個人再生の申立書にはどういったことを記載するの?申立書の書式について解説!!

監修者
弁護士 鈴木 翔太
弁護士 鈴木 翔太
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個人再生の申立を行う場合、裁判所に対し個人再生の申立書を提出します。この申立書は大まかに分けて以下の書類から構成されます(東京地裁・小規模個人再生の場合)。

  • 再生手続開始申立書
  • 収入一覧及び主要財産一覧
  • 債権者一覧表
  • 報告書
  • 財産目録
  • 清算価値算出シート
  • 返済総額算出シート
  • (上申書・報告書)
  • (住宅資金貸付債権の一部弁済許可申立書)
  • 疎明資料

今回の記事では債務整理事案の経験豊富な弁護士が、東京地方裁判所における個人再生(小規模個人再生)の申立書の書式の内容、記載事項等について解説します。

個人再生の申立書の内容

東京地方裁判所で個人再生を申し立てる際の申立書は下記の書類から構成されています。

  1. 再生手続開始申立書
  2. 収入一覧及び主要財産一覧
  3. 債権者一覧表
  4. 報告書
  5. 財産目録
  6. 清算価値算出シート
  7. 返済総額算出シート
  8. (上申書・報告書)
  9. (住宅資金貸付債権の一部弁済許可申立書)
  10. 疎明資料

以下、その内容について確認していきましょう。

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再生手続開始申立書

申立書の表紙となる部分です。申立人の名前、生年月日、現住所、再生計画案による弁済予定額等を記載します。再生計画による弁済予定額は、返済総額算出シート(後述)で算出された金額を36で割った数字が原則となります。

申立人を確認するための資料として住民票を添付します。弁護士を代理人として申立する場合には、個人再生の申立を弁護士に委任したことを疎明する委任状も添付します。

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収入一覧及び主要財産一覧

申立人が得ている収入(給与、賞与等)や主要財産を概括的に記載する書類です。

債権者一覧表

債権者一覧表には、申立人が負っている全ての債権者について、債権者名、住所、債権の種類、債権の金額を記載します。貸金業者や信販会社の負債だけでなく、個人からの借入額、家賃や電気料金の滞納、奨学金などの債務も漏れなく記載しなければなりません。また、備考欄には保証人の有無等を記載します。

報告書

報告書は、申立人が負債を負うに至った状況等を確認するための書式であり、以下の内容を記載します。

  1. 過去10年前から現在に至る経歴
  2. 家族関係等
  3. 現在の住居の状況
  4. 個人再生手続きを申し立てるに至った事情
  5. 財産
  6. 債務
  7. 申立て前7年内の免責等の医務

01.過去10年前から現在に至る経歴

過去10年間の職務経歴を記載します。

02.家族関係等

同居の家族、扶養の関係にある家族を記載します。

03.現在の住居の状況

現在の住所について、持ち家か賃貸か、持ち家の場合は誰名義の持ち家か、賃貸の場合は誰名義の賃貸か等を記載します。

04.個人再生手続を申し立てるに至った事情

負債を負うに至った事情、個人再生申立に至った経緯を嘘偽りなく詳細に記載します。

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05.財産

申立人の財産の状況を記載します。「添付の財産目録記載の内容を引用する」という形で記載することがほとんどです(財産目録については後述)。

06.債務

申立人の債務の状況を記載します。

07.申立前7年内の免責等の有無

個人再生を申し立てる7年内に破産手続による免責を得ているか等を記載します。

財産目録

財産目録には、申立人が有している財産を全て記載します。財産目録は、個人再生手続き続において清算価値に計上することになる財産がいくらあるのかを確認するために作成することになります。

東京地方裁判所の場合、資産目録で指定されている項目は下記のとおりです。

  1. 現金
  2. 弁護士預り金
  3. 預金・貯金
  4. 公的扶助の受給
  5. 報酬・賃金
  6. 退職金請求権・退職慰労金
  7. 貸付金・売掛金等
  8. 積立金等
  9. 保険
  10. 有価証券、ゴルフ会員権など
  11. 自動車・バイクなど
  12. 過去5年間において、購入価格が20万円以上の物
  13. 過去2年に処分した評価額又は処分額が20万円以上の財産
  14. 不動産
  15. 相続財産
  16. 事業設備、在庫品、什器備品等
  17. その他、回収が可能となる財産

上記の財産について、有しているか有していないか、有している場合はその財産の内容や評価額を記載します。また、その財産価値を疎明する資料を添付しなければなりません。

以下、各財産についてみていきましょう。

01.現金

「現金」には、申立人が持っている現金の総額を記載します。財布の中にあるお札や小銭のほか、貯金箱やタンス預金で自宅に保管している金額を計上することになります。SUICA等のデポジット式の電子マネーの残高も「現金」に計上します。

02.弁護士預り金

弁護士に個人再生申立の手続きを依頼している場合、弁護士に預けているお金が生じていることがあります。預けているお金がある場合にはその金額を記載します。

03.預金・貯金

申立人自身の名義で開設されている口座をすべて記載します。現在使っているか使っていないかは関係ありません。開設されている口座(解約していない口座)については全て漏れなく記載してください。解約済みであっても解約してから2年を経過していない口座についても記載します。疎明資料として直近2年間の通帳の写しや取引履歴を添付します。

なお、申立人の親が申立人名義で開設した口座についても、申立人自身の名義で開設されている口座に該当しますので記載する必要があります。

04.公的扶助の受給

年金や生活保護を受給している場合には、その種類やひと月当たりの受給額等を記載します。疎明資料として公的扶助の受給資格証明書等を添付します。

05.報酬・賃金

給与、賞与を受給している場合には、その金額を手取りベースで記載します。疎明資料として、直近2ヶ月分の給与明細、直近2回分の賞与明細、直近2年分の源泉徴収票(課税証明書)を添付します。

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06.退職金請求権・退職慰労金

企業に務めている方は、勤務先が退職金制度を採用しているか、採用している場合には「現時点で自己都合で退職した場合に支給されるであろう退職金額」を記載します。近い将来に定年を迎え退職金が支給される場合には、その退職金支給見込み額を記載します。

疎明資料としては、退職金制度があるかどうかを確認できる書面、退職金制度がある場合には「現時点で自己都合で退職した場合に支給されるであろう退職金額」または「(近く支給される場合には)退職金支給見込み額」を疎明する資料を添付します。

退職金の有無を疎明する資料は雇用契約書や就業規則で確認できることがありますが、退職金がある場合の「現時点で自己都合で退職した場合に支給されるであろう退職金額」を疎明する資料は勤務先に発行をお願いをしなければならないケースがほとんどです。勤務先に個人再生手続きに臨もうとしていることが発覚してしまう可能性があるため、この資料は個人再生手続きの必要書類のうち収集が厄介な資料として有名です。

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07.貸付金・売掛金等

知人に貸しているお金といった貸付金債権なども申立人の財産にあたりますので、ここに記載します。具体的には、債権の種類、相手方、金額、回収見込み等を記載します。また、債権が存在することを疎明する資料、相手方の情報等を資料として添付します。

08.積立金など

支給される給与から天引きされる形で積み立てている金銭、例えば旅行積立であったり財形貯蓄であったりですが、こういったものがあれば、その内容や現在残高を記載します。また、疎明資料として現在残高が分かる資料などを添付します。

09.保険

加入している保険があれば、その保険を記載します。また、解約返戻金があるかどうか、ある場合は現時点で解約した場合の解約返戻金額を記載します。疎明資料としては、保険証券、解約返戻金計算書などを添付します。

10.有価証券、ゴルフ会員権等

株式等の有価証券、ゴルフ会員権などを有している場合はその内容と現在価値を記載します。また、それを疎明する資料を提出します。

11.自動車・バイクなど

自動車・バイクを所有している場合は、車種、購入金額、所有権留保の有無、査定額等を記載します。また、疎明資料として車検証や査定書等を添付します。

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12.過去5年間において、購入価格が20万円以上の物

大型家電など過去5年間で20万円以上で購入した物があれば、購入した物品、購入時期、購入金額、所有権留保の有無、手元に現存している場合は査定額等を記載します。疎明資料として購入時の資料、物品のパンフレット、査定書等を添付します。

13.過去2年に処分した評価額又は処分額が20万円以上の財産

過去2年間で処分したことにより20万円以上の対価を得たものがあればここに記載します。たとえば、保有していた貴金属を売却して30万円を受領した場合などです。

14.不動産

不動産を所有している(いた)場合は、その不動産に関する情報を記載します。疎明資料としては、不動産登記簿謄本等を添付します。親族の逝去によって不動産(の持ち分)を単純相続してしまっていることも往々にしてあります。しっかりと確認しましょう。

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15.相続財産

親族の逝去により相続財産を相続した場合は、その内容や金額(評価額)等を記載します。疎明資料として、遺産分割協議書や相続関係図、相続した財産の評価額が確認できる資料を添付します。

16.事業設備、在庫品、什器備品等

個人事業主等で、事業設備、在庫品等を有している場合には、その内容や数量、評価額を記載します。また、疎明資料としてその在庫数が分かる資料や査定書を添付します。

17.その他、調査によっては回収が可能となる財産

上記の財産以外で回収可能な財産がある場合にはここに記載します。たとえば、過払いによる不当利得返還請求権等がこれに該当します。

清算価値算出シート、返済総額算出シート

清算価値算出シートでは、財産目録に記載した財産の価値に基づき清算価値を算出します。清算価値とは再生債務者が有している財産の価値とお考え下さい。

また、返済総額算出シートは個人再生による返済総額を算出する書式です。債務総額や清算価値の金額に基づいて算出されます。

清算価値や返済総額についての詳細については、下記リンクを参照ください。

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家計全体の状況


申立する直近2ヶ月の家計の状況を添付します。

なお、家計は原則として家計を同一とする者全員を対象として記載しなければなりません。この点で同居の家族に手続きをすることを打ち明けなければならなくなることがあります。

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上申書・報告書

特定の事情がある場合には上申書や報告書を作成します。たとえば再生計画案による基づく弁済を5年に伸長してもらいたい場合には、その理由を記載した上申書を作成して添付します。

住宅資金貸付債権の一部弁済許可申立書

住宅ローン特則を利用して申立を行なう場合には、住宅資金貸付債権の一部弁済許可申立書を添付します。また、住宅ローン債権者との事前協議書も添付します。

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疎明資料

財産目録に記載した財産等の疎明資料を添付します。

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さいごに

本記事では個人再生申立書の内容を一通り解説しました。なお、上記の説明は東京地方裁判所管轄の申立書を前提に説明したものであり、東京地裁以外の裁判所では申立書の内容や疎明資料が異なることがあります。申立を行なう際は、管轄の裁判所や弁護士にしっかりと確認しましょう。

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