夫婦が離婚する方法としては、次の3つに大別することができます。
- 当事者で合意しての離婚
- 離婚調停による離婚
- 離婚訴訟による離婚
今回の記事では、③の離婚訴訟による離婚について弁護士が解説します。
離婚訴訟とは
離婚訴訟を簡潔に説明すると、離婚するかしないかを裁判によって判断してもらう手続きです。
協議離婚(当事者同士で話し合いを行ない離婚を決める方法)や調停離婚は、当事者同士が話し合うことに重きが置かれますが、離婚訴訟では裁判官が法律に則って粛々と判断することとなります。
また、離婚調停の場合は、当事者双方が調停室に入れ違いで入室する形で手続きを進めますが、離婚訴訟は裁判であるため法廷で行なうこととなります。
調停前置主義
離婚する・しないについて夫婦間で意見が対立している場合、離婚訴訟であれば、裁判所が離婚するかしないかを判断してくれる一方、調停であれば双方の合意が必要となる点を鑑みると、最初から離婚訴訟を起こした方がスムーズです。
しかし、調停を飛ばして訴訟を起こすことができません。日本の民法では調停前置主義が採用されているためです。
まずは調停離婚を申し立て、調停では解決ができなかった場合(不調であった場合)にはじめて離婚訴訟を起こすことになります。
離婚訴訟の流れ
01.申立
離婚訴訟は、訴訟を起こしたいと考える夫婦の一方が、もう一方の住所地の裁判所に訴状を提出することで開始します。
裁判所の手続ときくと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実は、そのようなことはありません。裁判所のホームページを見ていただければわかるのですが、専門家でない人でも簡単に申立ができるように書式が工夫されています。また、申立に要する費用も数千円程度ですのでそこまで労せずして申立を行うことができます。
02.書面が届く
夫婦の一方が離婚訴訟を提起すると、裁判所から双方に、いつ、どこへ行けば良いか、案内が届きます。
当事者は、指定された日時に指定された場所へ行くことになります。
03.訴訟
訴訟においては、裁判官が当事者から提出を受けた書面の内容・主張を確認します。また、次回期日までに主張をしてもらいたいことを原告被告の一方または双方に伝えます。1回の期日自体は5分や10分程度で終わることが多いです。また、期日は1ヶ月半に1回の頻度で設定されます。
なお、離婚訴訟では、そもそも離婚を認めるべきか否か、未成年の子供がいれば親権者をどちらにするか、財産分与をどのようにすべきか、養育費はいくらにすべきか、慰謝料はいくらにすべきか等といったことを決めなければなりません。争点の種類や数にもよりますが決着がつくまでに1年程度はかかるものとお考え下さい。
04.和解
期日を複数回経ることで、原告被告ともに主張をし尽したと考えられる段階に至り、かつ裁判官もある程度心証(裁判官の考え)が固まった段階で、裁判官から当事者に和解案が提示されます。ここで双方が和解案を受け入れることができれば和解締結で決着することとなります。
なお、和解が到底できそうにない事件については、和解案の提示はありません。
05.判決
当事者の一方または双方が和解案を受け入れない場合には、判決(裁判官による判断)となります。
さいごに
離婚訴訟そのものは、ご自身でも簡単に提起することができます。
しかし、離婚事件は、法律上の複雑な論点が多くあることから上手に戦略を立てて進めていくことが必要になります。また、訴訟は、調停と異なり裁判官が粛々と法律に則って判断する形で進行しますので、やはりある程度の法律の知識は必要となります。
この点、専門家である弁護士に依頼すれば、離婚訴訟において、有利に手続きを進めることが可能となります。離婚問題にしっかりと対応したいということであれば弁護士に手続きを依頼することを検討しましょう。
東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、離婚問題に注力しております。離婚調停や離婚訴訟の経験が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、離婚を検討されている方は是非一度お気軽にご相談ください。