夫婦が離婚する方法としては、次の3つに大別することができます。
- 当事者で合意しての離婚
- 離婚調停による離婚
- 離婚訴訟による離婚
今回の記事では、②の離婚調停による離婚について弁護士が解説します。
離婚調停
離婚調停は、裁判所で行われる離婚に向けた話し合いの手続のことです。
裁判所で行われる手続と聞くとドラマで見るような法廷を思い浮かぶ方もいるかもしれませんが、実際はそのようなことはありません。どこにでもあるような会議室のような部屋で離婚調停は行われまます。この部屋を調停室とよびます。
調停室において、2名の調停委員(基本的に男性1名、女性1名の組み合わせ)と、離婚調停を申し立てた側(申立人と言います)と離婚調停の申立てを受けた側(相手方と言います)とで離婚に向けた話し合いを行っていきます。
なお、申立人と相手方が同席することはほとんどありません。申立人と相手方が交代交代で調停室に入室し、調停委員と話し合いを行なうことで手続きは進みます。
調停に携わる人
01.調停委員
調停委員は、調停を進める役割を担います。
基本的には男性調停委員1名、女性調停委員1名の2名体制です。調停委員は法律の専門家ではありませんが、双方の話を聞いた上で離婚に向けた調整役を担ってくれます。
02.裁判官、調停官
調停室とは別の部屋には裁判官や調停官と呼ばれる法律の専門家が控えており、必要に応じて調停委員と一緒に離婚に向けた調整を図ります。
なお、裁判官や調停官はあまり当事者の前に姿を現すことはなく、基本的には調停委員が話し合いを取り仕切ります。
離婚訴訟との違い
01.離婚訴訟とは
離婚調停と混同しがちなものとして離婚訴訟があります。
離婚調停は、裁判所で調停委員を介して話し合うための手続きです。調停委員が間に入って意見を調整するもののその本質は当事者間の話し合いです。そのため、当事者双方が合意していない場合は決着となることがありません。
他方で、離婚訴訟は、裁判官に離婚を認めるか認めないかの判断をしてもらう手続きです。離婚訴訟においては、裁判官は法律に則って粛々と手続きを進行し、離婚を認めるか認めないかの判断を行ないます。当事者の合意がなくともに、裁判所が判断した内容で決着をつけることができます。
02.調停前置主義
調停は双方が合意しないと決着しない、訴訟であれば裁判所が判断してくれる、という点を鑑みると、最初から訴訟を起こした方がよさそうですが、最初から訴訟を起こすことはできません。日本の民法においては調停前置主義が採用されているためです。
そのため、まずは離婚調停を申し立てることが必要です。離婚調停で解決ができなかった場合にはじめて離婚訴訟を起こすことができます。
離婚調停の流れ
01.申立
離婚調停は、調停を始めたいと考える夫婦の一方が、もう一方の住所地の裁判所に申立書を提出することで開始します。申立書を提出することを「申立」といいます。
裁判所の手続ときくと難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実は、そのようなことはありません。裁判所のホームページを見ていただければわかるのですが、専門家でない人でも簡単に申立てができるように書式が工夫されています。また、申立に要する費用も数千円程度ですので、離婚調停の申立てはそこまで労せずに行うことができます。
02.書面が届く
夫婦の一方が離婚調停を申し立てると、裁判所から双方に書面が届きます。この書面には、いつ、どこへ行けば良いか等が記載されております。双方が鉢合わせないように工夫がされていることが多いです。
03.調停
指定された日時(期日)に指定された場所へ行き待っていると、調停委員が呼びに来てくれます。調停委員の案内に従い調停室に入り、話を聞いてもらうこととなります。
調停では、申立人と相手方が同席することはほとんどありませんので、安心して話をすることができます。
20~30分程度調停委員と話をすると、相手方と調停委員が打ち合わせるターンとなります。調停室から出て待合室で待機することとなり、その間に相手方が調停委員と話し合いを行ないます。
1回の期日で双方に2回ずつくらい話をする機会があることが大多数です。そのため、1回の期日にかかる時間は2時間程度であると考えておきましょう。
04.次回期日の設定
調停委員は、双方からある程度話を聞き終えると、今後の進め方について案内をします。「離婚する・しない」についての方向性は明確だけど離婚条件の折り合いがつかないといったケースでは、調停続行して次回期日が設けられます。
調停を続けるとなった場合、1ヶ月に1回程度の頻度で行われることがほとんどです。次回の期日までに必要な書類を用意したり、判断することが必要な場合には考えを整理しておかなくてはいけません。
他方で、「離婚する・しない」に折り合いがつかない場合には、不調と言って調停が終了することになります。不調になった場合には、離婚訴訟に進むことになります。
さいごに
離婚調停そのものは、そこまで労力をかけずに申立てすることができます。
しかし、離婚事件は、法律上の複雑な論点が多くあることから上手に戦略を立てて進めていくことが必要になります。調停そのもので決着がつかないこと(離婚訴訟に移行すること)も考慮して手続きを進めた方が間違いはないでしょう。
この点、専門家である弁護士に依頼すれば、離婚調停及びその後の離婚訴訟において、有利に手続きを進めることが可能となります。離婚問題にしっかりと対応したいということであれば弁護士に手続きを依頼することを検討しましょう。
東京・恵比寿に事務所を構える弁護士法人鈴木総合法律事務所では、離婚問題に注力しております。離婚調停や離婚訴訟の経験が豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、離婚を検討されている方は是非一度お気軽にご相談ください。