場合に、被り得る不利益を避けるためにはどうすればよいのでしょうか?

今回の記事では痴漢で逮捕された場合のポイントについて弁護士が解説します。

刑事事件で逮捕された場合の対応

刑事事件で逮捕されてしまった場合、目指すべきものは以下の2つです。

  • 早期の身柄解放
  • 不起訴処分

これらを達成するためには、被害者と示談を取り交わすことが非常に重要です。

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弁護士 奥野

示談とは

示談とは、お互いが抱える問題や対立について一定の決着をつけるようお互いが同意することです。

こと刑事事件においては、示談は加害者と被害者の間で行なうこととなります。示談の内容によっては刑事裁判にならないこともあるので、示談ができるかはとても重要です。

なお、対立している人たちの間に法律の専門家が入って示談する場合、示談書を作成することがほとんどです。

示談の流れ

01.連絡先をおしえてもらう

あなたが痴漢してしまったとして、被害者の方と示談したいと考えても被害者とコンタクトを取るのに相当の時間を要してしまうことでしょう。なぜならば、被害者の方の連絡先を知らないことがほとんどだからです。

被害者の連絡先を知らない場合、捜査を担当している警察の方に対して「被害者の方と示談の交渉をしたいので被害者の連絡先を教えてほしい」とお願いすることとなります。被害者側が連絡先を教えてくれれば、直接のやり取りすることで示談交渉を進めていくことができるでしょう。

02.連絡先を教えてもらえないこともある

警察経由で被害者の連絡先を確認したとしても、被害者が必ずしも連絡先を開示してくれるとは限りません。被害者側としては、恐怖心や怒りの感情、処罰感情等を理由に痴漢した本人とやり取りをしたいとは考えないためです。被害者が連絡先の開示を拒否すれば、加害者側は被害者の連絡先を知ることはできません。

03.穏便に示談するためには

示談を成立させるためにはお互いの合意が必要です。痴漢の場合は、条例などで定められている罰金額が示談金の相場とされ、そこに個別の事情が加わって金額が上下することが想定されます。

また、示談を成立させるためには、示談金の額もさることながら、誠実で丁寧な応対をすること、心を込めて謝罪することも必要です。

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04.弁護士に手続きを依頼するメリット

弁護士に刑事弁護を依頼した場合、弁護士が痴漢した本人に代わって被害者とのコンタクト及び示談交渉を行なってくれます。

被害者としても、痴漢した本人と直接やり取りするよりかは弁護士とやり取りをした方が精神的な負担などが減るため、示談を成立させられる可能性が大きくなるといえるでしょう。

逮捕後の流れ

痴漢で逮捕された場合、以下のような流れで刑事手続きが進みます。

01.48時間以内に検察官の元に送られる

被疑者が逮捕されると、48時間以内に検察官に身柄を送られます。この間は家族であっても本人と面会できません。

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02.24時間以内に検察官が勾留請求の有無を判断する

被疑者の身柄が検察官のもとに送られると、検察官は引き続き勾留すべきかどうか判断します。勾留が不要と判断された場合は、勾留請求は行われず被疑者の身柄が釈放されます。

痴漢の場合、初犯で本人がしっかり反省しており被害者への威迫も行わない可能性が高ければ勾留されずに釈放される可能性が高くなりますが、この時点までに弁護人を選任しておけば勾留請求を阻止できる可能性が高くなります。

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弁護士 鈴木 翔太

03.裁判所が勾留決定の有無を判断する

検察官が被疑者を勾留請求した場合は、裁判所が勾留の決定をするか否かを判断します。検察官が勾留請求をしても裁判所が勾留の決定をしない場合は、被疑者の身柄は解放されることとなります。

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04.勾留期間に取り調べが行われる

被疑者が勾留された場合、原則的に勾留期間は10日です。その間捜査官による取り調べが行われます。逮捕から勾留に切り替わると、家族も本人に接見できるようになります。

10日間では痴漢の捜査が終わらない場合、さらに10日間勾留期間が延長される可能性があります。

05.起訴か不起訴かが決まる

勾留期間が満期になった場合や勾留されずに在宅捜査になって捜査が満了すると、検察官は被疑者を起訴(略式起訴を含む)するか不起訴にするかを決定します。

初犯で示談が成立している場合は不起訴になることが多いです。痴漢の被害者が被疑者やその家族に連絡先を教えることはほとんど考えられないため、弁護人を入れて示談交渉をすることになります。

06.裁判で刑罰が確定する

起訴された場合には裁判が行われます。日本では刑事事件の99.9%で有罪判決となるので、痴漢で起訴されるとほとんどのケースで有罪判決が出るでしょう。

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刑事裁判の終結結果

痴漢で逮捕された場合の結果としては下記の4パターンのいずれかとなります。

  1. 不起訴処分(前科なし)
  2. 略式起訴(罰金数十万円程度、前科あり)
  3. 即決裁判(有罪と懲役の執行猶予確定、前科あり)
  4. 公判請求(有罪無罪及び刑の重さを争う)

以下、それぞれについて見てみましょう。

01.不起訴処分

不起訴処分には次の3種類があります。

  1. 嫌疑なし(犯罪をしたという疑いがほぼ晴れた)
  2. 嫌疑不十分(犯罪をした疑いはあるが、裁判において有罪と認められない程度だった)
  3. 起訴猶予(示談成立など、なんらかの理由があり起訴するのが相当でない)

不起訴処分になった場合は、罰金等の刑事処分が下されず、前科はつきません。身体を拘束されていた場合は、不起訴処分になると理由が告知されたうえで身体拘束が解かれることとなります。

身体拘束をされていなかった場合は、不起訴処分が確定したことの連絡が来ないことがほとんどです。担当の検察官に確認するか不起訴処分告知書の交付を申請するようにしましょう。

02.略式起訴

正式な裁判を受けないことなどについて同意することで、数十万円程度の罰金を支払って手続が終了します。前科はつきますが、略式起訴の条件を満たさずこの手続にならない場合があります。

略式起訴の条件は下記の3つです。また、検察官が請求しなければそもそもこの手続に進むことはありません。

  • 刑事罰が100万円以下の罰金(1万円以上)または科料(千円以上1万円より下)であること
  • 刑事事件を扱う裁判所が簡易裁判所であること
  • 罪を犯した、と疑われている人の同意

03.即決裁判

一定の要件を満たすことで、正式な裁判を非常に短い期間で終えることができます。通常の刑事裁判では、起訴されてから一月程度で終了する事案はあまりありませんが、即決裁判であれば起訴されてから一月前後で終了することがほとんどです。

即決裁判では確実に執行猶予の懲役刑がつき、他の通常の刑事裁判よりも非常に早く終結します。手続きが早く終結することは、公判請求と比較した際の利点といえます。

04.公判請求

公判請求では、即決裁判の場合と同様、警察署の留置施設で身体拘束を受け続けていた人はそのまま身体拘束が継続されます。

留置施設に拘束されていた人が刑事裁判にかけられた場合、起訴された日を基準に2ヶ月間の身体拘束が始まります。この期間は延長され続けることがあります。

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弁護士 浜島

示談が成立した事案

ケース01.

30代男性が深夜に泥酔したまま電車に乗り痴漢してしまった事案です。痴漢した本人は逮捕された直後に弁護士に刑事弁護を依頼しました。

逮捕後の勾留手続に入ってからも、弁護士は男性との面会を続けながら、被害者の方への接触及び示談交渉を試みました。最終的に被害者と示談を取り交わすことに成功し、男性は不起訴となり釈放されました。

ケース02.

40代男性が深夜に痴漢してしまった事案です。痴漢した本人は逮捕された日の翌日に弁護士に依頼しました。

弁護士が裁判所や検察庁に対し勾留しないよう意見書を提出したところ、勾留を避けることができました。

また、当初、被害者の方は示談に難色を示しておりましたが、弁護士が謝罪文や反省している状況などを伝達したところ、最終的に被害者側も納得し示談に応じていただけました。示談が成立したことで、男性は不起訴処分になりました。

ケース03.

30代男性が、翌朝の電車内で痴漢してしまった事案です。逮捕後、痴漢した本人は速やかに当番弁護士制度を利用して弁護士に依頼しました。

本件では、被害者の方とすぐに示談を成立させることができました。本人は勾留手続に進むことなく不起訴処分となり迅速に社会復帰を果たすことができました。

ケース04.

30代男性が朝の満員電車内で痴漢してしまった事案です。逮捕されず、身柄が拘束されていない状態で捜査が続きました。

痴漢行為の翌日、痴漢した本人は弁護士に手続きを依頼し、弁護士は被害者の方との示談交渉を開始しました。弁護士が本人の反省状況や今後のことなどを真摯にお伝えし、被害者との示談を成立させることができました。

もともと逮捕されていない事案だったので、会社などに発覚することもなく速やかな社会復帰を果たすことができました。

示談が成立しなかった事案

ケース01.

20代男性が電車内で痴漢してしまった事案です。

逮捕後、痴漢した男性は直接被害者の方との示談を試みましたが、連絡先を教えてもらうことはできませんでした。また、男性の親族が被害者との連絡を試みましたが、被害者からは連絡先を教えてもらうことができませんでした。示談を成立させることができなかったため、略式起訴になり、罰金30万円が科されました。

ケース02.

30代男性が路上で痴漢してしまった事案です。

逮捕後、被害者の方の連絡先を教えてもらうことができた男性は被害者との示談交渉に臨みましたが、交渉は決裂してしまいました。略式起訴され、罰金30万円が科されました。

ケース03.

40代の痴漢常習の男性が電車内で痴漢してしまった事案です。逮捕後、刑事弁護手続を受任した弁護士が被害者の方との示談交渉に臨みましたが、被害者側の処罰感情が強く示談交渉は難航しました。正式な刑事裁判が起こされ、裁判中も示談を成立させることはできなかったため、懲役6ヶ月、執行猶予4年の刑罰を言い渡されることとなりました。

正式な刑事裁判では案件によって進行速度が大きく異なります。逮捕されてから最初の判決が出るまで身体拘束が続くのは実生活への影響が非常に大きいです。可能な限り早く弁護士に弁護を依頼し、身体拘束が解かれるよう行動することを推奨します。

逮捕後早期に身柄を解放してもらう方法
逮捕された!!早期に身柄を解放してもらうにはどうすればいい!?万引き、痴漢、暴行といった犯罪を犯して逮捕されてしまうと、刑事手続きに則って身体拘束されることとなります。 身柄拘束期間が長引けば長引くほど不利な状況となってしまうので、できるだけ早期に身柄を解...

弁護士に刑事事件を依頼するメリット・デメリット

01.メリット

弁護士に刑事弁護を依頼した場合のメリットしては以下のものが挙げられます。

  • 自身で対応するよりも、被害者との示談交渉の成功確率が上がる
  • 精神的な負担が軽くなる
  • 不利益の回避を図ることができる

02.デメリット

弁護士に刑事弁護の手続きを依頼した場合のデメリットは、高額の弁護士費用が掛かるという点です。

刑事弁護の手続き費用はそれなりの金額であることが多く、数十万円かかることもザラです。費用の部分で納得できるかどうかをしっかりと検討しましょう。

さいごに

東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、刑事弁護に注力しており、痴漢事件の刑事弁護についても広く受け付けております。

痴漢で逮捕されてしまった方、家族が痴漢で逮捕されてしまった方は、早急に当事務所までお問い合わせください。

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監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
弁護士法人鈴木総合法律事務所、代表弁護士の鈴木翔太です。
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